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インドネシアのニンニク生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月の最新データによると、インドネシアにおけるニンニクの生産量は、1981年の11,000トンから1990年代前半にかけて大幅に増加し、1991年には133,874トンに達しました。しかし、その後の数十年間で生産量は激減し、2007年には17,313トンと最低値を記録しました。2018年以降に一時的な回復の傾向が見られ、2019年には88,817トンに急増しましたが、それ以降再び減少傾向にあり、2023年には39,254トンとなっています。このデータは、インドネシア国内における農業政策、気象条件、そして国際市場の影響を反映しており、複雑な背景を示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 39,254
28.36% ↑
2022年 30,582
-32.18% ↓
2021年 45,092
-44.88% ↓
2020年 81,805
-7.89% ↓
2019年 88,817
125.98% ↑
2018年 39,302
101.41% ↑
2017年 19,513
-7.74% ↓
2016年 21,150
4.21% ↑
2015年 20,295
20.13% ↑
2014年 16,894
7.15% ↑
2013年 15,766
-10.61% ↓
2012年 17,638
19.59% ↑
2011年 14,749
19.96% ↑
2010年 12,295
-20.26% ↓
2009年 15,419
24.96% ↑
2008年 12,339
-28.73% ↓
2007年 17,313
-17.76% ↓
2006年 21,051
1.53% ↑
2005年 20,733
-28.14% ↓
2004年 28,851
-25.94% ↓
2003年 38,957
-16.03% ↓
2002年 46,393
-6.41% ↓
2001年 49,573
-15.99% ↓
2000年 59,008
-5.17% ↓
1999年 62,222
-25.51% ↓
1998年 83,527
-18.15% ↓
1997年 102,055
-29.99% ↓
1996年 145,770
-4.36% ↓
1995年 152,421
12.95% ↑
1994年 134,940
5.44% ↑
1993年 127,974
-6.63% ↓
1992年 137,067
2.39% ↑
1991年 133,874
22.97% ↑
1990年 108,864
1.36% ↑
1989年 107,407
11.88% ↑
1988年 96,000
9.53% ↑
1987年 87,648
-4.73% ↓
1986年 92,000
50.47% ↑
1985年 61,143
28.67% ↑
1984年 47,521
155.57% ↑
1983年 18,594
35.04% ↑
1982年 13,769
25.17% ↑
1981年 11,000 -

インドネシアのニンニク生産量推移を見てみると、初期の1980年代は徐々に生産量が増加し、農業技術や栽培面積の拡大がその要因と考えられます。1986年には92,000トン、1991年にはさらに増加し133,874トンに達しました。しかし1997年以降、大幅な減少が明確となりました。東南アジアを襲った1997年のアジア通貨危機が農業を含めた経済全般に大きな打撃を与えたこと、また農業従事者の減少や生産効率の低下が影響を与えたと推測されます。

21世紀に入ると生産量は低下し、2004年には28,851トン、さらに2007年には17,313トンと、1980年代後半の生産量の約20%にまで落ち込みました。この生産量の低迷は、国内農業における作付面積の縮小や、気候変動による不安定な天候と自然災害の頻発、国外からの安価なニンニクの輸入増加が関与していました。インドネシアは需要の多くを中国などからの輸入に依存する状況にあり、輸入品が低価格なことで国産品の競争力が低下したことも課題となっています。

その一方で、2018年以降に見られる生産量の回復は、政府の政策的介入が寄与した可能性があります。国内農業振興策や技術支援により、2019年には88,817トンまで急増しました。しかし、この回復は持続可能性を欠いており、2021年には再び45,092トンに低下し、2023年現在では39,254トンとなっています。気候変動という予測しにくい要因が生産量に影響を及ぼし続けるほか、国際市場の変動による輸入品との競争も引き続き課題となるでしょう。

今後、インドネシアのニンニク生産を持続的に増加させるためには、第一に国内産品の競争力を高めることが必要です。品質向上を目的とした技術革新や農業従事者への補助金支給、さらに灌漑設備や天候データに基づいたスマート農業技術の導入が有効な対策となるでしょう。また、国内消費者に対して国産品の魅力を訴求するマーケティング政策も重要です。

加えて、地域間協力の強化も鍵となります。インドネシアは東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国として、周辺国との農業技術共有や資源管理の協力の枠組みを利用し、輸入依存率を効果的に低減することが可能です。

一方で、貿易や農業を巡る地政学的なリスクも無視できません。例えば、中国からのニンニク輸入に依存している現状では、地政学的な緊張や輸送ルートの混乱が供給不足を引き起こす可能性があります。こうしたリスクに対処するために、自給自足に重点を置いた食糧安全保障戦略を策定することが急務です。

最終的には、インドネシアのニンニク生産を再び安定的に確立させるには、国内の農業インフラの強化、経済政策の安定化、さらには輸出志向型の農業戦略への転換が重要です。気候変動と国際市場との兼ね合いを考えつつ、持続可能な農業モデルを採用し、地元での雇用創出や経済的発展を目指す政策の実行が期待されます。

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