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スリランカのトウモロコシ生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が公表した2024年7月時点での最新データによると、スリランカのトウモロコシ生産量は、1961年に9,419トンだったものの、2021年には472,444トンと著しい増加を示しました。この間、生産量は度々増減を描きながらも長期的には上昇傾向を保ち続けており、特に2010年代以降は生産効率の向上が顕著となっています。しかし、最新の2022年では259,040トンとやや減少しており、外的要因の影響が懸念されています。

年度 生産量(トン)
2022年 259,040
2021年 472,444
2020年 313,521
2019年 245,647
2018年 270,041
2017年 195,744
2016年 243,960
2015年 226,984
2014年 241,144
2013年 209,042
2012年 202,150
2011年 137,797
2010年 161,690
2009年 129,770
2008年 135,900
2007年 56,440
2006年 47,530
2005年 41,800
2004年 35,200
2003年 29,650
2002年 26,410
2001年 28,750
2000年 31,050
1999年 31,470
1998年 33,874
1997年 25,689
1996年 32,963
1995年 34,842
1994年 31,596
1993年 31,660
1992年 28,800
1991年 34,050
1990年 33,390
1989年 30,580
1988年 38,610
1987年 41,640
1986年 40,620
1985年 30,250
1984年 35,230
1983年 28,760
1982年 22,360
1981年 22,100
1980年 21,200
1979年 20,810
1978年 18,330
1977年 17,960
1976年 26,900
1975年 27,100
1974年 22,636
1973年 20,677
1972年 15,111
1971年 12,680
1970年 14,410
1969年 16,516
1968年 11,913
1967年 16,761
1966年 9,681
1965年 9,926
1964年 9,285
1963年 10,587
1962年 8,974
1961年 9,419

スリランカのトウモロコシ生産量の推移を解析すると、全体的に増加傾向が見られるものの、時期によって生産量に明確な変動が発生している状況です。1960年代から1970年代は年ごとの変動が比較的小さい安定期であり、1967年に16,761トンまで生産量が増加したものの、その後短期的な減少と増加を繰り返していました。この時期は、農業技術の普及や生産インフラの整備途上であったため、生産の大規模な改善よりも天候や市場の影響が顕著だったと考えられます。

一方、1980年代後半から1990年代は、持続可能な農業政策や土地利用の再編成が進む中で長期的な成長傾向が見られる時期です。この期間中、スリランカの生産量は4万トン以上に上昇しましたが、地域における内戦(1983年から2009年)の影響が農業分野にも及んでおり、この間の増加ペースは限定的でした。内戦期間中、農村部は生産インフラへの投資不足や人材の流出によって、トウモロコシの大幅な生産性向上が妨げられた可能性があります。

2000年代以降とりわけ2008年以降、スリランカのトウモロコシ生産量は急激に増加しました。2008年の135,900トンから2012年には202,150トン、2021年には472,444トンと劇的な成長を遂げました。これは、農業機械の導入増加、農家への補助金政策の推進、トウモロコシ品種の改良、そして生産効率を高める灌漑技術の改良など、政府による農業支援政策の成果と見られます。ただし、2022年に生産量が259,040トンと減少した背景には、国内経済危機や気候変動の影響があると考えられます。

スリランカのトウモロコシ生産は主に飼料用として使用される一方、国内の食料安全保障を支える役割も果たしています。この作物の生産動向は、一次産業従事者の収入のみならず、畜産業の成長とも直結しています。他国と比較すると、アメリカや中国、ブラジルのような主要生産国の規模には遠く及びませんが、南アジア地域においては安定した生産力を持つ一国といえます。

今後の課題としては、気候変動による異常気象、国内経済の不安定さ、そして農業従事者の高齢化が挙げられます。特にスリランカでは気温上昇や降水量の変動が農業生産に深刻な影響を及ぼす可能性があり、灌漑設備のさらなる近代化や耐性のある新品種の導入が必要不可欠です。また、農業に関わる労働人口の減少を補うため、若年層への魅力的な支援策やテクノロジーを駆使したスマート農業の導入が推進されるべきです。

結論として、スリランカはトウモロコシ生産において一貫した成長を遂げてきたものの、安全保障に直結する安定性を確保するためには、気候・経済リスクへの対応が急務です。国際機関や近隣国の協力を仰ぎつつ、適切なインフラ整備と政策実施を継続することで、農業部門全体の持続可能な発展を達成することが期待されます。このような取り組みが進むことで、トウモロコシ生産のみならず、スリランカ全体の食料供給および経済基盤の安定に寄与することでしょう。