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スリランカのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年更新の最新データによれば、スリランカのサトウキビ生産量は1961年の117,000トンから2000年代に着実な上昇を示しましたが、2010年代後半以降減少傾向が見られます。2023年の生産量は805,616トンで、近年の数値としてはやや持ち直している状態です。ただし、長期的な推移を見ると、依然として不安定な生産動向が浮き彫りとなっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 805,616
-8.1% ↓
2022年 876,660
6.19% ↑
2021年 825,541
-3.45% ↓
2020年 855,045
30.93% ↑
2019年 653,053
1.28% ↑
2018年 644,785
-1.49% ↓
2017年 654,522
-19.72% ↓
2016年 815,312
13.44% ↑
2015年 718,685
-25.17% ↓
2014年 960,392
0.01% ↑
2013年 960,270
42.59% ↑
2012年 673,470
-7.62% ↓
2011年 729,010
-20.31% ↓
2010年 914,850
-0.51% ↓
2009年 919,530
15.02% ↑
2008年 799,450
2.16% ↑
2007年 782,510
-31.15% ↓
2006年 1,136,600
14.63% ↑
2005年 991,550
0.11% ↑
2004年 990,430
-2.47% ↓
2003年 1,015,480
5.44% ↑
2002年 963,050
-4.26% ↓
2001年 1,005,850
-5.6% ↓
2000年 1,065,520
4.32% ↑
1999年 1,021,350
7.94% ↑
1998年 946,247
-31.54% ↓
1997年 1,382,219
-4.56% ↓
1996年 1,448,303
13.77% ↑
1995年 1,272,974
-16.74% ↓
1994年 1,528,840
88.81% ↑
1993年 809,733
10.75% ↑
1992年 731,108
-14.07% ↓
1991年 850,824
3.76% ↑
1990年 820,000
3.35% ↑
1989年 793,400
-5.44% ↓
1988年 839,000
27.18% ↑
1987年 659,696
-10.54% ↓
1986年 737,393
-2.22% ↓
1985年 754,100
30.41% ↑
1984年 578,240
54.2% ↑
1983年 375,000
7.14% ↑
1982年 350,000 -
1981年 350,000
-1.69% ↓
1980年 356,000
6.27% ↑
1979年 335,000
8.06% ↑
1978年 310,000 -
1977年 310,000
47.62% ↑
1976年 210,000
-20.75% ↓
1975年 265,000
39.47% ↑
1974年 190,000
18.75% ↑
1973年 160,000
-20% ↓
1972年 200,000 -
1971年 200,000
25% ↑
1970年 160,000
10.34% ↑
1969年 145,000
7.41% ↑
1968年 135,000
-15.63% ↓
1967年 160,000
21.21% ↑
1966年 132,000
-12% ↓
1965年 150,000
-3.23% ↓
1964年 155,000
20.16% ↑
1963年 129,000
15.18% ↑
1962年 112,000
-4.27% ↓
1961年 117,000 -

スリランカにおけるサトウキビの生産量は、この半世紀で大きな変動を経てきました。1960年代から1980年代までの生産量は毎年10万~70万トンという幅広い変動範囲を記録しましたが、1984年以降には急激な増加傾向に転じ、1994年には1,528,840トンというピークを迎えました。この急増には国内外の砂糖需要の高まりや、農業技術の進展、新規栽培地域の拡大が寄与していると推測されます。

しかし、1990年代後半から2000年代初頭にかけて生産量は再び安定しながらも波を打つような推移を見せ、1,000,000トン前後で推移していました。この時期にスリランカが内戦や経済制裁などに直面していたことを考慮すれば、それによる農業インフラへの影響が見過ごせません。また、2000年代後半から2010年代には複数回の自然災害(干ばつや洪水)があり、生産量は減少傾向にありました。

特に2010年代後半から2020年代初頭にかけて、年間生産量は60~80万トン程度に落ち込んでいます。この減少は、国内の土地資源の制約や気候変動、農業労働力の不足など多岐にわたる要因が考えられます。加えて、スリランカ経済が抱える慢性的なインフレーション問題や、新型コロナウイルス感染症の影響による社会・経済活動の停滞も、農業セクター全体の生産効率に影響を与えた可能性があります。

2020年以降は一時的な回復の兆しも見られ、2022年には876,660トン、2023年には805,616トンを記録しましたが、これを持続的改善の兆候と見るのは早計です。スリランカでは気候変動の影響が深刻化しており、不安定な降雨や土壌劣化への対応が急務です。また、経済的問題により肥料や農業機械への十分な投資が難しい状況が続いているのも課題といえます。

現在のスリランカでは、サトウキビ生産の効率向上には複数の観点からの施策が必要です。まず、地政学的リスクを踏まえた農業政策の強化が重要です。たとえば、気候変動への適応策として干ばつ耐性を持つ新品種の導入や、栽培スケジュールの見直しが挙げられます。また、国際的な技術や資金支援を活用し、効率的な灌漑設備の導入を推進すべきです。そして、農業労働者の確保を図るため、農業分野への奨励政策や教育訓練プログラムを充実させることも大切です。

さらに、国際市場を視野に入れたマーケティング戦略の構築も欠かせません。他国では、インドが砂糖生産大国として知られ、高い輸出量を誇ります。スリランカがインドやタイ、中国からの競争圧力に対抗するには、オーガニック製品のマーケットや持続可能な農業プラクティスを訴求することで差別化を図る戦略が考えられます。

長期的には、食糧安全保障の観点から自国での砂糖需要を支えるとともに、輸出収益を通じた経済復興を目指すことが求められます。こうした取り組みが進むことで、より持続可能かつ競争力のある農業セクターを築くことが期待されます。