Skip to main content

インドネシアのココナッツ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、インドネシアのココナッツ生産量は長期的な増加傾向の中にあります。しかし、近年では生産量がやや停滞または変動している傾向が見られます。1961年の5,650,000トンから、2023年には約17,970,220トンとおよそ3倍以上に増加しましたが、2010年以降、生産量は年ごとに増減を繰り返しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 17,970,220
4.54% ↑
2022年 17,190,328
0.53% ↑
2021年 17,100,000
1.79% ↑
2020年 16,800,000
-1.18% ↓
2019年 17,000,000
-0.58% ↓
2018年 17,100,000
-0.58% ↓
2017年 17,200,000
-1.15% ↓
2016年 17,400,000
-0.57% ↓
2015年 17,500,000
-4.37% ↓
2014年 18,300,000 -
2013年 18,300,000
-5.67% ↓
2012年 19,400,000
10.86% ↑
2011年 17,500,000
-2.78% ↓
2010年 18,000,000
-5.26% ↓
2009年 19,000,000
5.93% ↑
2008年 17,937,000
-8.6% ↓
2007年 19,625,000
14.6% ↑
2006年 17,125,000
-6.16% ↓
2005年 18,250,000
12.07% ↑
2004年 16,285,000
0.87% ↑
2003年 16,145,000
4.19% ↑
2002年 15,495,000
-2.02% ↓
2001年 15,815,000
3.77% ↑
2000年 15,240,000
1.77% ↑
1999年 14,975,000
7.81% ↑
1998年 13,890,500
3.18% ↑
1997年 13,463,000
-2.47% ↓
1996年 13,804,500
-3.59% ↓
1995年 14,318,000
3.98% ↑
1994年 13,770,000
1.62% ↑
1993年 13,550,000
5.28% ↑
1992年 12,870,000
-0.23% ↓
1991年 12,900,000
6.44% ↑
1990年 12,120,000
4.94% ↑
1989年 11,550,000
3.59% ↑
1988年 11,150,000
2.11% ↑
1987年 10,920,000
6.33% ↑
1986年 10,270,000
2.7% ↑
1985年 10,000,000
9.89% ↑
1984年 9,100,000
8.85% ↑
1983年 8,360,000
0.24% ↑
1982年 8,340,000
-10.52% ↓
1981年 9,320,000
7.62% ↑
1980年 8,660,000
2.73% ↑
1979年 8,430,000
2.68% ↑
1978年 8,210,000
0.74% ↑
1977年 8,150,000
2.13% ↑
1976年 7,980,000
10.37% ↑
1975年 7,230,000
3.29% ↑
1974年 7,000,000
5.11% ↑
1973年 6,660,000
1.99% ↑
1972年 6,530,000
-1.8% ↓
1971年 6,650,000
6.23% ↑
1970年 6,260,000
3.13% ↑
1969年 6,070,000
3.06% ↑
1968年 5,890,000
3.33% ↑
1967年 5,700,000
8.57% ↑
1966年 5,250,000
-3.67% ↓
1965年 5,450,000
-1.27% ↓
1964年 5,520,000
0.18% ↑
1963年 5,510,000
-1.61% ↓
1962年 5,600,000
-0.88% ↓
1961年 5,650,000 -

インドネシアは世界最大規模のココナッツ生産国として知られています。総生産量は1960年代から急速に拡大し、2005年には18,250,000トンに達しました。その後、2005年から2010年にかけて18,000,000トン前後を維持しつつもやや停滞する傾向を示しました。そして、2012年に19,400,000トンという大きな記録を残すものの、それ以降、2023年時点の17,970,220トンへと、やや安定的な減少または横ばいの状態にあります。

この増減の背景には、多岐にわたる要因が考えられます。一因として、気候変動がココナッツの成長に直接的な影響を与えている点が挙げられます。ココナッツ生産は熱帯地域の高温多湿な環境に依存していますが、インドネシアでは激しい降雨、乾季の長期化、そして雹や嵐といった極端な気象条件による被害が増加しています。特に農産物全般に影響するエルニーニョ現象の影響が顕著です。たとえば、2010年代から2020年代初頭にかけての一連の気象変動の影響により、生産量の増減が複雑化しています。

また、インドネシア国内の農業政策や農業技術の変化も、生産量に大きく関係しています。1960年代から1980年代にかけては農地の拡大と効率的な栽培技術の導入が成功し、それが長期的な生産量の増加をもたらしました。しかし、近年の幅広い土地開発やインフラ整備に伴い、伝統的なココナッツ農業地帯が減少していることが課題です。

さらに、人件費や労働力市場の変化も重要な要因です。インドネシアはアジア諸国と比較して労働力が安価なため競争力がありますが、都市化の進展により、農村部を離れる労働者が増加しています。その結果、農村地帯ではココナッツ産業を支えるマンパワーの不足が深刻化しており、生産効率を下げる一因となっています。

周辺国との比較を見てみると、フィリピンやインドもココナッツ生産の重要国として位置していますが、インドネシアはその中でも世界市場のシェアにおいて依然としてリードしています。さらに、日本、中国、アメリカ、ヨーロッパといった輸入国に向け、多様な製品(コプラ、ココナッツオイルなど)で輸出を維持しています。

これらの背景をふまえ、今後のココナッツ生産を向上させるためにはいくつかの具体的な対策が必要です。まず、気候変動への適応として、耐乾性や耐病性を持つ新品種の開発と普及が急務です。例えば、遺伝子組み換え技術や地元品種の改良を活用する動きが求められます。また、近隣のフィリピンなどと連携し、多国間の研究開発プロジェクトを立ち上げることも効果的でしょう。

さらに、農村地域へのインフラ投資を進めることも優先事項です。効率的な流通網の整備によって、農家が生産したココナッツを市場へ迅速に届けることが可能になります。政府はまた、若い世代に対し農業技術教育を強化し、農業労働力の不足を緩和するための経済的な奨励策を拡充するべきです。

最後に、地政学的な観点を加えると、ココナッツ製品の世界需要が高まる中、他国との競争が激化する可能性があります。特に米中貿易摩擦や他の輸出入政策の変化が国際市場に影響するため、輸出政策の安定化と多様化が必要です。

これらを踏まえると、長期的には気候変動や社会変化を考慮した持続可能な農業モデルの構築が不可欠です。ココナッツ産業が引き続きインドネシアの地域経済と国際輸出に貢献するには、政策支援と研究開発、地域協力の強化が鍵となるでしょう。

キーワード検索
楽天おすすめ