Skip to main content

スリランカのトウモロコシ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が公表した2024年7月時点での最新データによると、スリランカのトウモロコシ生産量は、1961年に9,419トンだったものの、2021年には472,444トンと著しい増加を示しました。この間、生産量は度々増減を描きながらも長期的には上昇傾向を保ち続けており、特に2010年代以降は生産効率の向上が顕著となっています。しかし、最新の2022年では259,040トンとやや減少しており、外的要因の影響が懸念されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 221,249
-14.59% ↓
2022年 259,040
-45.17% ↓
2021年 472,444
50.69% ↑
2020年 313,521
27.63% ↑
2019年 245,647
-9.03% ↓
2018年 270,041
37.96% ↑
2017年 195,744
-19.76% ↓
2016年 243,960
7.48% ↑
2015年 226,984
-5.87% ↓
2014年 241,144
15.36% ↑
2013年 209,042
3.41% ↑
2012年 202,150
46.7% ↑
2011年 137,797
-14.78% ↓
2010年 161,690
24.6% ↑
2009年 129,770
-4.51% ↓
2008年 135,900
140.79% ↑
2007年 56,440
18.75% ↑
2006年 47,530
13.71% ↑
2005年 41,800
18.75% ↑
2004年 35,200
18.72% ↑
2003年 29,650
12.27% ↑
2002年 26,410
-8.14% ↓
2001年 28,750
-7.41% ↓
2000年 31,050
-1.33% ↓
1999年 31,470
-7.1% ↓
1998年 33,874
31.86% ↑
1997年 25,689
-22.07% ↓
1996年 32,963
-5.39% ↓
1995年 34,842
10.27% ↑
1994年 31,596
-0.2% ↓
1993年 31,660
9.93% ↑
1992年 28,800
-15.42% ↓
1991年 34,050
1.98% ↑
1990年 33,390
9.19% ↑
1989年 30,580
-20.8% ↓
1988年 38,610
-7.28% ↓
1987年 41,640
2.51% ↑
1986年 40,620
34.28% ↑
1985年 30,250
-14.14% ↓
1984年 35,230
22.5% ↑
1983年 28,760
28.62% ↑
1982年 22,360
1.18% ↑
1981年 22,100
4.25% ↑
1980年 21,200
1.87% ↑
1979年 20,810
13.53% ↑
1978年 18,330
2.06% ↑
1977年 17,960
-33.23% ↓
1976年 26,900
-0.74% ↓
1975年 27,100
19.72% ↑
1974年 22,636
9.47% ↑
1973年 20,677
36.83% ↑
1972年 15,111
19.17% ↑
1971年 12,680
-12.01% ↓
1970年 14,410
-12.75% ↓
1969年 16,516
38.64% ↑
1968年 11,913
-28.92% ↓
1967年 16,761
73.13% ↑
1966年 9,681
-2.47% ↓
1965年 9,926
6.9% ↑
1964年 9,285
-12.3% ↓
1963年 10,587
17.97% ↑
1962年 8,974
-4.72% ↓
1961年 9,419 -

スリランカのトウモロコシ生産量の推移を解析すると、全体的に増加傾向が見られるものの、時期によって生産量に明確な変動が発生している状況です。1960年代から1970年代は年ごとの変動が比較的小さい安定期であり、1967年に16,761トンまで生産量が増加したものの、その後短期的な減少と増加を繰り返していました。この時期は、農業技術の普及や生産インフラの整備途上であったため、生産の大規模な改善よりも天候や市場の影響が顕著だったと考えられます。

一方、1980年代後半から1990年代は、持続可能な農業政策や土地利用の再編成が進む中で長期的な成長傾向が見られる時期です。この期間中、スリランカの生産量は4万トン以上に上昇しましたが、地域における内戦(1983年から2009年)の影響が農業分野にも及んでおり、この間の増加ペースは限定的でした。内戦期間中、農村部は生産インフラへの投資不足や人材の流出によって、トウモロコシの大幅な生産性向上が妨げられた可能性があります。

2000年代以降とりわけ2008年以降、スリランカのトウモロコシ生産量は急激に増加しました。2008年の135,900トンから2012年には202,150トン、2021年には472,444トンと劇的な成長を遂げました。これは、農業機械の導入増加、農家への補助金政策の推進、トウモロコシ品種の改良、そして生産効率を高める灌漑技術の改良など、政府による農業支援政策の成果と見られます。ただし、2022年に生産量が259,040トンと減少した背景には、国内経済危機や気候変動の影響があると考えられます。

スリランカのトウモロコシ生産は主に飼料用として使用される一方、国内の食料安全保障を支える役割も果たしています。この作物の生産動向は、一次産業従事者の収入のみならず、畜産業の成長とも直結しています。他国と比較すると、アメリカや中国、ブラジルのような主要生産国の規模には遠く及びませんが、南アジア地域においては安定した生産力を持つ一国といえます。

今後の課題としては、気候変動による異常気象、国内経済の不安定さ、そして農業従事者の高齢化が挙げられます。特にスリランカでは気温上昇や降水量の変動が農業生産に深刻な影響を及ぼす可能性があり、灌漑設備のさらなる近代化や耐性のある新品種の導入が必要不可欠です。また、農業に関わる労働人口の減少を補うため、若年層への魅力的な支援策やテクノロジーを駆使したスマート農業の導入が推進されるべきです。

結論として、スリランカはトウモロコシ生産において一貫した成長を遂げてきたものの、安全保障に直結する安定性を確保するためには、気候・経済リスクへの対応が急務です。国際機関や近隣国の協力を仰ぎつつ、適切なインフラ整備と政策実施を継続することで、農業部門全体の持続可能な発展を達成することが期待されます。このような取り組みが進むことで、トウモロコシ生産のみならず、スリランカ全体の食料供給および経済基盤の安定に寄与することでしょう。