Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、スリランカのサツマイモ生産量は1961年に58,323トンを記録して以降、1973年から1975年にかけての急増を経て、1980年代以降は減少傾向が続いています。2000年代以降、生産量は概ね40,000~50,000トンの範囲で推移しており、2022年には45,040トンを記録しました。このデータは、スリランカ国内の農業政策や気候変動、経済条件がサツマイモ生産に与えた影響を示しており、現在の課題と将来の取り組みを検討する上で重要な情報源となっています。
スリランカのサツマイモ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 45,040 |
2021年 | 43,415 |
2020年 | 44,580 |
2019年 | 35,607 |
2018年 | 43,323 |
2017年 | 40,693 |
2016年 | 44,715 |
2015年 | 46,315 |
2014年 | 50,304 |
2013年 | 53,383 |
2012年 | 43,410 |
2011年 | 47,270 |
2010年 | 46,460 |
2009年 | 47,270 |
2008年 | 52,570 |
2007年 | 49,160 |
2006年 | 41,620 |
2005年 | 41,180 |
2004年 | 39,720 |
2003年 | 44,050 |
2002年 | 47,460 |
2001年 | 48,540 |
2000年 | 51,810 |
1999年 | 51,600 |
1998年 | 52,490 |
1997年 | 54,130 |
1996年 | 58,817 |
1995年 | 61,823 |
1994年 | 62,097 |
1993年 | 56,240 |
1992年 | 60,150 |
1991年 | 74,160 |
1990年 | 76,470 |
1989年 | 85,980 |
1988年 | 87,230 |
1987年 | 80,431 |
1986年 | 92,610 |
1985年 | 117,600 |
1984年 | 147,000 |
1983年 | 117,600 |
1982年 | 152,564 |
1981年 | 158,600 |
1980年 | 127,427 |
1979年 | 148,700 |
1978年 | 133,226 |
1977年 | 127,640 |
1976年 | 186,429 |
1975年 | 193,633 |
1974年 | 157,137 |
1973年 | 91,379 |
1972年 | 56,196 |
1971年 | 57,374 |
1970年 | 72,163 |
1969年 | 66,209 |
1968年 | 76,135 |
1967年 | 73,437 |
1966年 | 63,149 |
1965年 | 50,978 |
1964年 | 68,074 |
1963年 | 51,930 |
1962年 | 42,874 |
1961年 | 58,323 |
スリランカのサツマイモ生産量のデータは、同国の農業の成長と変遷を知る上で重要な手がかりを提供します。1960年代から1970年代にかけて、生産量は増減を繰り返しながらも全体的に上昇傾向を見せました。特に1973年から1975年の間には急激に増加し、1974年には過去最高の157,137トンを記録しました。この傾向は、当時の農業政策や技術革新の進展、および国内需要の高まりを反映していると考えられます。
しかし1980年代に入ると、生産量は著しい減少に転じました。この時期には国内の経済事情の悪化や内戦による地政学的リスクの増大が農業セクターに影響を及ぼした可能性があります。また、農地転用や労働力の減少、さらには天候不順も要因として挙げられます。同じように、東南アジアや南アジアの他国と比較しても、サツマイモを含む伝統的農産物の生産量の減少は、工業化や都市化が進む中で共通する現象として見られます。
その後、2000年代以降は生産量が40,000~50,000トン台で安定する一方、大きな回復が見られず停滞期にあるといえます。特に2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大による経済の停滞や労働力不足といった影響が農業全般に及び、サツマイモの生産も例外ではありませんでした。ただし2020年の44,580トンや2022年の45,040トンという数値は、一定の持ち直しの兆しも示しています。
スリランカのサツマイモ産業が直面する課題には、農業での天候依存度の高さに加え、インフラの老朽化や効率的な生産技術の導入が遅れている点が挙げられます。他国、特に中国やインドでは、スマート農業技術の導入や農業経営の効率性向上に注力しており、生産性と付加価値の向上が図られていますが、スリランカではこれらの取り組みが遅れています。また、地政学的には、同国の農業従事者が地域紛争や資源配分の不均衡に直面しており、これが農業全体の成長を制限しています。
未来を見据えた具体的な提案としては、まず気候変動対策として耐干ばつ性の高い品種の開発や普及を進めることが考えられます。また、灌漑施設の改善や効率的な栽培技術の導入をサポートすることで、収量の変動リスクを軽減できるでしょう。さらには、政府が農業補助金やマイクロクレジットの提供を強化することで、農民による持続可能な農業施策の実践を後押しする必要があります。そして、農民組合や地域協力を通じた物流の効率化や市場へのアクセスの向上も求められます。
結論として、スリランカのサツマイモ生産は、1960年代からの波乱に満ちた推移を経て現在は安定期に入っていますが、さらなる成長には政策面、技術面での抜本的な改革が欠かせません。国際協力を活用して最先端技術を導入したり、近隣諸国との協力を図るなど、多角的な取り組みが必要です。これにより、スリランカの農業セクターの持続的な発展と国民の食料安全保障を確立していくことが期待されます。