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インドネシアの茶葉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年最新データによると、インドネシアの茶葉生産量は歴史的に大きな変動を経験してきました。特に1960年代から1980年代への増加、1990年代の急激な上昇、そして2000年代以降の安定と下降傾向が見られます。2019年からの低下が続き、2022年には595,000トンと近年の最低水準に達しました。地政学的リスクや気候変動、国際市場の需要変化が重要な影響を与えていることが推測されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 647,000
8.74% ↑
2022年 595,000
-0.67% ↓
2021年 599,000
-4.31% ↓
2020年 626,000
11.79% ↑
2019年 560,000
-8.2% ↓
2018年 610,000
-4.09% ↓
2017年 636,000
1.6% ↑
2016年 626,000
8.49% ↑
2015年 577,000
-14.01% ↓
2014年 671,000
5.84% ↑
2013年 634,000
1.6% ↑
2012年 624,000
-2.04% ↓
2011年 637,000
-2.6% ↓
2010年 654,000
-4.11% ↓
2009年 682,000
1.94% ↑
2008年 669,000
2.14% ↑
2007年 655,000
2.5% ↑
2006年 639,000
-12.1% ↓
2005年 727,000 -
2004年 727,000
-1.49% ↓
2003年 738,000
2.79% ↑
2002年 718,000
-1.1% ↓
2001年 726,000
2.69% ↑
2000年 707,000
1% ↑
1999年 700,000
-3.45% ↓
1998年 725,000
8.53% ↑
1997年 668,000
-7.61% ↓
1996年 723,000
7.91% ↑
1995年 670,000
10.74% ↑
1994年 605,000
-15.62% ↓
1993年 717,000
7.34% ↑
1992年 668,000
10.05% ↑
1991年 607,000
289.3% ↑
1990年 155,919
10.29% ↑
1989年 141,374
5.66% ↑
1988年 133,800
6.11% ↑
1987年 126,096
-2.61% ↓
1986年 129,481
1.58% ↑
1985年 127,464
0.81% ↑
1984年 126,443
14.62% ↑
1983年 110,317
18.96% ↑
1982年 92,732
-15.03% ↓
1981年 109,135
2.79% ↑
1980年 106,175
9.21% ↑
1979年 97,217
5.54% ↑
1978年 92,110
11.07% ↑
1977年 82,928
12.42% ↑
1976年 73,765
5.24% ↑
1975年 70,089
7.8% ↑
1974年 65,017
-3.8% ↓
1973年 67,584
12.78% ↑
1972年 59,924
-1.64% ↓
1971年 60,922
-5.06% ↓
1970年 64,166
-10.35% ↓
1969年 71,570
-5.3% ↓
1968年 75,574
-0.59% ↓
1967年 76,020
6.03% ↑
1966年 71,700
-10.15% ↓
1965年 79,800
7.26% ↑
1964年 74,400
-1.59% ↓
1963年 75,600
-5.97% ↓
1962年 80,400
4.28% ↑
1961年 77,100 -

インドネシアは長らく世界的な茶葉生産国としての地位を保持しており、その生産は気候や土壌の適性、労働力の availability(利用可能性)など自然および経済的要因に依存しています。データによると、1960年代の生産量は約70,000~80,000トンの間で推移し、その後1980年代に急速に増加しました。このトレンドは、国内における技術革新、生産効率向上、および国際市場向けの輸出拡大施策と一致しています。1990年代には、生産量が600,000トンを超え、最大で725,000トン(1998年)と記録的な水準に達しました。一方で、2006年以降、顕著な減少が見られ始め、現在の減少傾向に至っています。

特筆すべきは、2010年代後半から2020年代初頭にかけて、生産量が大きく伸び悩み、2022年時点では595,000トンと、2015年(577,000トン)以来の近年の最低値を記録したことです。この低迷の背後には、気候変動による異常気象や病害虫の発生頻度増加があると考えられます。また、農地の都市化や労働力不足といった国内問題も影響している可能性があります。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響が供給チェーンと市場価格に悪影響を及ぼしたことが、この期間の生産力低下に拍車をかけた要因とみられます。

他国との比較を行うと、同様にアジアの主要な茶葉生産国である中国やインドは、近年の生産量を着実に拡大しています。中国の生産は機械化や持続可能な農業手法の導入により増加を続けており、インドもまた内需および輸出市場の需要を満たすための大規模農法を推進しています。一方でインドネシアは、他国に比べて近代的な農業手法の展開が限定的であり、この点が国際競争力の低下につながっています。

地政学的背景においては、インドネシアの茶産業が輸出市場へ大きく依存していることがあげられます。主要な輸出先での経済変動や貿易政策の変化が、価格および需要に直接影響を及ぼしてきました。特に、2020年以降の国際物流の混乱は輸出に大きな課題をもたらしました。また、インドネシア国内での茶産業への関心の低下や農業技術の遅れが、現状をさらに難しいものにしています。

この現状を打開するためには、まず気候変動に対応した作物管理技術の普及と研究開発への投資を強化する必要があります。高品質茶葉の栽培技術を取り入れることや、持続可能な農法を導入することが求められます。また、都市化に伴う農地の減少を補うために、精緻農業(精密なデータに基づく施策)や垂直農法の導入を検討することが重要です。国際市場での競争を強化するために、マーケティング戦略の刷新やブランディングの向上を図ることが効果的です。

さらに、地政学的リスクの軽減には、東南アジア諸国との協力を基盤とした地域貿易枠組み強化が必要です。2020年代に入ってからのデータに基づき、国際輸出シェア回復を目指して、供給チェーン改革や電子化の推進などの施策を講じるべきです。

結論として、インドネシアの茶葉生産量の推移からは、環境問題や経済的課題が複雑に絡み合う現状が浮かび上がります。しかし、国内外の人的資源を活用し、新技術の導入や政策の改善を実現することで、茶産業の競争力を再び強化することが可能です。この点について、国際協力機関との連携も視野に入れた具体的な行動が求められます。