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スリランカの羊肉生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)が最新(2024年)に発表したデータによると、スリランカの羊肉生産量は1960年代の年間260~320トンの安定した水準から、後半の数十年間で減少傾向が見られ、2000年代には特に低迷しました。しかし、2010年代後半からは年間約100トン前後で推移し、直近の2022年では112トンとなっています。これは、1960年代の生産量の半分以下に留まっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 112
0.67% ↑
2021年 111
5.18% ↑
2020年 105
-3.69% ↓
2019年 109
-0.36% ↓
2018年 110
0.29% ↑
2017年 109
37.71% ↑
2016年 79
-2.5% ↓
2015年 82
-29.01% ↓
2014年 115
14.84% ↑
2013年 100
-5.66% ↓
2012年 106 -
2011年 106
6% ↑
2010年 100 -
2009年 100
-23.08% ↓
2008年 130
-35% ↓
2007年 200
17.65% ↑
2006年 170
28.79% ↑
2005年 132
-9.59% ↓
2004年 146
28.07% ↑
2003年 114
-5% ↓
2002年 120
-24.05% ↓
2001年 158
5.33% ↑
2000年 150
-6.25% ↓
1999年 160 -
1998年 160
-15.79% ↓
1997年 190
-5% ↓
1996年 200
-9.09% ↓
1995年 220
-15.38% ↓
1994年 260
18.18% ↑
1993年 220
10% ↑
1992年 200
25% ↑
1991年 160 -
1990年 160
-20% ↓
1989年 200 -
1988年 200
-9.09% ↓
1987年 220
-8.33% ↓
1986年 240
-14.29% ↓
1985年 280
-6.67% ↓
1984年 300
15.38% ↑
1983年 260
-18.75% ↓
1982年 320
14.29% ↑
1981年 280 -
1980年 280
16.67% ↑
1979年 240
-7.69% ↓
1978年 260 -
1977年 260 -
1976年 260
-7.14% ↓
1975年 280 -
1974年 280
16.67% ↑
1973年 240
9.09% ↑
1972年 220
-8.33% ↓
1971年 240
-7.69% ↓
1970年 260 -
1969年 260
-13.33% ↓
1968年 300
-6.25% ↓
1967年 320
14.29% ↑
1966年 280 -
1965年 280
7.69% ↑
1964年 260
8.33% ↑
1963年 240 -
1962年 240
-7.69% ↓
1961年 260 -
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スリランカの羊肉生産量は、過去60年以上にわたり変動を示してきました。1960年代には260~320トンという安定した水準を保っていた一方で、1970年代後半から1980年代にかけて緩やかに減少し、1990年代以降では150トンを下回る年もありました。特に2000年代に入ると生産量が顕著に落ち込み、2010年代は年間100トンをやや上回る程度で停滞しました。2020年代に入るとわずかながら回復し、最近の2022年では112トンの生産量が記録されています。

このような長期的な生産量の低下には複数の要因が背景にあると考えられます。まず、スリランカの地理的特性や気候条件が羊の飼育に必ずしも適していないことが大きな要因として挙げられます。同国は熱帯性気候であり、羊の主産地である乾燥・半乾燥地域とは異なる環境に位置しています。また、主に農作物の生産を重視するスリランカの農業政策では家畜産業、とりわけ羊飼育が優先度の低い産業と位置付けられてきた可能性もあります。

さらに、宗教や文化的背景も無視できない要因です。スリランカでは仏教やヒンドゥー教が広く信仰されており、これらの宗教では羊肉を日常的に消費する習慣が比較的少ないとされています。その結果、羊肉需要自体が十分に高まらず、生産者の市場参入意欲が減少したと考えられるでしょう。このほか、内戦や経済的な困難による持続的な農業基盤の弱体化も一因と見られます。

羊肉生産量の低迷は同国の畜産業全般に及ぶ課題の一端を表しています。1990年代から2000年代にかけての減少傾向は、農村部での産業環境の衰退や耕作地・牧草地の縮小とも関係があると言えるでしょう。これに加え、近年の気候変動による畜産環境の悪化も、生産量回復の進展を妨げる要因となる可能性があります。

今後スリランカが羊肉生産をめぐる課題に対処するには、生産環境の改善および多様な施策が求められます。例えば、より乾燥耐性のある羊種を導入することで、地域の気候条件に適した畜産業を進めることが可能です。また、小規模農家を対象とした技術支援や市場構築支援を通じ、安全で競争力のある羊肉生産を促進することも考えられます。他国の成功事例としては、中国やオーストラリアでは牧草地改良や効率的な飼育法導入により、大規模かつ持続可能な羊畜産業を発展させた実績があります。これらの他国からの学びを活用することも一つの方法です。

加えて、地政学的リスクも考慮する必要があります。例えば、スリランカの地理的な位置はインド洋の重要な海上輸送ルートに位置しており、国際的な貿易や物流の影響を受けやすい環境にあります。このような外部要因が国全体の畜産業に与える影響を抑えるには、より強固な地域農業基盤づくりが不可欠と考えられます。

結論として、スリランカの羊肉生産量の推移は、単に農業や畜産業の問題にとどまらず、気候や経済、地政学的要因が絡む複雑な課題を示しています。これを踏まえた政策立案や地域ごとの取り組みが、持続可能な羊肉産業および畜産業の発展につながると期待されます。国際的な協力や研修プログラムを通じて、より効率的かつ環境適応型の畜産経営モデルを模索することが重要でしょう。

スリランカの統計データ
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