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リベリアのトマト生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月更新のデータによると、リベリアにおけるトマトの生産量は長期的に見て顕著な増加傾向を示しています。1979年の生産量は150トンと少量ながら、2022年には3,566トンに達しました。特筆すべき点として、1990年代初頭に劇的な減少が見られたものの、その後は安定的に回復し、特に2005年以降、生産量の著しい増加が確認されています。しかし、近年の伸びはやや鈍化しており、持続可能な発展に向けた課題が浮き彫りとなっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,557
-0.25% ↓
2022年 3,566
0.29% ↑
2021年 3,556
1.3% ↑
2020年 3,510
-3.37% ↓
2019年 3,633
3.07% ↑
2018年 3,525
4.47% ↑
2017年 3,374
-15.66% ↓
2016年 4,000
25.01% ↑
2015年 3,200
9.53% ↑
2014年 2,921
17.27% ↑
2013年 2,491
-0.36% ↓
2012年 2,500
19.05% ↑
2011年 2,100
0.11% ↑
2010年 2,098
8.95% ↑
2009年 1,925
7.48% ↑
2008年 1,791
19.43% ↑
2007年 1,500
-3.34% ↓
2006年 1,552
-3.88% ↓
2005年 1,615
21.67% ↑
2004年 1,327
7.45% ↑
2003年 1,235
6.95% ↑
2002年 1,155
9.1% ↑
2001年 1,058
3.5% ↑
2000年 1,023
20.44% ↑
1999年 849
11.56% ↑
1998年 761
8.26% ↑
1997年 703
33.71% ↑
1996年 526
25.15% ↑
1995年 420
33.6% ↑
1994年 314
50.61% ↑
1993年 209
102.45% ↑
1992年 103
237.25% ↑
1991年 31
-96.93% ↓
1990年 996
-0.4% ↓
1989年 1,000 -
1988年 1,000 -
1987年 1,000 -
1986年 1,000 -
1985年 1,000 -
1984年 1,000 -
1983年 1,000
100% ↑
1982年 500
233.33% ↑
1981年 150 -
1980年 150 -
1979年 150 -

リベリアのトマト生産量は、1979年の150トンから2022年の3,566トンまで着実に増加を遂げています。特に1982年以降、急速に生産量が拡大し、1983年には1,000トンの大台に到達しました。この急伸は、おそらく農業技術の改善や政策支援が影響していると考えられます。しかし1990年代初頭には、内戦の影響によって生産が急激に低下し、1991年にはわずか31トンという過去最低の数値を記録しました。これは地政学的混乱が農業生産にも大きな影響を及ぼすことを示す代表的な事例となっています。

徐々に状況が改善すると、トマト生産量は1990年代後半から2000年代にかけて再び復調しました。2000年に初めて1,000トンを超え、その上昇ペースは加速。特に2005年から2015年にかけては顕著な成長が見られました。2005年の1,615トンから2015年の3,200トンへ約2倍の増加を記録し、2016年には最高記録の4,000トンを達成しています。この成長は、平和回復期における農業施策、インフラ投資、および市場条件の改善が寄与した可能性があります。

しかし2016年をピークに、リベリアのトマト生産はやや不安定な動向を示しています。2020年代に入ると増加の勢いは緩やかになり、2022年の生産量は3,566トンで、過去のピーク(2016年の4,000トン)を下回っています。この停滞の背景には、気候変動の影響や農業資材の不足が挙げられるかもしれません。また、新型コロナウイルス感染症の流行がサプライチェーンに影響を及ぼし、農業生産活動全体に負の影響を与えた可能性も無視できません。

リベリアのトマト生産を世界的視野で見ると、主要生産国である中国(約6,000万トン)、インド(約2,000万トン)に比べて極めて小規模です。日本ではトマト生産量が約70万トン、ドイツでは約30万トンとされ、これら先進国と比べてもリベリアの生産規模は限られています。ただし、地域固有の需要に応えるための自給自足的役割や、農業部門がGDP構成に占める重要性を考慮すると、トマト生産はリベリアにとって非常に大切な産業であるといえます。

課題としては、気候変動や疫病への耐性を持つ農作物の開発、灌漑施設の整備不足、生産性向上のための農業技術への投資不足などが挙げられます。また、国際市場へのアクセス改善や地域内での協力体制強化も検討されるべきでしょう。さらには、小規模農家への支援として金融アクセスを改善し、持続可能な農業を実現するための取り組みが求められます。

今後、政府及び国際機関が優先的に取り組むべきは、農業インフラの整備と国際的な技術協力の拡充です。例えば、大規模な灌漑プロジェクトの推進や、農業研究機関との連携による遺伝子改良トマトの普及は、生産量増加と収益向上の両立に寄与するでしょう。また、地域紛争が再発するリスクを抑えるため、平和維持活動の延長や小規模農家への資金供給支援を通じて、農業生産が安定する環境を継続的に提供することが重要です。

結論として、リベリアのトマト生産量は過去数十年間で大きな進展を見せており、食料安全保障や経済的側面で高い可能性を秘めています。しかし、課題も多く残されており、これに対処するためには、気候変動への適応や技術革新と同時に地域平和を維持する取り組みを強化していく必要があります。