国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、インドネシアのヨーグルト生産量は、1961年の227トンから2021年の6,584トンへと大きく増加しました。この間、特に1980年代から1990年代中頃にかけて急激な成長が見られ、その後も断続的な成長と停滞を繰り返しています。近年では、2016年以降、安定した生産量が維持されていますが、2002年の急激な減少や経済危機時の生産量の低迷が示唆するように、インドネシアのヨーグルト生産は地政学的影響や経済状況に左右されやすい傾向が見られます。
インドネシアのヨーグルト生産量推移(1961年~2021年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2021年 | 6,584 |
1.61% ↑
|
2020年 | 6,480 |
0.06% ↑
|
2019年 | 6,476 |
-0.15% ↓
|
2018年 | 6,485 |
2.03% ↑
|
2017年 | 6,356 |
1.93% ↑
|
2016年 | 6,236 |
11.9% ↑
|
2015年 | 5,573 |
5.16% ↑
|
2014年 | 5,300 |
-0.38% ↓
|
2013年 | 5,320 |
-18.68% ↓
|
2012年 | 6,542 |
-3.69% ↓
|
2011年 | 6,792 |
7.9% ↑
|
2010年 | 6,295 |
1.21% ↑
|
2009年 | 6,220 |
36.25% ↑
|
2008年 | 4,565 |
7.57% ↑
|
2007年 | 4,244 |
-6.68% ↓
|
2006年 | 4,547 |
16.37% ↑
|
2005年 | 3,907 |
-2.4% ↓
|
2004年 | 4,003 |
102.74% ↑
|
2003年 | 1,975 |
10.02% ↑
|
2002年 | 1,795 |
-47.65% ↓
|
2001年 | 3,429 |
-2.99% ↓
|
2000年 | 3,534 |
11% ↑
|
1999年 | 3,184 |
20.18% ↑
|
1998年 | 2,649 |
-9.42% ↓
|
1997年 | 2,925 |
-4.05% ↓
|
1996年 | 3,048 |
2.26% ↑
|
1995年 | 2,981 |
1.6% ↑
|
1994年 | 2,934 |
10% ↑
|
1993年 | 2,667 |
2.85% ↑
|
1992年 | 2,593 |
2.48% ↑
|
1991年 | 2,530 |
5.7% ↑
|
1990年 | 2,394 |
3.53% ↑
|
1989年 | 2,312 |
28.16% ↑
|
1988年 | 1,804 |
12.43% ↑
|
1987年 | 1,605 |
6.5% ↑
|
1986年 | 1,507 |
15.12% ↑
|
1985年 | 1,309 |
7.46% ↑
|
1984年 | 1,218 |
2.53% ↑
|
1983年 | 1,188 |
48.35% ↑
|
1982年 | 801 |
36.76% ↑
|
1981年 | 586 |
9.69% ↑
|
1980年 | 534 |
8.64% ↑
|
1979年 | 491 |
15.9% ↑
|
1978年 | 424 |
2.51% ↑
|
1977年 | 414 |
4.32% ↑
|
1976年 | 396 |
13.76% ↑
|
1975年 | 349 |
-10.43% ↓
|
1974年 | 389 |
63.13% ↑
|
1973年 | 239 |
-8.47% ↓
|
1972年 | 261 |
5.86% ↑
|
1971年 | 246 |
22.37% ↑
|
1970年 | 201 |
1.57% ↑
|
1969年 | 198 |
-19.4% ↓
|
1968年 | 246 |
-5.78% ↓
|
1967年 | 261 |
-14.12% ↓
|
1966年 | 304 |
8.42% ↑
|
1965年 | 280 |
8.16% ↑
|
1964年 | 259 |
14.48% ↑
|
1963年 | 226 |
-4.6% ↓
|
1962年 | 237 |
4.48% ↑
|
1961年 | 227 | - |
インドネシアにおけるヨーグルト生産量の推移データを具体的に見ると、1961年時点のわずか227トンから2021年の6,584トンへと60年間で大幅な増加を示しており、この成長は食品産業の発展や乳製品の需要の増加に起因しています。1960年代から1970年代前半にかけては緩やかな増加を辿りましたが、1970年代後半から1980年代の発展がより顕著であり、この時期には特に消費者嗜好の変化と都市化の進展が背景にあります。また、1980年代の急激な成長は、食料品製造技術の発展や輸送インフラの整備、国内経済の拡大が直接的な要因と考えられます。
1997年から1998年、アジア通貨危機の時期には、インドネシア国内が深刻な経済危機に陥り、生産量が低迷したことがデータからも明らかです。当時は、輸入材料や機器のコスト高騰、購買力の低下、そして生産や流通の混乱が影響し、1997年の2,925トンから1998年には2,649トンに減少しました。しかしその後、経済危機が収束するとともに生産量は次第に持ち直し、2000年代に入るとさらに上昇します。特に2004年以降、4,000~6,000トン台に達し、ヨーグルトの消費が新たな健康志向の流行に乗じて増加した可能性があります。しかし、2002年に突然1,795トンに激減しているのは特筆に値します。この時期には、疫病や自然災害の影響、または市場の変化があった可能性があります。
2010年代に入ると、6,000トン前後の安定期に入りますが、2013年から2014年にかけて生産量が減少しており、この背景にはインフレや乳原料価格の変動、または国内消費市場の過渡的な落ち込みが影響したと考えられます。2016年以降は再び増加傾向が見られ、2021年には6,584トンと過去最高水準に到達しています。このような安定した推移は、インドネシア政府による農業・畜産支援政策の強化や、乳製品の現地生産拡大の取り組みによるものと推測されます。
インドネシアのヨーグルト生産の課題としては、生産量が都市化や健康志向の高まりに対応して増加してはいる一方で、地政学的リスクや経済の不安定性に敏感である点が挙げられます。例えば、経済危機や自然災害が発生すると、生産量が大幅に変動する傾向が見られます。また、国内での乳産業基盤がまだ十分に確立されていないため、乳製品原料の輸入依存が高く、原料価格の影響を受けやすい環境にあることも課題です。
今後の具体的な課題解決策としては、乳製品生産の国内基盤を強化することが挙げられます。これは、農業や畜産業への投資を増やし、質の高い飼料や技術を提供することで実現可能です。また、乳牛の飼育基盤を安定させるための農業支援政策を導入し、地元の酪農産業を成長させることが不可欠です。さらに、地域の協力体制を強化し、ASEAN市場を活用した輸出機会の創出も重要です。
結論として、インドネシアのヨーグルト生産がこのまま成長を続けるためには、国内の農業基盤の強化と持続可能な生産体制の構築が鍵となります。国の政策や地域協力を通じて、安定した生産と輸出市場の開拓を目指すことで、将来的な成長を支えることができるでしょう。このような取り組みによって、インドネシアは乳製品市場においても国際的な競争力を高めることが期待されます。