Skip to main content

インドネシアの牛乳生産量推移(1961-2022)

FAO(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、インドネシアの牛乳生産量は1961年の約200,883トンから2022年には1,581,467トンへと約8倍近く増加しました。このデータからは、20世紀後半以降のインドネシアにおける牛乳生産の劇的な成長と近年の増加ペースの緩やかさが見て取れます。一方、特に1998年や2013年頃に生産量の減少が確認され、外部要因の影響も示唆されています。

年度 生産量(トン)
2022年 1,581,467
2021年 1,550,610
2020年 1,560,110
2019年 1,555,059
2018年 1,543,965
2017年 1,545,256
2016年 1,517,763
2015年 1,463,634
2014年 1,417,345
2013年 1,348,590
2012年 1,537,790
2011年 1,544,632
2010年 1,493,965
2009年 1,421,520
2008年 1,223,341
2007年 1,129,104
2006年 1,155,050
2005年 1,060,874
2004年 1,074,284
2003年 1,077,256
2002年 1,008,631
2001年 992,617
2000年 1,010,885
1999年 955,889
1998年 920,880
1997年 994,557
1996年 1,011,025
1995年 987,309
1994年 967,013
1993年 898,476
1992年 899,268
1991年 880,226
1990年 599,155
1989年 586,200
1988年 501,900
1987年 463,400
1986年 451,200
1985年 402,400
1984年 376,000
1983年 371,600
1982年 289,600
1981年 253,800
1980年 246,400
1979年 236,200
1978年 229,800
1977年 220,700
1976年 206,000
1975年 187,600
1974年 198,900
1973年 181,000
1972年 181,700
1971年 181,300
1970年 173,800
1969年 182,900
1968年 202,500
1967年 193,000
1966年 201,166
1965年 203,124
1964年 192,416
1963年 189,573
1962年 197,244
1961年 200,883

インドネシアの牛乳生産量推移データからは、この国が農業及び乳製品生産において着実な成長を遂げてきたことが分かります。1960年代から1980年代初頭までは20万~30万トン台の範囲で安定していましたが、1983年以降から急激な増加が見られ、特に1990年代には飛躍的な成長を遂げました。例えば、1990年の牛乳生産量は599,155トンでしたが、1991年には大幅に跳ね上がり880,226トンとなっており、この急成長は酪農技術の進展や乳牛の改良、政策的な支援が重要な役割を果たしていると考えられます。

1990年代半ばから2000年代初頭にかけても概ね増加傾向を維持していましたが、1998年のアジア金融危機の影響で生産量が低下(920,880トン)するなど、経済的混乱が農業部門にも波及した可能性があります。その後、生産量は再び回復基調を辿り、2009年には1,421,520トン、2010年には1,493,965トンと100万トンを安定して超える状態に達しました。しかしながら、2012年以降には増加ペースが鈍化し、2013年には一時的に減少(1,348,590トン)していることも注目に値します。これは、国内外の経済状況の変動や自然災害など複数の要因が影響したと考えられます。

2020年以降は、新型コロナウイルス感染症の流行や関連する社会経済的な制約もある中、インドネシアの牛乳生産量は概ね安定しており、2022年には1,581,467トンと過去最高の生産量を記録しました。これは牛乳に対する消費需要の高まりや、生産効率向上に向けた取り組みが実を結びつつある点を示しています。他方、インドネシアは乳製品の大部分を輸入に依存しており、国内の生産量は依然として需要を完全に満たしているわけではありません。

インドネシアの牛乳生産の課題の一つは、国内の酪農業の規模と効率の向上です。同国の乳牛農家の多くは小規模であり、近代化された酪農技術の導入が遅れている地域も少なくありません。また、飼料の安定供給、気候変動の影響、乳牛の健康管理なども持続的な生産量拡大に影響する要因です。これに加え、例えばオーストラリアやニュージーランドといった大規模酪農国からの競争も、インドネシア国内の酪農業界にとっては難題となっています。

インドネシア政府及び関係機関が取り組むべき具体的な対策としては、酪農生産のインフラ整備への投資拡大が挙げられます。特に小規模農家に対する近代的な酪農技術や施設への支援を拡充することが急務です。また、乳牛品種の改良や飼料の自給率向上、国内外市場での価格競争力を高めるための政策立案が重要です。さらに、気候変動の影響を受けにくい飼育環境の整備や、持続可能な農業指針の策定も求められます。

結論として、このデータが示すインドネシアの牛乳生産量の成長は注目に値する一方で、将来的な持続可能性と自給率向上が鍵となる課題であることが明らかです。国際機関や近隣諸国との協力も含め、インドネシア政府は国内酪農業の発展に向けた包括的な政策を策定する必要があります。これらの取り組みは、食料保障の観点からも同国の安定成長に大きく寄与することでしょう。