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スリランカのプランテン・調理用バナナ生産量推移(1961年~2023年)

国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、スリランカのプランテン(調理用バナナ)の生産量は長期的に大きく変動してきましたが、近年では異常気象や経済問題の影響もあり、上下の動きが顕著です。特に2020年、2022年では約100万トンを超える大規模な生産量を記録しましたが、2023年には約78万トンに減少しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 782,906
-48.83% ↓
2022年 1,529,919
88.01% ↑
2021年 813,730
-16.58% ↓
2020年 975,450
73.76% ↑
2019年 561,390
-22.04% ↓
2018年 720,100
15.13% ↑
2017年 625,490
14.99% ↑
2016年 543,950
-9.07% ↓
2015年 598,229
-6.83% ↓
2014年 642,100
6.19% ↑
2013年 604,693
-4.97% ↓
2012年 636,350
5.11% ↑
2011年 605,440
5.76% ↑
2010年 572,480
11.88% ↑
2009年 511,680
-3.44% ↓
2008年 529,920
2.16% ↑
2007年 518,720
2.82% ↑
2006年 504,480
-7.48% ↓
2005年 545,280
0.98% ↑
2004年 540,000
-4.19% ↓
2003年 563,594
-4.48% ↓
2002年 590,000
-1.38% ↓
2001年 598,278
-1.92% ↓
2000年 610,000
-0.81% ↓
1999年 615,000
0.82% ↑
1998年 610,000
-3.33% ↓
1997年 631,008
5.17% ↑
1996年 600,000
3.45% ↑
1995年 580,000
0.87% ↑
1994年 575,000
5.5% ↑
1993年 545,000
9.59% ↑
1992年 497,328
0.36% ↑
1991年 495,552
-3.81% ↓
1990年 515,200
-18.75% ↓
1989年 634,128
9.37% ↑
1988年 579,776
3.48% ↑
1987年 560,304
-15.44% ↓
1986年 662,640
21.26% ↑
1985年 546,480
-31.61% ↓
1984年 799,040
-18.76% ↓
1983年 983,504
5.29% ↑
1982年 934,096
-21.7% ↓
1981年 1,192,992
-33.84% ↓
1980年 1,803,104
25.61% ↑
1979年 1,435,472
85.12% ↑
1978年 775,414
-3.83% ↓
1977年 806,301
-7.2% ↓
1976年 868,875
7.69% ↑
1975年 806,801
53.44% ↑
1974年 525,795
22.29% ↑
1973年 429,969
3.42% ↑
1972年 415,741
-5.51% ↓
1971年 440,000
18% ↑
1970年 372,870
-5.6% ↓
1969年 394,972
-3.55% ↓
1968年 409,523
-26.47% ↓
1967年 556,969
22.58% ↑
1966年 454,381
8.19% ↑
1965年 420,000
10.53% ↑
1964年 380,000
10.47% ↑
1963年 344,000
6.8% ↑
1962年 322,097
-3.56% ↓
1961年 334,000 -

スリランカにおけるプランテン(調理用バナナ)は、伝統的な農業作物として国内の食文化に深く根ざしています。特にこのデータは、約60年間にわたりスリランカのプランテン生産量がどのように推移してきたかを明確に示しています。1961年には33万4000トンという比較的低い生産量から始まり、1970年代には80万トン台、1980年には180万トンを記録し、過去の最高値を達成しました。しかし、その後の経済、社会、環境要因の影響により、生産量は減少傾向と回復局面を繰り返し、現在に至ります。

特に注目すべきは、2020年と2022年における生産量の顕著な増加です。2020年には新型コロナウイルスによるロックダウン時に国内農業へ重点が置かれたため、需要増加に対応した結果、大幅な生産量増加につながりました。さらに、2022年の152万9919トンという記録的な生産量は、政府主導の農業振興政策が一因とされています。しかし一方で、2023年には78万2906トンと、前年を大幅に下回り、半減する結果となりました。この急激な減少は、経済危機や輸入肥料の減少、自然災害の影響が複数複合的に影響したと考えられます。

スリランカのプランテン生産を取り巻く現状にはいくつかの課題が存在します。気候変動による異常気象の発生頻度が増加しているため、干ばつや洪水が農地に深刻な影響を与えています。これに加え、国内での経済危機は、農業分野に十分な資金供給や技術投資を行う余裕を失わせています。このような状況では、将来的に安定した生産量を維持することは容易ではありません。また、輸出市場に目を向けることで農家の収入向上を図りたい一方、輸送インフラの改善や国際市場へのアクセスの確保も課題といえます。

この問題に対処するためには、具体的な対策が不可欠です。まず、気候変動への適応策として耐干ばつ品種や高収量品種の導入、土壌管理技術の促進が重要です。さらに、農家への肥料や資材の補助を拡大し、生産コストを軽減する取り組みが必要です。教育プログラムを通じて、持続可能な農業技術を普及させることも重要でしょう。これに加え、地域間での協力体制を強化し、供給チェーンの効率化を図ることで、国内市場での価格安定化を目指すべきです。

また、スリランカの地政学的な特徴を活かし、アジアの他国や中東市場に対する輸出戦略を進めるべきです。近隣国であるインドや中国、日本では、調理用バナナに対する需要が拡大しており、この機会を利用して高品質な製品を輸出することが可能です。これを実現するには、品質管理基準の整備や認証制度の確立が求められます。

結論として、スリランカのプランテン生産は長期的には成長の可能性がある一方で、短期的には気候変動や経済政策という重要な課題に直面しています。国際協力や技術投資を通じて、持続可能で収益性の高い農業モデルを構築し、農業者の生活水準を向上させる努力が求められます。このような取り組みが進めば、スリランカは国内の食料自給率を高めるとともに、国際農産物市場での競争力を強化することができるでしょう。