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シリア・アラブ共和国の桃(モモ)・ネクタリン生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が提供した最新データによると、シリア・アラブ共和国における桃(モモ)・ネクタリン生産量は、長期的な推移の中で大きな変動を示しています。特に、1980年前後に急激な増加を見せ、1988年には過去最高の50,500トンを記録しました。しかし、その後は経済・社会的要因や地域紛争などの影響で生産量が減少する傾向も見られます。直近の2023年では44,999トンと、近年での平均的な水準を維持していますが、一部で低迷が続いています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 44,999
2.89% ↑
2022年 43,734
-12.07% ↓
2021年 49,735
-7.32% ↓
2020年 53,662
11.72% ↑
2019年 48,031
14.49% ↑
2018年 41,954
-11.42% ↓
2017年 47,360
-8.25% ↓
2016年 51,620
7.03% ↑
2015年 48,231
10.45% ↑
2014年 43,668
-20.25% ↓
2013年 54,753
-7.35% ↓
2012年 59,095
8.71% ↑
2011年 54,361
11.42% ↑
2010年 48,788
-22.1% ↓
2009年 62,628
11.04% ↑
2008年 56,400
-1.73% ↓
2007年 57,393
2.33% ↑
2006年 56,084
8.69% ↑
2005年 51,600
88.32% ↑
2004年 27,400
-21.71% ↓
2003年 35,000
-0.92% ↓
2002年 35,325
-6.14% ↓
2001年 37,635
-10.47% ↓
2000年 42,034
1.06% ↑
1999年 41,595
-3.49% ↓
1998年 43,100
83.27% ↑
1997年 23,517
-44.82% ↓
1996年 42,620
100.09% ↑
1995年 21,300
-41.04% ↓
1994年 36,126
-2.36% ↓
1993年 37,000
-45.95% ↓
1992年 68,455
12.59% ↑
1991年 60,800
-7.32% ↓
1990年 65,600
12.14% ↑
1989年 58,500
15.84% ↑
1988年 50,500
49.41% ↑
1987年 33,800
-12.44% ↓
1986年 38,600
6.7% ↑
1985年 36,176
25.61% ↑
1984年 28,800
-4.95% ↓
1983年 30,300
6.77% ↑
1982年 28,379
52.21% ↑
1981年 18,645
-20.2% ↓
1980年 23,364
12.85% ↑
1979年 20,704
0.53% ↑
1978年 20,594
10.65% ↑
1977年 18,611
5.37% ↑
1976年 17,662
4.77% ↑
1975年 16,858
111.78% ↑
1974年 7,960
-4.27% ↓
1973年 8,315
-21.04% ↓
1972年 10,531
66.68% ↑
1971年 6,318
31.71% ↑
1970年 4,797
-9.64% ↓
1969年 5,309
-10.71% ↓
1968年 5,946
-5.48% ↓
1967年 6,291
27.22% ↑
1966年 4,945
9.89% ↑
1965年 4,500
2.27% ↑
1964年 4,400
10.58% ↑
1963年 3,979
-41.36% ↓
1962年 6,785
305.56% ↑
1961年 1,673 -

シリア・アラブ共和国の桃・ネクタリン生産量は、1960年代の約4,000トン台から始まり、以降20世紀後半に劇的な変化を迎えました。特に1980年代以降、農業技術の向上と政府の農業振興政策を背景に、1988年には50,500トンというピークを記録しました。このような伸びは、当時の安定した社会情勢と農業インフラの投資が大きく寄与した結果と考えられます。また、気候条件や地中海性気候の恩恵も、この地域が果樹栽培に適していることを示しています。

しかし、1990年代以降になると、全体的に生産量は不安定な推移を見せ始めました。一時的な回復期も見られましたが、特に2011年以降、シリア内戦の影響を受け、農業インフラの損壊や農家の経済的困難が生産量の減少を招きました。2014年には43,668トンと、大幅な減少が見られ、その影響は直近までも尾を引いています。2023年において44,999トンの生産量は、過去数年の平均的な水準ですが、1980年代後半と比較するとそのスケールは依然として低下しています。

他国との比較において、日本や韓国などでは農業分野における高効率な技術活用により、同規模の土地面積でも安定した収穫量を確保しています。シリアの場合、果樹栽培技術の導入が進む一方で、長引く地政学的問題が農業の近代化を妨げています。特に灌漑設備の老朽化や農地へのアクセス制限がボトルネックとなっています。

桃とネクタリンの生産を再活性化させるためには、いくつかの課題解決が必要です。まず、農業インフラの修復および灌漑システムの近代化が最優先事項です。これには国際的な支援や融資を活用することが重要です。また、地元の農家に対して災害時や紛争時におけるリスクを軽減するための保険制度の導入や、果樹栽培の技術指導を通じた持続可能な農業モデルの確立が求められます。

さらに、シリアの特定地域における気候条件や土壌の質を最大限に活用するため、農産物の多様性を図ることも有効です。これには、地域ごとの気象データを活用して最適な栽培スケジュールを組む仕組みが必要です。加えて、収穫物の国内需要を高めるとともに、海外市場への輸出促進も視野に入れることで、収益改善と地域経済の安定化を同時に追求することが可能となります。

結論として、シリアの桃とネクタリンの生産は、過去のピークよりも数値的に落ち込んでいますが、改善の余地は大いにあります。農業技術やインフラの近代化、リスク管理の仕組み、国際市場の戦略的活用といった包括的な政策が展開されることで、持続可能な成長が実現する可能性を秘めています。国際協力の枠組みを活用しながら、地域の地政学的リスクに対する対応を含めた柔軟な政策の運用が求められます。