国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、リベリアの落花生生産量は1961年の3,000トンから2023年の6,806トンに増加しています。特に1985年以降、生産量が徐々に回復し、2012年以降はさらなる増加が見られました。一方、特定の時期には生産量の停滞や減少が確認され、内戦や他の地政学的影響が産業に影を落とした状況が指摘されています。
リベリアの落花生生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 6,806 |
3.53% ↑
|
2022年 | 6,574 |
-0.26% ↓
|
2021年 | 6,591 |
0.21% ↑
|
2020年 | 6,577 |
0.34% ↑
|
2019年 | 6,554 |
-1.31% ↓
|
2018年 | 6,641 |
1.63% ↑
|
2017年 | 6,534 |
0.73% ↑
|
2016年 | 6,487 |
5.22% ↑
|
2015年 | 6,165 |
-9.29% ↓
|
2014年 | 6,796 |
4.55% ↑
|
2013年 | 6,500 |
8.33% ↑
|
2012年 | 6,000 |
17.65% ↑
|
2011年 | 5,100 |
0.8% ↑
|
2010年 | 5,060 |
5.41% ↑
|
2009年 | 4,800 |
-7.69% ↓
|
2008年 | 5,200 |
-1.89% ↓
|
2007年 | 5,300 |
3.92% ↑
|
2006年 | 5,100 |
2.35% ↑
|
2005年 | 4,983 |
2.02% ↑
|
2004年 | 4,884 |
14.42% ↑
|
2003年 | 4,269 |
-4.68% ↓
|
2002年 | 4,478 |
-1.76% ↓
|
2001年 | 4,558 |
-5.04% ↓
|
2000年 | 4,800 |
4.42% ↑
|
1999年 | 4,597 |
1.97% ↑
|
1998年 | 4,508 |
2.88% ↑
|
1997年 | 4,382 |
2.26% ↑
|
1996年 | 4,285 |
2.02% ↑
|
1995年 | 4,200 |
10.53% ↑
|
1994年 | 3,800 |
8.57% ↑
|
1993年 | 3,500 |
4.09% ↑
|
1992年 | 3,362 |
4.58% ↑
|
1991年 | 3,215 |
7.17% ↑
|
1990年 | 3,000 |
-25% ↓
|
1989年 | 4,000 | - |
1988年 | 4,000 | - |
1987年 | 4,000 |
25% ↑
|
1986年 | 3,200 |
6.67% ↑
|
1985年 | 3,000 | - |
1984年 | 3,000 | - |
1983年 | 3,000 |
3.45% ↑
|
1982年 | 2,900 |
3.57% ↑
|
1981年 | 2,800 | - |
1980年 | 2,800 | - |
1979年 | 2,800 |
1.82% ↑
|
1978年 | 2,750 |
1.85% ↑
|
1977年 | 2,700 |
1.5% ↑
|
1976年 | 2,660 |
4.31% ↑
|
1975年 | 2,550 |
6.25% ↑
|
1974年 | 2,400 |
9.09% ↑
|
1973年 | 2,200 |
4.76% ↑
|
1972年 | 2,100 | - |
1971年 | 2,100 |
5% ↑
|
1970年 | 2,000 | - |
1969年 | 2,000 | - |
1968年 | 2,000 | - |
1967年 | 2,000 | - |
1966年 | 2,000 | - |
1965年 | 2,000 | - |
1964年 | 2,000 | - |
1963年 | 2,000 |
-33.33% ↓
|
1962年 | 3,000 | - |
1961年 | 3,000 | - |
リベリアの落花生生産は、1960年代から現在に至るまで、紆余曲折を経験してきました。初期の1961年から1970年の10年間を見ると、生産量は平均して2,000トンから3,000トンの間で推移し、ほとんど横ばいの状態でした。しかし、1970年代半ばから1980年代半ばにかけて漸増し、ピークの1987年には4,000トンに達しました。この時期の増加は、地域農業の効率化や現地で農業インフラ整備が行われた可能性が考えられます。
ところが、1990年代初頭からのリベリア内戦の影響により、国内の農業生産が大きく揺らぎ、落花生の生産量も大きく減少しました。具体的には1990年には3,000トンまで減少する一方で、その後の回復期には緩やかな増加が見られ、2000年には4,800トンに達しています。その後、2005年以降の持続可能な農業政策や国際的な援助の影響により、国内農業全体が徐々に安定するにつれて、落花生の生産量も大幅に改善されました。この安定化は2023年には6,806トンという記録的な生産量に結びついています。
地域課題として、気候変動の進行やインフラ不足がリベリアの農業全般において大きな制約となっています。落花生は比較的乾燥した気候に適応できる作物ではありますが、洪水や長引く干ばつなどの極端な気象条件が影響を与える可能性があります。また、農業技術の不足や市場アクセスの制限も収益性向上の妨げとなっています。この点では、中国やインドなど、農業分野への大規模投資を進めている国々と比較すると、リベリアの農業部門が抱える課題は根本的なインフラの脆弱性に起因することが明白です。
地政学的背景に目を向けると、リベリアは西アフリカという不安定な地域に位置するため、隣国での紛争や資源争奪による国内への波及リスクが常に存在します。これらの状況は、農業の安定性や持続可能性にとって大きな脅威となってきました。加えて、国際市場での落花生の需要と価格の変動、特に先進国における落花生加工品の需要と供給の不均衡も、リベリアの農家に影響を及ぼす要因の一つです。
今後の課題として、人材育成を通じた農業技術の向上や、落花生専用の灌漑システムの整備、そして国際マーケットへの繋がりを強化する輸送インフラの改善が挙げられます。加えて、気候変動に適応した農法を導入し、さらなる極端気象への備えを強化することが重要です。こうした対策と並行して、地域間協力を推進し、例えばカカオやゴムといった主要作物の生産で成功を収めている周辺国との知識共有を図ることも有効な手段と考えられます。
結論として、リベリアの落花生生産量は過去数十年間で堅実に増加しており、今後もさらなる成長が期待されます。ただし、内政および国際市場の不安定要因が依然として存在するため、持続可能な農業政策の促進や地政学的リスクを軽減するための構造的対策が不可欠です。リベリア政府だけでなく国際機関も協力し、農業従事者の生活向上と持続可能な生産基盤の形成に努める必要があります。