Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、リベリアのサトイモ生産量は、1961年の13,000トンから2022年には27,732トンへと長期的に増加してきました。しかし、その推移を詳しく見ると、生産量は一定期間停滞したり、特定の年に急増または減少する動きが見られます。特に1970年代後半から1980年代にかけては緩やかに増加しましたが、1990年代以降は内戦などの影響もあり、波を伴う変動が目立つようになりました。直近の数年間ではおおむね安定した生産量を維持していますが、成長率は鈍化しています。
リベリアのサトイモ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 27,847 |
0.42% ↑
|
2022年 | 27,732 |
0.11% ↑
|
2021年 | 27,702 |
0.11% ↑
|
2020年 | 27,671 |
-0.27% ↓
|
2019年 | 27,747 |
-0.77% ↓
|
2018年 | 27,963 |
-0.23% ↓
|
2017年 | 28,029 |
0.62% ↑
|
2016年 | 27,858 |
0.27% ↑
|
2015年 | 27,782 |
0.59% ↑
|
2014年 | 27,620 |
0.44% ↑
|
2013年 | 27,500 | - |
2012年 | 27,500 |
1.85% ↑
|
2011年 | 27,000 |
5.88% ↑
|
2010年 | 25,500 |
-7.41% ↓
|
2009年 | 27,540 |
-8.2% ↓
|
2008年 | 30,000 |
13.13% ↑
|
2007年 | 26,519 |
-0.68% ↓
|
2006年 | 26,700 |
0.14% ↑
|
2005年 | 26,662 |
0.99% ↑
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2004年 | 26,400 |
0.38% ↑
|
2003年 | 26,300 |
3% ↑
|
2002年 | 25,534 |
0.13% ↑
|
2001年 | 25,500 |
5.97% ↑
|
2000年 | 24,063 |
3.89% ↑
|
1999年 | 23,162 |
5.28% ↑
|
1998年 | 22,000 |
2.21% ↑
|
1997年 | 21,524 |
3.53% ↑
|
1996年 | 20,790 |
2.54% ↑
|
1995年 | 20,275 |
1.38% ↑
|
1994年 | 20,000 |
11.11% ↑
|
1993年 | 18,000 |
12.5% ↑
|
1992年 | 16,000 |
0.74% ↑
|
1991年 | 15,882 |
5.88% ↑
|
1990年 | 15,000 |
-14.29% ↓
|
1989年 | 17,500 | - |
1988年 | 17,500 | - |
1987年 | 17,500 | - |
1986年 | 17,500 |
2.94% ↑
|
1985年 | 17,000 |
3.03% ↑
|
1984年 | 16,500 |
3.13% ↑
|
1983年 | 16,000 |
3.23% ↑
|
1982年 | 15,500 |
3.33% ↑
|
1981年 | 15,000 | - |
1980年 | 15,000 | - |
1979年 | 15,000 | - |
1978年 | 15,000 | - |
1977年 | 15,000 | - |
1976年 | 15,000 | - |
1975年 | 15,000 |
3.45% ↑
|
1974年 | 14,500 |
11.54% ↑
|
1973年 | 13,000 | - |
1972年 | 13,000 |
-7.14% ↓
|
1971年 | 14,000 | - |
1970年 | 14,000 | - |
1969年 | 14,000 |
3.7% ↑
|
1968年 | 13,500 | - |
1967年 | 13,500 |
3.85% ↑
|
1966年 | 13,000 | - |
1965年 | 13,000 | - |
1964年 | 13,000 | - |
1963年 | 13,000 | - |
1962年 | 13,000 | - |
1961年 | 13,000 | - |
リベリアのサトイモ生産量は、1961年に13,000トンからスタートしました。この時期、サトイモはリベリアの主要作物のひとつとして、国内食糧供給に欠かせない存在でした。1970年代半ばから1980年代にかけては、生産量が年々増加し、1985年には17,000トンを達成しました。この増加は、政府による農業奨励政策や、小規模農家による生産性の向上が主な要因と考えられます。
しかし、1990年代に入るとリベリア内戦(1989年から2003年)の影響を受け、生産量が15,000トン前後で不安定な推移を見せました。内戦による農地破壊や労働力不足が生産に大きな影響を与えたと推測されます。この時期、国全体で食糧不足が深刻化し、多くの農業従事者が地域を離れざるを得ない状況に陥りました。この課題を乗り越え、2000年以降になると、生産量は再び上昇傾向を示し、2008年には一時的に30,000トンに達しました。ただし、これ以降は長期的な大幅な成長は見られず、わずかな増減を繰り返しながら安定しています。
近年(2015年以降)は27,500トン前後で推移し、ほぼ横ばいの状態が続いています。この安定は、政治的安定や国際支援の結果であると考えられますが、一方でインフラの整備が進んでいないことや農業の近代化が遅れていることが、さらなる生産増加を妨げている要因とされています。
ここで注目したいのは、リベリアにおける地政学的背景や国際環境の影響です。西アフリカ地域では気候変動によって干ばつや異常気象が増加しており、主要な農産物に影響を及ぼしています。リベリアも例外ではなく、サトイモ生産は水分や栄養要求が高いため、これらの気候変動に対して非常に敏感です。そのため、安定的な生産を維持するためには、灌漑設備の導入や耐候性品種の開発が必要不可欠となっています。
サトイモ生産量の成長を再び加速させるためには、いくつかの具体的な対策が考えられます。まず、小規模農家への技術支援を強化し、効率的な栽培方法を普及させることです。たとえば、適切な施肥の技術指導や農機具の提供を通じて、単位面積あたりの収量を向上させることができます。さらに、農地や市場インフラを整備し、農作物の輸送効率を高める必要があります。また、国際社会との協力を通じて、気候変動への対策基金の獲得や専門的な農業チームの派遣を実現することも有効です。
将来的に課題となる可能性があるのは、人口増加に伴う食糧需要のさらなる増加です。リベリアはすでに急激な都市化が進んでおり、農村部の労働力が減少する中で食糧供給を確保しなければなりません。そのため、自給自足の農業から市場型農業への移行を推進することで、生産性を向上させつつ、食糧安全保障を強化する必要があります。
結論として、リベリアのサトイモ生産量は、過去60年余りで着実に成長してきましたが、その背景には政治的状況や気候変動といった変数が存在しています。今後は、生産性向上のための技術革新、気候リスクへの対応、および国際協力の強化が不可欠とされます。国際連合や地域機関は、リベリアの農業が持続可能な形で発展するための支援を強化することで、地域全体の食糧安全保障の向上に貢献できるでしょう。