国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、リベリアの牛乳生産量は、1961年の371トンから、2022年には8,601トンに増加しています。データからは、1961年から1980年代前半までは緩やかに増加し、その後1991年以降生産量が大幅に増加していることが示されています。一方で2016年以降は変動が見られ、特に2018年には減少傾向が顕著となっています。このデータはリベリアの農業生産や食料供給の基盤、さらには経済や社会的要因の変化を反映していると考えられます。
リベリアの牛乳生産量推移(1961年~2022年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2022年 | 8,601 |
1.33% ↑
|
2021年 | 8,488 |
-1.74% ↓
|
2020年 | 8,638 |
1.11% ↑
|
2019年 | 8,544 |
3.83% ↑
|
2018年 | 8,229 |
-8.26% ↓
|
2017年 | 8,969 |
-0.54% ↓
|
2016年 | 9,018 |
-2.12% ↓
|
2015年 | 9,213 |
2.18% ↑
|
2014年 | 9,017 |
0.4% ↑
|
2013年 | 8,981 |
0.01% ↑
|
2012年 | 8,979 |
0.79% ↑
|
2011年 | 8,909 |
2.41% ↑
|
2010年 | 8,699 |
2.5% ↑
|
2009年 | 8,487 |
6.05% ↑
|
2008年 | 8,003 |
1.78% ↑
|
2007年 | 7,864 |
0.72% ↑
|
2006年 | 7,807 |
-0.8% ↓
|
2005年 | 7,870 |
0.06% ↑
|
2004年 | 7,865 |
0.06% ↑
|
2003年 | 7,860 |
0.06% ↑
|
2002年 | 7,855 |
0.06% ↑
|
2001年 | 7,850 |
0.06% ↑
|
2000年 | 7,845 |
0.06% ↑
|
1999年 | 7,840 |
0.06% ↑
|
1998年 | 7,835 |
0.06% ↑
|
1997年 | 7,830 |
0.06% ↑
|
1996年 | 7,825 |
0.06% ↑
|
1995年 | 7,820 |
0.06% ↑
|
1994年 | 7,815 |
0.06% ↑
|
1993年 | 7,810 |
3.16% ↑
|
1992年 | 7,570 |
-1.78% ↓
|
1991年 | 7,708 |
940.18% ↑
|
1990年 | 741 |
-5% ↓
|
1989年 | 780 |
-4.76% ↓
|
1988年 | 819 | - |
1987年 | 819 | - |
1986年 | 819 | - |
1985年 | 819 | - |
1984年 | 819 | - |
1983年 | 819 |
5% ↑
|
1982年 | 780 | - |
1981年 | 780 |
2.56% ↑
|
1980年 | 761 |
2.63% ↑
|
1979年 | 741 |
1.79% ↑
|
1978年 | 728 |
3.7% ↑
|
1977年 | 702 |
1.89% ↑
|
1976年 | 689 |
3.92% ↑
|
1975年 | 663 |
3.03% ↑
|
1974年 | 644 |
3.13% ↑
|
1973年 | 624 |
3.23% ↑
|
1972年 | 605 |
3.33% ↑
|
1971年 | 585 |
7.14% ↑
|
1970年 | 546 |
3.7% ↑
|
1969年 | 527 |
3.85% ↑
|
1968年 | 507 |
4% ↑
|
1967年 | 488 |
4.17% ↑
|
1966年 | 468 |
4.35% ↑
|
1965年 | 449 |
4.55% ↑
|
1964年 | 429 |
4.76% ↑
|
1963年 | 410 |
5% ↑
|
1962年 | 390 |
5.26% ↑
|
1961年 | 371 | - |
リベリアの牛乳生産量の推移を見てみると、まず1961年から1980年までの約20年間では、生産量が順調に増加し、371トンから780トンへと倍増しました。この頃の増加は、畜産業の拡大や家畜管理技術の向上、また食料安全確保への取り組みの強化などが要因として考えられます。特にこの時期、リベリアは農業発展に向けた国内支援プログラムを一部実施しており、生産基盤の整備が進められました。
しかし1980年代後半になると、生産量は停滞し、特に1990年代初頭には急激な変動が見られます。この背景には、1989年に勃発したリベリア内戦が大きく影響しています。実際、戦争による社会的混乱やインフラの崩壊、農村部での家畜損失が、生産量の減少と波動を引き起こしたと考えられます。それにもかかわらず1991年以降のデータでは一気に7,000トンを超えるような変化が示されますが、これは統計の収集方法や農作業の集約化・復旧による数値反映の歪みがある可能性もあり、慎重な解釈が必要です。
その後、2000年代初頭から2014年までは8,000トン台で安定した増加傾向を示し、2014年には9,017トンとピークを迎えます。しかし、2018年には再び8,229トンへと減少が見られ、この時期はエボラ出血熱の流行が発生しており、その影響で労働力の低下や輸送・流通の停滞が牛乳生産にも悪影響を及ぼした可能性があります。以降、2020年代に入っても大きな回復傾向は見られず、2022年には8,601トンと、依然として不安定な水準にとどまっています。
リベリアの牛乳生産の課題を考えると、この国の農業インフラのさらなる整備が必要であることが明白です。長年の内戦や感染症の流行は、リベリアの畜産業の発展に大きな足かせとなっています。また、人口増加や近年の気候変動の影響も、農業生産に与える圧力となっています。これらの問題に対応するには、地域を超えた協力が不可欠です。このため、国際機関や隣接する西アフリカ諸国との連携を強化し、家畜用飼料の確保や熱帯地域向けの家畜育種技術の導入を進めるべきです。
さらに、牛乳の加工および保存技術の向上も主要な対策として挙げられます。リベリアのような発展途上国では、生乳の流通中に発生する遺失が少なくありません。この問題を解決するためには、冷蔵技術や保存容器の普及が必要です。また、女性の参画を進めることで小規模畜産世帯の生産性向上も期待されます。
データの示すとおり、リベリアでは経済的・社会的課題が牛乳生産に直接的な影響を及ぼしています。将来的には、一次産業の発展を高めつつ、同時に生乳生産と流通の効率化を図ることで、国内の栄養供給と食品安全の確保に取り組むことが求められるでしょう。