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スリランカの牛乳生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、スリランカの牛乳生産量は1960年代から徐々に増加傾向を示してきましたが、特定の時期に大きな変動がみられます。2022年には522,793トンを記録しており、長期的に見れば生産量は顕著に伸びています。特に2010年代後半から急速な増加が観察され、2020年代に入ってからもその勢いを維持しています。しかし、一部の期間で見られる急激な生産量の低下や停滞は、スリランカにおける農業政策や地政学的な課題、さらに天候や災害の影響など、多様な要因が背景にあると考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 522,793
2021年 529,520
2020年 506,926
2019年 462,323
2018年 486,360
2017年 410,706
2016年 397,720
2015年 315,144
2014年 257,988
2013年 298,650
2012年 316,870
2011年 238,500
2010年 226,243
2009年 215,849
2008年 194,358
2007年 188,872
2006年 184,677
2005年 180,328
2004年 178,624
2003年 176,206
2002年 172,454
2001年 173,607
2000年 172,112
1999年 171,372
1998年 170,886
1997年 299,206
1996年 300,016
1995年 303,227
1994年 302,294
1993年 296,534
1992年 286,003
1991年 270,765
1990年 251,981
1989年 206,613
1988年 195,165
1987年 191,841
1986年 155,300
1985年 288,450
1984年 279,750
1983年 249,156
1982年 232,010
1981年 265,101
1980年 242,730
1979年 223,100
1978年 228,820
1977年 228,600
1976年 215,700
1975年 185,270
1974年 155,660
1973年 148,776
1972年 144,777
1971年 149,450
1970年 141,080
1969年 139,190
1968年 150,350
1967年 137,670
1966年 141,750
1965年 170,780
1964年 155,700
1963年 127,460
1962年 89,310
1961年 104,180

スリランカの牛乳生産量推移を1961年から2022年までのデータで確認すると、初期の段階では波のある上昇傾向が見られます。1961年の104,180トンから始まり、1970年代後半までの間で徐々に増加しました。ただし、この期間には1962年から1966年の間での減少や、1967年以降の不安定なスイングなどが見られます。この点は、当時のスリランカの経済状況や農業技術の発展度合いに影響されたと推測されます。

1980年代以降は、持続的な成長が確認される一方で、1986年や1998年に見られるような急激な減少には注目が必要です。特に1980年代後半から1990年代後半にかけての変動は、スリランカ内戦による地政学的混乱が酪農業にも深刻な影響を及ぼした可能性があります。この時期には、農地利用の制約や家畜飼料の不足、農産物市場の混乱などが絡んでいたと考えられます。

2000年代初頭の停滞期(2000年から2008年にかけて)が明確に観察されますが、その後の2009年以降、生産量が再び伸び始めました。この再興は、内戦終結後の経済環境の安定化と、政府や国際機関による農業支援プログラムが大きく寄与したと考えられています。

2010年代後半から2020年代前半にかけての牛乳生産量の急激な成長は、酪農分野における技術的な進歩やインフラ整備、畜産支援政策の効果によるものと考えられます。例えば、2016年から2018年の3年間で、397,720トンから486,360トンへの急増は特筆に値します。しかしながら、2022年の数値でわずかな低下(522,793トンからの減少)が見られることから、気候変動や新型コロナウイルスの流行など、常に外部からのリスクも牛乳生産に影響を与えていると言えます。

今後の課題としては、スリランカの酪農業が持ついくつかの構造的な問題を解決する必要があります。持続可能な飼育方法を確立し、気候変動への対策を講じることが急務です。また、生産効率をさらに向上させ、地域毎の不均衡を是正する政策も求められます。たとえば、農家に最新の技術と装置を提供する仕組みを強化し、安定的な市場価格を保証する取り組みが有効でしょう。また、女性や若い世代による農業活動への参画を推進することで、人材不足の問題を改善できます。

さらに、国内の酪農業の成長だけでなく、輸出市場の可能性を視野に入れるべきです。スリランカの地理的位置を活かし、近隣諸国(たとえばインドや南アジア全体)への牛乳製品の輸出を検討することで、国内産業の利益を拡大することが考えられます。

まとめると、1960年代以降、スリランカの牛乳生産量は長期的に成長を遂げてきましたが、過去に見られる停滞や急激な減少の原因を学び、同じ課題が再発しないように対策を講じる必要があります。また、将来的には気候変動リスクや地政学的影響も軽減できる持続可能な酪農モデルを確立することが重要です。国際連合食糧農業機関やその他の国際機関とも連携しながら、この分野での更なる発展を目指すことを提言したいと思います。