Skip to main content

インドネシアのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによれば、インドネシアのパイナップル生産量は長期間にわたる変動を経て、近年では著しい増加を見せています。2023年の生産量は3,156,576トンで、過去最高の水準を記録した2022年(3,203,775トン)に次ぐ値となっています。1961年の50,000トンから2023年には約63倍に成長しており、特に2000年以降の増加傾向が顕著です。この推移は、農業技術の進展や国際的な需要拡大と密接に関係しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,156,576
-1.47% ↓
2022年 3,203,775
10.99% ↑
2021年 2,886,417
17.95% ↑
2020年 2,447,243
11.42% ↑
2019年 2,196,456
21.65% ↑
2018年 1,805,499
0.53% ↑
2017年 1,795,986
28.64% ↑
2016年 1,396,153
-19.28% ↓
2015年 1,729,599
-5.77% ↓
2014年 1,835,491
-2.51% ↓
2013年 1,882,806
5.66% ↑
2012年 1,781,899
15.66% ↑
2011年 1,540,626
9.54% ↑
2010年 1,406,445
-9.74% ↓
2009年 1,558,196
8.73% ↑
2008年 1,433,133
2.69% ↑
2007年 1,395,566
-2.26% ↓
2006年 1,427,781
54.34% ↑
2005年 925,082
30.31% ↑
2004年 709,918
4.85% ↑
2003年 677,089
21.87% ↑
2002年 555,588
12.25% ↑
2001年 494,968
25.85% ↑
2000年 393,299
24.27% ↑
1999年 316,479
-3.2% ↓
1998年 326,956
-15.25% ↓
1997年 385,779
-23.02% ↓
1996年 501,111
-28.75% ↓
1995年 703,300
103.55% ↑
1994年 345,519
-24.74% ↓
1993年 459,105
22.01% ↑
1992年 376,279
0.33% ↑
1991年 375,039
-3.92% ↓
1990年 390,340
81.21% ↑
1989年 215,405
-39.78% ↓
1988年 357,681
2.83% ↑
1987年 347,828
-9.89% ↓
1986年 386,000
25.02% ↑
1985年 308,762
-34.94% ↓
1984年 474,576
46.95% ↑
1983年 322,954
5.54% ↑
1982年 306,000
68.13% ↑
1981年 182,000
0.81% ↑
1980年 180,543
-30.21% ↓
1979年 258,712
71.33% ↑
1978年 151,000
-2.1% ↓
1977年 154,240
36.9% ↑
1976年 112,670
-5.72% ↓
1975年 119,500
-1.73% ↓
1974年 121,600
-3.49% ↓
1973年 126,000
20% ↑
1972年 105,000
8.25% ↑
1971年 97,000
27.63% ↑
1970年 76,000
-36.67% ↓
1969年 120,000
-20% ↓
1968年 150,000
50% ↑
1967年 100,000 -
1966年 100,000
11.11% ↑
1965年 90,000
28.57% ↑
1964年 70,000 -
1963年 70,000
40% ↑
1962年 50,000 -
1961年 50,000 -

インドネシアのパイナップル生産量は過去60年で大きな変遷を遂げており、一貫して右肩上がりというわけではなく、いくつかの波を伴って成長してきました。当初の1961年には50,000トンと限定的な生産量でしたが、1980年代には30万トンから40万トン台に達し、1990年代には70万トン近く、そして2000年代以降から急速に生産量が拡大しました。この背景には、国内外市場の需要増加、農業技術の導入、そして新たな品種の開発が寄与しています。

特に注目すべきなのは、2005年から2022年の間に、パイナップル生産量が100万トンから300万トン以上へと急増した点です。この時期、インドネシア政府は農業生産性を向上させるために技術的支援を拡大し、輸出促進を目的とした政策を導入しました。また、グローバルマーケットではパイナップルが健康志向の食品として注目されるようになり、インドネシア産パイナップルの需要も増加しています。

しかし、この急成長は必ずしも平坦な道のりではありませんでした。1969年や1985年、1998年、2016年など、特定の年には生産量が大きく減少する傾向も見られます。こうした減少は、主に天候不順や自然災害、あるいはインフラの問題、さらには経済危機の影響が考えられます。たとえば、1998年はアジア金融危機が影響を及ぼした年であり、農業部門も影響を受けたことがうかがえます。

地政学的背景として、インドネシアは熱帯地域に位置し、パイナップル生産には適した気候条件を備えています。しかし、集中豪雨や干ばつといった極端な気象現象が頻発するリスクも伴っています。さらに、新型コロナウイルス感染症の流行は2020年以降の輸出入や物流に大きな障害をもたらしましたが、国内需要の増加により生産量はむしろ増加しています。

急成長を遂げてきたパイナップル生産の現状を見ると、今後の課題と機会も浮き彫りになります。まず、急激な生産拡大が持続可能性に与える影響です。土地利用の増加に伴い、森林伐採や土壌劣化、そして一部地域での生物多様性喪失のリスクが高まっています。また、インフラの不備や物流の効率性不足により、安定した輸出が課題となっています。

これらの課題に対する具体的な対策として、以下のような取り組みが提案されます。まず、環境保護を考慮した持続可能な農業技術の普及が必要です。たとえば、マルチクロップ(多収穫農法)や適切な灌漑技術の導入は、土壌の保全にもつながります。また、国内外の消費市場においてインドネシア産パイナップルのブランド価値を向上させるため、品質管理基準の徹底や国際認証の取得を進めることが求められます。

さらに、地域間協力や国際機関との連携により、農業インフラや物流ネットワークの強化を図ることも重要です。これにより、収穫から市場までのプロセスが効率化し、生産者の収入も安定するでしょう。また、新たなグローバル市場への進出を目指し、FTA(自由貿易協定)や貿易交渉を活用することで、輸出機会を拡大することも期待されます。

結論として、インドネシアのパイナップル生産量は長期間にわたり着実に成長を続けていますが、これをさらに持続可能な形で発展させるには、環境保護と効率的な供給体制の構築が欠かせません。国や国際機関だけでなく、地域社会や農業従事者が協力し、持続可能な農業と地政学的リスクへの対応を強化することが、今後の成功の鍵となります。