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インドネシアのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関のデータによれば、インドネシアのカリフラワーおよびブロッコリーの生産量は1990年の70,000トンから長期的には増加傾向にあります。2020年には過去最高の204,238トンを記録しましたが、その後2023年には175,073トンへ減少しています。特に2005年以降の増減が顕著で、政策、気候変動、地政学的要因などが影響を及ぼしている可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 175,073
-8.87% ↓
2022年 192,121
-5.54% ↓
2021年 203,385
-0.42% ↓
2020年 204,238
11.11% ↑
2019年 183,815
20.84% ↑
2018年 152,114
-0.5% ↓
2017年 152,872
7.02% ↑
2016年 142,851
20.66% ↑
2015年 118,388
-13.27% ↓
2014年 136,508
-9.77% ↓
2013年 151,288
11.37% ↑
2012年 135,837
19.69% ↑
2011年 113,491
12.14% ↑
2010年 101,205
5.38% ↑
2009年 96,038
-12.29% ↓
2008年 109,497
-11.88% ↓
2007年 124,252
-8.31% ↓
2006年 135,518
6.44% ↑
2005年 127,320
27.33% ↑
2004年 99,994
15.97% ↑
2003年 86,222
3.55% ↑
2002年 83,267
-4.49% ↓
2001年 87,186
1.16% ↑
2000年 86,183
1.39% ↑
1999年 85,000
2.27% ↑
1998年 83,117
3.9% ↑
1997年 80,000
1.19% ↑
1996年 79,059
2.01% ↑
1995年 77,501
2.16% ↑
1994年 75,865
2.15% ↑
1993年 74,271
2.14% ↑
1992年 72,714
2.15% ↑
1991年 71,186
1.69% ↑
1990年 70,000 -

インドネシアのカリフラワーおよびブロッコリー生産量の推移を観察すると、1990年代は緩やかな増加傾向が見られます。この期間は、農業技術の導入や農地の拡張による影響が考えられます。一方で、2005年以降になると、生産量が変動を繰り返しながら大きく成長している点が特徴的です。特に2005年から2006年には127,320トンから135,518トンへ大幅に増加しました。この時期はインドネシアが輸出志向の経済戦略を強化し、国内農業の近代化政策を進めた影響と考えられます。

しかしながら、生産量の変動には気候変動や天候不順の影響も見逃せません。例えば、2007年から2009年にかけて生産量が急減するケースや、2022年から2023年にかけて再び顕著な減少が見られることから、不安定な気象条件が農作物の生産に与える影響が確認できます。インドネシアは熱帯雨林に属し、一部地域で異常気象や豪雨による洪水が頻発するため、これが農業生産に一因として作用している可能性があります。

2020年の204,238トンという過去最高値は農業技術の向上、品種改良、新型農業資材の導入などの努力が結実した結果と考えられます。これは国内需要の増加だけでなく、輸出市場への対応力を高めた結果とも言えるでしょう。しかし、2021年以降は再び減少傾向にあり、2023年には175,073トンまで落ち込んでいます。この背景には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、輸送や労働力の不足が一定の制約として作用したことや、肥料価格の高騰、供給不足が挙げられます。また、地政学的なリスクとして、ウクライナ紛争が化学肥料の主要成分である鉱物資源の供給に影響し、農業生産コストの高騰を引き起こしました。

このような状況を踏まえると、インドネシアが持続的な生産拡大を目指すためにいくつかの課題に取り組む必要があります。まず、農業生産の気候変動への脆弱性を軽減するために灌漑設備の整備や、乾燥や多湿に耐えられる新品種の開発が求められます。また、持続可能な農業資材供給の確保と価格安定化を目的とした国際的な協力が重要です。さらに、国内外の需給バランスに対応するための輸送インフラの改善や、貿易制度の柔軟性を高める政策も欠かせません。

結論として、カリフラワーおよびブロッコリーの生産量の推移は、インドネシア農業の発展と課題を象徴する重要な指標です。今後、インドネシア政府は自然と調和した農業政策を策定し、食料安全保障の確保と輸出拡大を両立する取り組みが求められます。同時に、国際的な支援も含めた包括的な取り組みによって、より安定した生産と供給が可能となるでしょう。このような努力が、インドネシアのみならず、世界的な食糧問題の解決にも寄与する結果となるはずです。