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スリランカのニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、スリランカのニンジン・カブ類の生産量は、1961年の1,876トンから2021年にピークとなる210,907トンまで増加し、2023年には65,352トンまで急激に減少しています。このデータは、長期的には生産量が顕著に成長した一方で、年ごとの著しい変動や最近の急減を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 65,352
-66.42% ↓
2022年 194,637
-7.71% ↓
2021年 210,907
5.82% ↑
2020年 199,305
146.76% ↑
2019年 80,767
13.67% ↑
2018年 71,051
-0.78% ↓
2017年 71,607
-12.71% ↓
2016年 82,037
28.34% ↑
2015年 63,919
16.78% ↑
2014年 54,736
-2.6% ↓
2013年 56,200
63.75% ↑
2012年 34,320
-9.25% ↓
2011年 37,820
10.68% ↑
2010年 34,170
-4.63% ↓
2009年 35,830
-10.47% ↓
2008年 40,020
5.01% ↑
2007年 38,110
5.13% ↑
2006年 36,250
-1.84% ↓
2005年 36,930
7.54% ↑
2004年 34,340
26.2% ↑
2003年 27,210
-3.37% ↓
2002年 28,160
-0.91% ↓
2001年 28,420
9.52% ↑
2000年 25,950
-2.7% ↓
1999年 26,670
6.1% ↑
1998年 25,137
0.11% ↑
1997年 25,109
3.07% ↑
1996年 24,360
-1.25% ↓
1995年 24,668
5.38% ↑
1994年 23,408
-4.93% ↓
1993年 24,621
-3.21% ↓
1992年 25,438
23.49% ↑
1991年 20,600
57.02% ↑
1990年 13,119
0.76% ↑
1989年 13,020
24.5% ↑
1988年 10,458
-5.88% ↓
1987年 11,111
0.66% ↑
1986年 11,038
8.11% ↑
1985年 10,210
19.29% ↑
1984年 8,559
-9.18% ↓
1983年 9,424
243.69% ↑
1982年 2,742
-29.96% ↓
1981年 3,915
-32.65% ↓
1980年 5,813
-13.42% ↓
1979年 6,714
67.06% ↑
1978年 4,019
97.59% ↑
1977年 2,034
-32.98% ↓
1976年 3,035
5.82% ↑
1975年 2,868
178.18% ↑
1974年 1,031
-37.4% ↓
1973年 1,647
9.95% ↑
1972年 1,498
-17.01% ↓
1971年 1,805
6.43% ↑
1970年 1,696
-19.92% ↓
1969年 2,118
60.21% ↑
1968年 1,322
-14.76% ↓
1967年 1,551
56.98% ↑
1966年 988
-28.97% ↓
1965年 1,391
18.89% ↑
1964年 1,170
-79.24% ↓
1963年 5,637
420.98% ↑
1962年 1,082
-42.32% ↓
1961年 1,876 -

スリランカのニンジン・カブ類生産量のデータを振り返ると、1960年代から1970年代前半にかけて、生産量は概ね1,000~6,000トンの範囲内に留まっており、農業基盤が安定していない状況がうかがえます。その後、1980年代に入ると、生産量は急激に成長し始め、特に1983年の9,424トンを皮切りに、1990年代には年間20,000トン以上を安定して生産できる体制が整っていきました。この増加要因としては、灌漑設備の向上や農業支援政策の推進、ならびに地域需要の高まりが挙げられます。

2000年代後半から2010年代中盤にかけても、生産量は一定の安定性を保ちながら年々増加傾向にありましたが、特に2015年以降は技術革新や効率化が進み、2016年には82,037トン、そして2021年には210,907トンという記録的な生産量を達成しました。この成長は、海外市場の需要増加や農業輸出の拡大に寄与したと考えられます。

一方で、2020年以降には大きな変化が見られます。2020年には199,305トンと高い生産量を保ちましたが、2023年には65,352トンと急激な減少を記録しています。この要因として、新型コロナウイルス感染症の影響による供給チェーンの混乱、ならびに2022年から2023年にかけて発生した国内経済危機が農業生産に深刻な影響を及ぼしたことが考えられます。スリランカでは近年の地政学的リスクも加わり、必要な農薬や肥料の輸入が遅延したり、農業従事者の離農が相次いだことが報告されています。これらの要因により、国全体の農業生産性が急激に低下したと見られています。

また、2023年の急減は、気候変動の影響も関与している可能性があります。他国の状況と比較すると、例えばインドでは同期間中も農業生産量を微増させ、自己国内需要を満たしながら輸出を維持している点が対照的です。一方、中国や韓国では気候変動に強い品種の育成や大規模農業技術への投資が功を奏しており、スリランカもこれらの国々から学ぶべき部分があると考えられます。

ここから導き出される課題としては、まず農業生産における継続的な投資の欠如、適切な政策支援の不足、そして外部要因への対応力の低さが挙げられます。このような状況に対して、スリランカがとるべき具体的な対策としては、灌漑設備や農業機械の導入拡大を支援する政策の再構築が必要です。また、気候変動に対応するための農業技術の導入も不可欠です。さらに、長期的な視点で農民の教育や支援プログラムを充実させることで、持続可能性の高い農業生産基盤を確立するべきです。

これに加え、国際的な協力も不可欠です。スリランカは輸出依存度の高い農業経済を有しているため、国際農業市場における地位を利用して、先進的な農業技術や資源を輸入し、自国内で応用する道を模索することが重要です。国際機関や近隣諸国との連携を強化することで、災害や経済リスクを伴う状況下でも安定した生産を維持できる基盤を構築できるでしょう。

結論として、スリランカのニンジン・カブ類の生産量推移の歴史は、農業の改善努力の成功を象徴する一方で、現代の課題とリスクをはっきりと浮き彫りにしています。持続可能な農業政策を推進し、未来に向けた基盤を構築することが急務です。