国際連合食糧農業機関(FAO)が最新データを発表した2023年時点で、インドネシアのキュウリ類(主にキュウリやピクルス向け品種)の生産量は416,728トンでした。このデータは1961年以降の生産推移を示しており、初期の生産量は35,000トンから始まり、1996年には613,386トンとピークを迎えました。その後、全般的に緩やかな減少傾向を示しつつ、2021年には一時的な増加を見せ、その翌年から再び減少しています。歴史的には急激な生産量増加と減少を繰り返しており、気候変動や農業技術の進展、耕地面積の変化などの多様な影響がうかがえます。
インドネシアのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 416,728 |
-6.15% ↓
|
2022年 | 444,057 |
-5.91% ↓
|
2021年 | 471,941 |
6.95% ↑
|
2020年 | 441,286 |
1.22% ↑
|
2019年 | 435,973 |
0.47% ↑
|
2018年 | 433,923 |
2.12% ↑
|
2017年 | 424,933 |
-1.23% ↓
|
2016年 | 430,218 |
-3.87% ↓
|
2015年 | 447,547 |
-6.37% ↓
|
2014年 | 477,976 |
-2.78% ↓
|
2013年 | 491,636 |
-3.89% ↓
|
2012年 | 511,525 |
-1.92% ↓
|
2011年 | 521,535 |
-4.68% ↓
|
2010年 | 547,141 |
-6.17% ↓
|
2009年 | 583,139 |
7.96% ↑
|
2008年 | 540,122 |
-7.07% ↓
|
2007年 | 581,206 |
-2.95% ↓
|
2006年 | 598,890 |
8.32% ↑
|
2005年 | 552,891 |
15.74% ↑
|
2004年 | 477,716 |
-7.1% ↓
|
2003年 | 514,210 |
26.61% ↑
|
2002年 | 406,141 |
-5.97% ↓
|
2001年 | 431,921 |
2.02% ↑
|
2000年 | 423,386 |
-1.98% ↓
|
1999年 | 431,950 |
-14.75% ↓
|
1998年 | 506,711 |
3.52% ↑
|
1997年 | 489,490 |
-20.2% ↓
|
1996年 | 613,386 |
84.64% ↑
|
1995年 | 332,204 |
18.25% ↑
|
1994年 | 280,934 |
4.11% ↑
|
1993年 | 269,838 |
0.52% ↑
|
1992年 | 268,431 |
0.09% ↑
|
1991年 | 268,201 |
5.11% ↑
|
1990年 | 255,156 |
-21.34% ↓
|
1989年 | 324,386 |
5.66% ↑
|
1988年 | 307,000 |
14.56% ↑
|
1987年 | 267,976 |
-8.54% ↓
|
1986年 | 293,000 |
9.17% ↑
|
1985年 | 268,399 |
94.34% ↑
|
1984年 | 138,108 |
-23.51% ↓
|
1983年 | 180,564 |
4.2% ↑
|
1982年 | 173,278 |
13.83% ↑
|
1981年 | 152,228 |
-12.8% ↓
|
1980年 | 174,572 |
3.81% ↑
|
1979年 | 168,159 |
-1.08% ↓
|
1978年 | 170,000 |
11.84% ↑
|
1977年 | 152,000 |
-7.43% ↓
|
1976年 | 164,200 |
12.08% ↑
|
1975年 | 146,500 |
-19.28% ↓
|
1974年 | 181,500 |
3.88% ↑
|
1973年 | 174,713 |
74.71% ↑
|
1972年 | 100,000 |
11.11% ↑
|
1971年 | 90,000 |
12.5% ↑
|
1970年 | 80,000 | - |
1969年 | 80,000 |
48.45% ↑
|
1968年 | 53,890 |
-28.15% ↓
|
1967年 | 75,000 |
15.38% ↑
|
1966年 | 65,000 |
18.18% ↑
|
1965年 | 55,000 |
14.58% ↑
|
1964年 | 48,000 |
6.67% ↑
|
1963年 | 45,000 |
28.57% ↑
|
1962年 | 35,000 | - |
1961年 | 35,000 | - |
インドネシアのキュウリ類の生産量データは、農業の進展や政策的対応の歴史を映し出しています。1961年から1970年代初頭にかけての数値は比較的低水準で横ばい傾向にありましたが、その後、1973年から1975年にかけて生産量が急激に上昇。これは新たな農業技術の導入や農地の拡張、輸出需要の増加が主な要因と考えられます。また、1973年の174,713トンから1985年の268,399トンと、10年以上にわたり着実な成長を遂げたことで、インドネシアが一部地域でキュウリ生産の主要拠点として台頭したことがうかがえます。
しかしながら、1990年代後半にはピークを迎えた後、数値は不安定な動きを示し、特に1997年の金融危機やその後の景気後退は、生産量の顕著な減少に影響を及ぼしたと推測されます。このような状況を経たものの、2000年代には再度生産が持ち直し、2005年から2010年にかけて安定した生産量が維持されました。
2020年代に入ると、コロナ禍による農業労働力不足や輸送の制約が一時的な減少を引き起こすも、2021年には471,941トンと回復を見せています。しかし、2022年と2023年には再び減少傾向となり、特に2023年には16%弱の減少を記録しました。この背景には、気候変動による不安定な天候パターンや農業技術の継続的な改良が停滞している可能性が挙げられます。
具体的な課題としては、まず気候変動への耐性が低いことが問題として浮き彫りになります。インドネシアでは、増加する干ばつや異常気象が農地の生産性に負の影響を与えています。さらに、農家の経済的負担が課題であり、肥料価格の高騰や市場価格の変動が持続可能な生産性を脅かしています。また、都市化による農地の減少や人手不足も重要な要因として挙げられるでしょう。
これに対し、いくつかの対策が提案されます。例えば、気候変動対策を講じるために耐乾性の高いキュウリ品種の導入や、灌漑技術のアップグレードが必要です。また、政府による価格保証制度の導入や、農家への補助金供与などの支援策は、農業従事者の安定的な生産活動を後押しするでしょう。さらに、インドネシア国内だけでなく、近隣諸国での協力的な農業技術共有や輸出市場の多様化も期待されます。
地政学的には、中国やインドなどの周辺国でも人口増加に伴いキュウリ需要が増加しており、インドネシア産のキュウリはこれらの国々へ輸出する潜在的可能性を秘めています。また、欧米市場に輸出することを視野に、品質向上と有機農業の推進も重要でしょう。
結論として、インドネシアのキュウリ類生産量の推移は、気候変動や経済的要因に敏感である一方、持続可能な農業技術と政策的サポートによって十分な成長余地があります。今後、農家の収益を確保しつつ、地域や輸出市場への供給を安定させるためには、より効率的かつ環境適応型の農業システムを構築する必要があります。国際連携による技術提供や資金援助も、これらの目標を実現するための有力な手段となるでしょう。