Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、リベリアの羊肉生産量は1961年の365トンから2023年の917トンへと大きく増加しています。特に2006年以降増加傾向が顕著で、高い伸び率を記録しています。ただし、2023年には直近のピークである2022年の949トンからわずかに減少しました。一方で、1980年代から1990年代にかけては、一貫した停滞期が見られています。こうした長期的な変動は、リベリアの地政学的背景、社会的発展に密接に関連しています。
リベリアの羊肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 917 |
-3.4% ↓
|
2022年 | 949 |
1.33% ↑
|
2021年 | 937 |
1.35% ↑
|
2020年 | 924 |
1.48% ↑
|
2019年 | 911 |
4.68% ↑
|
2018年 | 870 |
0.16% ↑
|
2017年 | 869 |
0.22% ↑
|
2016年 | 867 |
0.41% ↑
|
2015年 | 864 |
0.28% ↑
|
2014年 | 861 |
0.09% ↑
|
2013年 | 860 |
1.21% ↑
|
2012年 | 850 |
1.19% ↑
|
2011年 | 840 |
2.94% ↑
|
2010年 | 816 |
4.41% ↑
|
2009年 | 782 |
4.62% ↑
|
2008年 | 747 |
4.61% ↑
|
2007年 | 714 |
4.7% ↑
|
2006年 | 682 |
4.92% ↑
|
2005年 | 650 | - |
2004年 | 650 | - |
2003年 | 650 | - |
2002年 | 650 | - |
2001年 | 650 | - |
2000年 | 650 | - |
1999年 | 650 | - |
1998年 | 650 | - |
1997年 | 650 | - |
1996年 | 650 | - |
1995年 | 650 | - |
1994年 | 650 | - |
1993年 | 650 | - |
1992年 | 650 | - |
1991年 | 650 | - |
1990年 | 650 |
-0.76% ↓
|
1989年 | 655 | - |
1988年 | 655 |
0.77% ↑
|
1987年 | 650 |
0.78% ↑
|
1986年 | 645 |
0.78% ↑
|
1985年 | 640 | - |
1984年 | 640 |
1.59% ↑
|
1983年 | 630 |
5% ↑
|
1982年 | 600 |
4.35% ↑
|
1981年 | 575 |
4.55% ↑
|
1980年 | 550 |
-5.17% ↓
|
1979年 | 580 |
-9.38% ↓
|
1978年 | 640 |
1.59% ↑
|
1977年 | 630 |
6.78% ↑
|
1976年 | 590 |
9.26% ↑
|
1975年 | 540 |
1.89% ↑
|
1974年 | 530 |
2.91% ↑
|
1973年 | 515 |
3% ↑
|
1972年 | 500 |
2.04% ↑
|
1971年 | 490 |
3.16% ↑
|
1970年 | 475 |
2.15% ↑
|
1969年 | 465 |
3.33% ↑
|
1968年 | 450 |
2.27% ↑
|
1967年 | 440 |
2.33% ↑
|
1966年 | 430 |
3.61% ↑
|
1965年 | 415 |
3.75% ↑
|
1964年 | 400 |
2.56% ↑
|
1963年 | 390 |
3.45% ↑
|
1962年 | 377 |
3.29% ↑
|
1961年 | 365 | - |
リベリアの羊肉生産量の推移は、同国の経済環境や社会状況をよく反映しています。1961年から1970年代半ばにかけては、農業分野全般における発展と安定的な社会状況を背景に、羊肉生産量が順調に増加しました。統計を見ると、1961年の365トンから1976年には590トンに達しています。この期間は国内の牧畜業における投資やインフラ整備が進み、生産量が堅調に推移したと考えられます。
しかし1977年以降、1980年代にかけて羊肉生産量は不安定化し、時折大幅な減少が見られるようになりました。1979年の580トンから1980年の550トンへの下落は、当時の政治不安や経済問題、あるいは突発的な災害の影響を示している可能性があります。その後も、1985年から2005年に渡る長期間、羊肉の年間生産量はほぼ650トンのまま横ばいとなり、成長の鈍化が明らかです。この停滞期は、リベリア内戦(1989年~2003年)による影響が大きかったと考えられます。この紛争期間中には国内の農業インフラが破壊され、多くの農家が生産活動を維持できなくなりました。また、牧畜業に必要な市場ネットワークも崩壊し、輸送や販売が困難になった要因も寄与しているでしょう。
2006年からの再増加は、内戦後の復興プロセスに伴う農業セクターの再生が背景にあります。この時期において、政府や国際機関が提供した支援や融資によって牧畜業が改善され、生産量も安定して上昇しました。また、グローバル市場への輸出機会の増加や、国内外の羊肉需要の高まりも生産を押し上げる要因です。2022年には949トンと史上最高を記録しましたが、2023年には917トンへと微減しました。この減少の原因としては、近年の気候変動の影響や、内外の経済不安、また飼料価格の上昇などが挙げられるでしょう。
一方で、近隣諸国との比較では、リベリアの羊肉生産量は依然として小規模であり、国際的な競争力を強化するための課題も多いです。例えば、隣国のギニアやセネガルでは、より効率的な牧畜技術の導入と輸送ネットワークの整備により、リベリアよりも速いペースで生産量が拡大しています。また、アフリカ全体の中でも大規模生産を行う南アフリカ共和国などと比べても、その差は大きいと言えます。
リベリアで羊肉生産をさらに伸ばすためにはいくつかの課題があります。まず、気候変動への対応として、干ばつへの耐性がある牧草の導入や、灌漑施設の活用が必要です。次に、資金面での支援を強化することで、小規模農家が技術革新を進められる環境を整えるべきです。さらに、国内需要だけでなく、国際市場における競争力を高めるために、品質管理や輸出手続きの改善が求められます。これらの施策は、政府当局や国際協力機関だけでなく、民間セクターとの連携が不可欠です。
さらに、世界的な需要動向を見ると、羊肉は高タンパクで健康価値が再認識されつつあり、今後の市場拡大が期待されています。そのためリベリアとしては、地域内での協力関係を深め、例えば西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の枠組みを活用し、羊肉の流通や販売ルートの整備を図るべきです。また、疫病対策としては、定期的な家畜検査プログラムや、抜本的なワクチン供給体制の強化が生産拡大に寄与するでしょう。
結論として、リベリアの羊肉生産量が近年上昇傾向にあるのは、和平定着と経済復興の成果が現れていると言えます。しかし、気候変動や国際競争の激化といった新たな課題を克服するためには、持続可能な生産体制の確立が重要です。国や地域の主体的な努力に加え、国際連携を活用し、技術と資源を最大限に活用すれば、安定した成長が描けるでしょう。