国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、インドネシアの馬肉生産量は1961年の920トンから2023年の1,597トンまで推移しています。この期間を通じて、一貫した増加や減少ではなく、大きく変動してきました。1970年代から1980年代にかけて急激な増加が見られた一方、2000年以降には上昇と下降を繰り返しながらも減少傾向にあります。特に2020年以降は著しい下落が見られましたが、2023年にはやや回復基調にあります。この推移には、農業政策、食生活の変化、または市場需要の変動などが影響していると考えられます。
インドネシアの馬肉推移(1961年~2023年)
年度 | (トン) | 増減率 |
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2023年 | 1,597 |
19.37% ↑
|
2022年 | 1,338 |
3.48% ↑
|
2021年 | 1,293 |
4.11% ↑
|
2020年 | 1,242 |
-32.79% ↓
|
2019年 | 1,848 |
-23.06% ↓
|
2018年 | 2,402 |
-12.4% ↓
|
2017年 | 2,742 |
7.07% ↑
|
2016年 | 2,561 |
14.38% ↑
|
2015年 | 2,239 |
-3.24% ↓
|
2014年 | 2,314 |
-22.97% ↓
|
2013年 | 3,004 |
2.88% ↑
|
2012年 | 2,920 |
33.7% ↑
|
2011年 | 2,184 |
10.64% ↑
|
2010年 | 1,974 |
9.73% ↑
|
2009年 | 1,799 |
-0.77% ↓
|
2008年 | 1,813 |
-8.25% ↓
|
2007年 | 1,976 |
-12.84% ↓
|
2006年 | 2,267 |
42.49% ↑
|
2005年 | 1,591 |
1.99% ↑
|
2004年 | 1,560 |
-1.89% ↓
|
2003年 | 1,590 |
50% ↑
|
2002年 | 1,060 |
-2.75% ↓
|
2001年 | 1,090 |
17.46% ↑
|
2000年 | 928 |
-59.03% ↓
|
1999年 | 2,265 |
16.27% ↑
|
1998年 | 1,948 |
29.09% ↑
|
1997年 | 1,509 |
30.2% ↑
|
1996年 | 1,159 |
-6.31% ↓
|
1995年 | 1,237 |
-4.85% ↓
|
1994年 | 1,300 |
-18.75% ↓
|
1993年 | 1,600 |
-11.11% ↓
|
1992年 | 1,800 |
20% ↑
|
1991年 | 1,500 |
-11.76% ↓
|
1990年 | 1,700 |
21.43% ↑
|
1989年 | 1,400 |
-12.5% ↓
|
1988年 | 1,600 |
6.67% ↑
|
1987年 | 1,500 |
15.38% ↑
|
1986年 | 1,300 |
-23.53% ↓
|
1985年 | 1,700 | - |
1984年 | 1,700 |
-5.56% ↓
|
1983年 | 1,800 | - |
1982年 | 1,800 |
5.88% ↑
|
1981年 | 1,700 |
6.25% ↑
|
1980年 | 1,600 |
14.29% ↑
|
1979年 | 1,400 |
-23.33% ↓
|
1978年 | 1,826 |
7.67% ↑
|
1977年 | 1,696 |
11.8% ↑
|
1976年 | 1,517 |
-1.43% ↓
|
1975年 | 1,539 |
22.73% ↑
|
1974年 | 1,254 |
6.72% ↑
|
1973年 | 1,175 |
18.57% ↑
|
1972年 | 991 |
40.97% ↑
|
1971年 | 703 |
57.62% ↑
|
1970年 | 446 |
1.36% ↑
|
1969年 | 440 |
18.92% ↑
|
1968年 | 370 |
-26% ↓
|
1967年 | 500 |
-19.35% ↓
|
1966年 | 620 |
-28.74% ↓
|
1965年 | 870 |
16% ↑
|
1964年 | 750 | - |
1963年 | 750 |
-6.25% ↓
|
1962年 | 800 |
-13.04% ↓
|
1961年 | 920 | - |
インドネシアの馬肉生産量の推移を詳しく見ると、1961年の920トンから1970年代後半には1,500トン以上へと急増し、1980年代には2,000トン付近で安定していました。この増加は、当時の農業政策や家畜利用の拡大といった背景が影響していると考えられます。一方で、1990年代半ばからは生産量が下落傾向を示し、2000年には928トンと急減しました。その後、2012年には2,920トンと最大値を記録しましたが、それ以降、減少が目立ち、2020年には1,242トンまで落ち込みました。その後、2023年にはやや回復し1,597トンとなりました。
このデータに基づき、インドネシアにおける馬肉生産の動態には複数の要因が関与していると考えられます。一つには、食生活の変化が挙げられます。インドネシアでは、近年西洋式の食文化が浸透するとともに、伝統的な食品の需要が変わってきています。また、都市化の進行に伴い家畜飼育の環境が制限され、地方での生産が減少した可能性もあります。さらに、気候変動や経済的な要因、そして輸出入のバランスが影響していることが推察されます。
2020年以降の生産量の急減に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響を無視することはできません。感染拡大による物流の停滞や家畜市場の縮小、そして国内外における需要の変動が馬肉生産に大きな影響を与えたと考えられます。ただし、2023年には1,597トンまで回復を見せており、徐々に安定傾向にある点は注目に値します。
今後の課題としては、市場の需要に応じた生産体制の見直しが必要です。具体的には地方の小規模生産者を支援し、効率的な飼育技術や持続可能な家畜管理の普及を図ることが求められます。また、輸送と流通のインフラを整えることで、安定した供給を実現し、経済的損失を減少させることも重要です。さらに、国際的な輸出市場を視野に入れた品質管理や基準の統一も、今後の競争力強化につながるでしょう。
地政学的背景も無視できません。インドネシアはアジア太平洋地域に位置し、中国、日本、韓国といった近隣国との食肉市場での競争が激化しています。特に中国や日本では馬肉が一定の需要を持っており、インドネシア産の馬肉が競争市場において十分な認知を得るにはブランド化や品質向上が鍵となるでしょう。
結論として、インドネシアの馬肉生産は長期的な増減の変動を経て、現在は回復の兆しが見えつつあります。これを維持し、さらに発展させるためには、食文化の変化や市場需要を的確に把握し、それに応じた政策を講じることが必須です。国内消費者だけでなく、国際市場の需要に対応するための長期的な戦略を政府や産業界が共に練ることが求められます。