Skip to main content

リベリアのオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した2024年の最新データによると、リベリアのオレンジ生産量は、長期的には緩やかな増加を見せた時期もありましたが、近年はやや減少傾向にあります。1960年代から1980年代にかけて一定の上昇が見られ、特に1991年には9,341トンで過去最高値を記録しました。しかし、その後安定を欠く推移をたどり、2022年には7,795トンとなり低迷が続いています。この変動には社会不安や経済状況、環境問題などさまざまな要因が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 7,734
-0.78% ↓
2022年 7,795
-0.59% ↓
2021年 7,841
-0.57% ↓
2020年 7,886
-0.4% ↓
2019年 7,918
0.04% ↑
2018年 7,915
-0.59% ↓
2017年 7,962
-0.7% ↓
2016年 8,018
-0.55% ↓
2015年 8,062
-0.68% ↓
2014年 8,118
0.57% ↑
2013年 8,072
-2.16% ↓
2012年 8,250
3.13% ↑
2011年 8,000
-4.49% ↓
2010年 8,376
7.33% ↑
2009年 7,804
-6.92% ↓
2008年 8,384
16.44% ↑
2007年 7,200
-35.56% ↓
2006年 11,173
20.51% ↑
2005年 9,271
5.26% ↑
2004年 8,808
0.5% ↑
2003年 8,764
-0.55% ↓
2002年 8,812
-0.54% ↓
2001年 8,860
-0.54% ↓
2000年 8,908
-0.54% ↓
1999年 8,956
-0.53% ↓
1998年 9,004
-0.53% ↓
1997年 9,052
-0.53% ↓
1996年 9,101
-0.53% ↓
1995年 9,149
-0.52% ↓
1994年 9,197
-0.52% ↓
1993年 9,245
-0.52% ↓
1992年 9,293
-0.52% ↓
1991年 9,341
47.73% ↑
1990年 6,323
-9.67% ↓
1989年 7,000 -
1988年 7,000 -
1987年 7,000 -
1986年 7,000
-2.78% ↓
1985年 7,200
2.86% ↑
1984年 7,000 -
1983年 7,000
1.45% ↑
1982年 6,900
2.99% ↑
1981年 6,700
1.52% ↑
1980年 6,600
1.54% ↑
1979年 6,500
3.17% ↑
1978年 6,300
1.61% ↑
1977年 6,200
3.33% ↑
1976年 6,000
1.69% ↑
1975年 5,900
2.61% ↑
1974年 5,750
2.68% ↑
1973年 5,600
2.75% ↑
1972年 5,450
2.25% ↑
1971年 5,330
2.5% ↑
1970年 5,200
1.96% ↑
1969年 5,100
2% ↑
1968年 5,000 -
1967年 5,000 -
1966年 5,000 -
1965年 5,000 -
1964年 5,000 -
1963年 5,000 -
1962年 5,000 -
1961年 5,000 -

リベリアのオレンジ生産は、1960年代から1990年代初頭までは安定的に成長していました。特に1970年代から1980年代には生産量が5,000トンから約7,000トンへと段階的に増加し、1991年には9,341トンに到達しました。この時期の成長は、国内の農業政策や地域の安定が寄与していたと考えられます。ただし、この成長は1990年代に入ると鈍化し、特に1990年以降の内戦など地政学的要因が生産に大きく影響を及ぼしました。内戦によるインフラ破壊や農業従事者の減少は、オレンジ生産に深刻な悪影響を与え、1990年には6,323トンと一時的な落ち込みを見せました。

その後、1991年には一時的に生産が回復し、ピークに達しましたが、それ以降は全般的に減少傾向が続いています。特に2000年代以降は安定的な成長が見られず、変動が大きいのが特徴です。この背景には、気候変動による天候の不安定化や農業技術の停滞が挙げられます。また、隣接する国々と比較すると、例えば、コートジボワールやガーナなどの近隣国は農業技術の近代化を進めている一方で、リベリアはそれが遅れており、競争力を失っている可能性があります。

ここ数年、特に2022年には7,795トンまで減少し、今後の持続可能な農業施策が求められます。この現象には複合的な背景が考えられます。一つは農業資源への投資不足、もう一つは新型コロナウイルスの影響です。コロナ禍ではサプライチェーンの混乱により農産物の輸出入が制限されたことが生産意欲や生産量に影響を与えたと考えられます。また、気候変動の影響で雨季や旱魃のパターンが不安定化しており、農業の計画的な運営が難しくなっています。

こうした現状を打開するためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、生産技術の近代化が急務です。効率的な灌漑システムの導入や、農家への技術指導の実施により、資源利用の効率を高めるべきです。また、政府や国際機関による資金援助を活用し、オレンジ栽培の機械化や農業インフラの改良を進めることも課題の一つです。さらに、気候変動に対応するために耐性の強い苗の開発・普及に投資することも重要です。

地政学的な側面でも、国内の安定化を図ることが欠かせません。過去の内戦の影響は現在も経済的に尾を引いており、こうした不安定性が生産量減少の一因となっています。隣国との協力を深め、特に農業分野における地域間協力を強化することも有効です。例えば、地域的な農業研究機関を設立し、技術共有や緊急時の備蓄協力体制を築くことが考えられます。

結論として、リベリアのオレンジ生産には、1960年代からの成長期を経て現在では横ばいまたは減少傾向が見られます。この状況を改善するには、技術・資金面での国際協力や国策の整備が必要不可欠です。また、気候変動や地政学的リスクに対応するため、持続可能な農業モデルを構築することが重要です。国際社会との連携を深めつつ、包括的な農業政策を立案し、地域の農業基盤を強化することが求められます。これにより、長期的には再び安定した成長軌道に乗せることが可能となるでしょう。