Skip to main content

インドネシアの落花生生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによると、インドネシア国内の落花生生産量は1961年以降、全体として増加傾向を示しましたが、2000年代後半以降減少に転じています。特に2022年には379,000トンと過去最低水準に達しましたが、2023年に640,000トンへ回復しました。このデータは、気候変動や土地利用の変化、新型コロナの影響など、複数の要因が生産動態に影響を与えていることを示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 640,000
68.87% ↑
2022年 379,000
-45.7% ↓
2021年 698,000
-2.38% ↓
2020年 715,000
-1.38% ↓
2019年 725,000
-18.17% ↓
2018年 886,000
4.36% ↑
2017年 849,000
-10.82% ↓
2016年 952,000
-10.44% ↓
2015年 1,063,000
-5.17% ↓
2014年 1,121,000
-8.94% ↓
2013年 1,231,000
-1.6% ↓
2012年 1,251,000
3.13% ↑
2011年 1,213,000
-11.27% ↓
2010年 1,367,000
0.17% ↑
2009年 1,364,700
0.82% ↑
2008年 1,353,600
-2.22% ↓
2007年 1,384,400
-5.82% ↓
2006年 1,470,000
0.2% ↑
2005年 1,467,000
-0.14% ↓
2004年 1,469,000
6.6% ↑
2003年 1,378,000
9.45% ↑
2002年 1,259,000
1.12% ↑
2001年 1,245,000
-3.64% ↓
2000年 1,292,000
11.67% ↑
1999年 1,157,000
-4.93% ↓
1998年 1,217,000
0.58% ↑
1997年 1,210,000
-6.71% ↓
1996年 1,297,000
19.54% ↑
1995年 1,085,000
0.56% ↑
1994年 1,079,000
-3.83% ↓
1993年 1,122,000
-13.49% ↓
1992年 1,297,000
13.57% ↑
1991年 1,142,000 -
1990年 1,142,000
4.96% ↑
1989年 1,088,000
5.02% ↑
1988年 1,036,000
10.57% ↑
1987年 937,000
-16.86% ↓
1986年 1,127,000
21.44% ↑
1985年 928,000
-1.38% ↓
1984年 941,000
16.46% ↑
1983年 808,000
5.35% ↑
1982年 767,000
-8.25% ↓
1981年 836,000
-0.12% ↓
1980年 837,000
12.2% ↑
1979年 746,000
0.13% ↑
1978年 745,000
9.08% ↑
1977年 683,000
19.82% ↑
1976年 570,000
-9.95% ↓
1975年 633,000
23.63% ↑
1974年 512,000
5.79% ↑
1973年 484,000
2.98% ↑
1972年 470,000
-0.63% ↓
1971年 473,000
1.07% ↑
1970年 468,000
5.17% ↑
1969年 445,000
-6.9% ↓
1968年 478,000
18.91% ↑
1967年 402,000
-8.22% ↓
1966年 438,000
8.15% ↑
1965年 405,000
-6.9% ↓
1964年 435,000
10.97% ↑
1963年 392,000
-9.89% ↓
1962年 435,000
3.57% ↑
1961年 420,000 -

インドネシアの落花生生産量の推移を振り返ると、1961年には42万トンだった生産量が、1980年代半ばには100万トンを超えるまでに増加しました。この成長期は、農業技術の発展や生産性向上を目的とした政策の進展が貢献したと考えられます。特に1986年には1,127,000トン、1992年と1996年にはそれぞれ1,297,000トンを記録し、この時期がインドネシアの落花生生産のピークと見られます。1990年代には、国内の貿易政策やインフラ整備が農業生産の後押しとなったと分析されています。

しかし2000年代に入り、増加していた生産量は減少傾向に入りました。2005年から2007年にかけて若干の横ばい状態を保ちながらも、2011年以降顕著な減少傾向が見られます。2019年には725,000トンとなり、2022年にはついに379,000トンと過去最低を記録しました。コロナ禍がもたらした労働力不足や物流面での混乱が、ここ数年間の減少に拍車をかけた可能性があります。

一方で、2023年には640,000トンへと回復しました。この回復には、生産効率向上のための農業技術の改革や、特定地域での降雨量の改善が寄与したと考えられます。それでも、依然としてピーク時の生産量には遠く及ばず、全体として低迷している状態にあります。このような動態の背景には、気候変動による降水パターンの変化や干ばつといった自然要因に加えて、農地の都市化や農業従事者の高齢化など、構造的な課題も見逃せません。

インドネシア国内では、落花生は重要な食料作物であることはもちろん、中国やインドを含むアジア諸国が主要な競合相手として存在しています。中国やインドでは、政府の強い支援政策や農業施設の近代化が生産量の維持や向上につながっている一方で、インドネシアはその競争力を徐々に失っていると言えるでしょう。また、アフリカ諸国での落花生生産の拡大も市場シェアを分散する要因となっています。

今後、この生産低迷を克服するためには、インドネシア政府や地域の農業団体が主体的な政策介入を行うことが必須です。一つの具体的な提案として、気候変動適応型の農業技術や灌漑システムの開発があります。例えば、干ばつに強い落花生の品種改良や、水資源の効率的利用を目的とした最新の灌漑技術が必要です。また、若年層の参加を促すための農業教育とトレーニングプログラムの創設も重要です。さらに、地域レベルでの協力と統合を進めることで、農産物流通の効率化やコスト削減が見込めます。

地政学的背景の観点から見ると、インドネシアは輸出依存からの脱却にも注力すべきです。国際市場の価格変動や、紛争などによる供給チェーンの寸断リスクを避けるためにも、国内消費を重視した持続可能な農業体制を構築することが提唱されます。

結論として、インドネシアの落花生の生産量は、気候変動から社会的課題まで多くの要因に影響されている複雑な状況です。この現状に対応するためには、農業政策の抜本的な見直しと長期的な計画の実施が不可欠です。国際連合食糧農業機関をはじめとする国際的な支援も活用しながら、農業生産の持続可能な未来を目指すことが重要です。

キーワード検索
楽天おすすめ