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スリランカのショウガ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(FAO)が発表した2024年7月時点のデータによると、スリランカのショウガ生産量は1961年の4,600トンから2022年には71,931トンと著しい成長を見せました。特に2020年以降に生産量は急増し、2021年には56,842トン、2022年には71,931トンと記録更新が続きました。しかし2023年は59,514トンと減少に転じており、今後の推移が注目されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 59,514
-17.26% ↓
2022年 71,931
26.55% ↑
2021年 56,842
35.28% ↑
2020年 42,019
167.86% ↑
2019年 15,687
10.41% ↑
2018年 14,208
-12.97% ↓
2017年 16,326
-29.58% ↓
2016年 23,184
25.06% ↑
2015年 18,538
19.75% ↑
2014年 15,481
9.99% ↑
2013年 14,075
-5.6% ↓
2012年 14,910
9.15% ↑
2011年 13,660
13.36% ↑
2010年 12,050
11.78% ↑
2009年 10,780
7.26% ↑
2008年 10,050
21.52% ↑
2007年 8,270
22.34% ↑
2006年 6,760
0.9% ↑
2005年 6,700
17.75% ↑
2004年 5,690
17.56% ↑
2003年 4,840
-4.72% ↓
2002年 5,080
9.25% ↑
2001年 4,650
-15.15% ↓
2000年 5,480
-0.36% ↓
1999年 5,500
-0.72% ↓
1998年 5,540
-3.15% ↓
1997年 5,720
-3.21% ↓
1996年 5,910
0.51% ↑
1995年 5,880
1.38% ↑
1994年 5,800
81.25% ↑
1993年 3,200
-37.25% ↓
1992年 5,100
-32.89% ↓
1991年 7,600
-19.15% ↓
1990年 9,400
-22.31% ↓
1989年 12,100
1.31% ↑
1988年 11,944
-1.81% ↓
1987年 12,164
-33.42% ↓
1986年 18,270
10.73% ↑
1985年 16,500
3.77% ↑
1984年 15,900
-0.29% ↓
1983年 15,946
89.63% ↑
1982年 8,409
10.51% ↑
1981年 7,609
8.7% ↑
1980年 7,000 -
1979年 7,000 -
1978年 7,000 -
1977年 7,000
-8.47% ↓
1976年 7,648
16.87% ↑
1975年 6,544
33.09% ↑
1974年 4,917
-28.61% ↓
1973年 6,888
38.93% ↑
1972年 4,958
38.49% ↑
1971年 3,580
-14.44% ↓
1970年 4,184
-10.71% ↓
1969年 4,686
-0.06% ↓
1968年 4,689
-27.61% ↓
1967年 6,477
-1.83% ↓
1966年 6,598
47.94% ↑
1965年 4,460
-12.96% ↓
1964年 5,124
20.56% ↑
1963年 4,250
-1.16% ↓
1962年 4,300
-6.52% ↓
1961年 4,600 -

スリランカのショウガ生産量の推移を詳しく見ると、1960年代から1970年代は年間4,000~7,000トンという比較的低い水準に留まっていました。しかし、1983年に15,946トンと大幅な増加を記録し、その後も1985年以降は徐々に16,000トン台へと成長しました。その後1990年代に低下傾向を見せる中、特に1993年には3,200トンまで減少しましたが、2000年代に入ると再び増加基調となり、2010年代以降、高い成長を遂げました。

このデータは、スリランカの農業経済や国際市場環境、さらには気候変動の影響を示していると考えられます。特に2020年以降の急激な上昇は注目に値します。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、免疫力を高める効果が期待されるショウガの需要が世界的に増加しました。それに応じて生産が拡大し、2020年には42,019トン、2022年には記録更新の71,931トンに達しました。しかし2023年は59,514トンと減少し、これは市場の過供給や価格の低下、あるいは栽培面積や収穫量の調整が関連している可能性があります。

地政学的には、スリランカはインド洋に位置し、農地の確保と食糧安全保障が大きな課題となっています。一方で、肥沃な土地と温暖な気候に恵まれ、農業生産性向上の潜在能力が高い国です。そのため、ショウガのような特定の現金作物に注力することで、輸出収益の向上が期待されます。ただし、過去の減少期には1993年の低迷や1990年代後半に明らかとなった低水準が示すように、安定的な生産システムの構築が依然として課題となっています。

課題としては、まず気候変動の影響が挙げられます。スリランカはモンスーンに大きく依存しており、降水量や温度変化が農作物の収穫量に直接影響を及ぼします。また、生産の集中化や過度な化学肥料依存による土壌劣化も持続可能性にとってリスクとなり得ます。

国際マーケットでの競争力も重要です。近年ではインドや中国がショウガ生産の主要国とされ、価格競争も激化しています。そのため、スリランカが技術革新や品質向上、サプライチェーンの効率化などを進めることが急務です。たとえば、無農薬栽培や有機認証の取得は、欧米市場において高付加価値商品としての展開を可能にします。

今後、大規模灌漑システムの整備、現地農家の技術教育、気候変動に対応可能なショウガ品種の開発などが具体的な対策として求められます。また、政策的には、ショウガ生産者向けの補助金やインフラへの投資、さらには輸出に関する貿易協定の強化が挙げられます。地域連携については南アジアの近隣諸国と共同で生産量均衡政策を進め、価格競争を緩和することも検討課題です。

結論として、スリランカのショウガ生産は過去数十年にわたり確実に成長しており、国際市場の中で重要な地位を占めるポテンシャルを有しています。しかし、品質の向上や持続可能性の確保、さらには国際的な競争力の強化を図るためには、気候変動対策や市場開拓への包括的な取り組みが欠かせません。これらの課題を克服することで、スリランカはショウガ産業をさらに発展させ、国の経済成長に寄与することができます。

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