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リベリアの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、リベリアにおける牛乳生産量は、1960年代から現在まで長期的な増加傾向が見られる一方で、一部の年において減少や停滞が見られます。特に1991年から急激な増加が見られる点が特徴的です。しかし、近年では再び停滞や減少の兆候が見られ、2023年の生産量は8,578トンとわずかに減少しました。この動向は、地政学的背景や地域特有の課題とも関連しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 8,578
-0.27% ↓
2022年 8,601
1.33% ↑
2021年 8,488
-1.74% ↓
2020年 8,638
1.11% ↑
2019年 8,544
3.83% ↑
2018年 8,229
-8.26% ↓
2017年 8,969
-0.54% ↓
2016年 9,018
-2.12% ↓
2015年 9,213
2.18% ↑
2014年 9,017
0.4% ↑
2013年 8,981
0.01% ↑
2012年 8,979
0.79% ↑
2011年 8,909
2.41% ↑
2010年 8,699
2.5% ↑
2009年 8,487
6.05% ↑
2008年 8,003
1.78% ↑
2007年 7,864
0.72% ↑
2006年 7,807
-0.8% ↓
2005年 7,870
0.06% ↑
2004年 7,865
0.06% ↑
2003年 7,860
0.06% ↑
2002年 7,855
0.06% ↑
2001年 7,850
0.06% ↑
2000年 7,845
0.06% ↑
1999年 7,840
0.06% ↑
1998年 7,835
0.06% ↑
1997年 7,830
0.06% ↑
1996年 7,825
0.06% ↑
1995年 7,820
0.06% ↑
1994年 7,815
0.06% ↑
1993年 7,810
3.16% ↑
1992年 7,570
-1.78% ↓
1991年 7,708
940.18% ↑
1990年 741
-5% ↓
1989年 780
-4.76% ↓
1988年 819 -
1987年 819 -
1986年 819 -
1985年 819 -
1984年 819 -
1983年 819
5% ↑
1982年 780 -
1981年 780
2.56% ↑
1980年 761
2.63% ↑
1979年 741
1.79% ↑
1978年 728
3.7% ↑
1977年 702
1.89% ↑
1976年 689
3.92% ↑
1975年 663
3.03% ↑
1974年 644
3.13% ↑
1973年 624
3.23% ↑
1972年 605
3.33% ↑
1971年 585
7.14% ↑
1970年 546
3.7% ↑
1969年 527
3.85% ↑
1968年 507
4% ↑
1967年 488
4.17% ↑
1966年 468
4.35% ↑
1965年 449
4.55% ↑
1964年 429
4.76% ↑
1963年 410
5% ↑
1962年 390
5.26% ↑
1961年 371 -

リベリアの牛乳生産量は、1961年の371トンから1970年代後半まで着実に増加しており、この期間は年平均10~20トン規模での増産が見られます。この時期は、酪農技術の導入や農業の多角化が進んだ時代でした。しかし、1980年代に入ると年間生産量の伸びが停滞傾向に入り、1982年から1988年は819トンでほぼ横ばい状態が続いていました。

1990年以降、リベリアでは内戦が勃発し、その影響で農業分野を含む国内経済全体に大きな打撃がありました。この影響は牛乳生産分野にも及び、1990年には生産量が741トンに減少しました。一方で、1991年からの急激な生産量の増加は異常値と言えるほど特異で、7,700トン以上に跳ね上がりました。この背後にはデータ記録方法の変更、もしくは生産統計計算の修正などが影響している可能性があります。FAOの別の報告によれば、紛争後の農業政策や外部からの支援プロジェクトが生産改善に寄与したとも考えられます。

2000年代以降、リベリアの牛乳生産量は一貫して増加傾向を見せ、2000年の7,845トンから2009年には8,487トン、2015年には9,213トンという記録を示しています。しかしながら、2016年以降は不安定な動きを示すようになり、2023年には8,578トンとやや減少の兆候が見られます。この減少傾向の背景には、経済の不安定性、資源の分配問題、新型コロナウイルスの影響による物流の制約や消費の縮小、安全保障の問題などが絡んでいる可能性が指摘されています。

地政学的な観点から見ると、リベリアの安定性は西アフリカ全体の農業生産と流通の鍵を握るといえます。同国は紛争の歴史を持ち、特に牛乳のような生鮮品の生産と取引においては、物流網の脆弱性や電力不足が大きな課題となっています。加えて、気候変動による雨季・乾季の極化が酪農分野にさらなるリスクを与えており、2023年の減少の一因にもなっている可能性があります。

今後リベリアが直面する課題として、気候変動への適応策、酪農インフラの整備、そして農業従事者の技能向上を継続的に推進する必要があります。具体的には、持続可能な酪農技術の導入、例えば高栄養価な飼料の普及や搾乳技術の近代化が重要です。また、域内の紛争リスクを軽減し、製品流通を安定させるためには、西アフリカ諸国との地域協力の強化が不可欠です。これは、共通の物流網や市場の整備、そして国境を越えた生産者間の連携を意味します。

結論として、リベリアの牛乳生産量の推移は、歴史的な紛争や政策、さらには気候や疫病といった外的要因に強く影響を受けています。2023年現在の生産量は依然として安定に課題を抱えていますが、政府や国際機関が手を携えて対策を進めることで、改善の可能性が十分あります。適切な政策提言と支援を受けることで、リベリアの酪農分野は、国内の食料安全保障のみならず、西アフリカ全体の農業経済への寄与が期待されます。