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ハイチのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が最新の2024年7月に更新したデータによると、ハイチのレモン・ライム生産量は1961年から1980年代後半まで徐々に増加していましたが、1990年代には減少に転じ、その後は増減を繰り返しながら不安定な推移を示しています。特に2015年以降は急激な減少が顕著で、2023年には1,868トンにまで減少しています。この長期的な低下の背景には、気候変動、頻発する自然災害、経済的不安定性、ならびに農業分野への支援不足が関係していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,868
-46% ↓
2022年 3,458
-42.78% ↓
2021年 6,044
17.06% ↑
2020年 5,163
25.25% ↑
2019年 4,122
10.87% ↑
2018年 3,718
-29.01% ↓
2017年 5,237
-47.71% ↓
2016年 10,016
-66.41% ↓
2015年 29,818
-39.09% ↓
2014年 48,953
5% ↑
2013年 46,622
5.46% ↑
2012年 44,208
16.59% ↑
2011年 37,917
15.17% ↑
2010年 32,923
22.73% ↑
2009年 26,826
-7.04% ↓
2008年 28,857
-3.81% ↓
2007年 30,000
15.38% ↑
2006年 26,000 -
2005年 26,000
17.65% ↑
2004年 22,100
0.45% ↑
2003年 22,000
-5.98% ↓
2002年 23,400
17% ↑
2001年 20,000
-20% ↓
2000年 25,000
8.7% ↑
1999年 23,000
2.22% ↑
1998年 22,500
4.14% ↑
1997年 21,605
5.39% ↑
1996年 20,500
-2.38% ↓
1995年 21,000
-1.98% ↓
1994年 21,424
-1.42% ↓
1993年 21,732
-1.22% ↓
1992年 22,000
-8.33% ↓
1991年 24,000
-2.04% ↓
1990年 24,500
-2% ↓
1989年 25,000
-3.85% ↓
1988年 26,000
-3.7% ↓
1987年 27,000 -
1986年 27,000 -
1985年 27,000
3.85% ↑
1984年 26,000 -
1983年 26,000
1.96% ↑
1982年 25,500
2% ↑
1981年 25,000 -
1980年 25,000 -
1979年 25,000
2.04% ↑
1978年 24,500 -
1977年 24,500
2.08% ↑
1976年 24,000
1.69% ↑
1975年 23,600
0.85% ↑
1974年 23,400
0.86% ↑
1973年 23,200
0.87% ↑
1972年 23,000
0.88% ↑
1971年 22,800
1.33% ↑
1970年 22,500
1.35% ↑
1969年 22,200
0.91% ↑
1968年 22,000
0.92% ↑
1967年 21,800
1.4% ↑
1966年 21,500
1.42% ↑
1965年 21,200
0.95% ↑
1964年 21,000
0.96% ↑
1963年 20,800
1.46% ↑
1962年 20,500
2.5% ↑
1961年 20,000 -

ハイチのレモン・ライム生産量の推移を見ると、初期の1960年代から1980年代までの生産量は比較的一貫して増加していました。この増加は、農業技術の向上や市場需要の拡大によるものであると推測されます。しかし、1990年代に入ると生産量は再び減少に転じ、経済的および環境的課題が徐々に深刻化したことが示唆されています。特にこの期間は、国内の政治的混乱や、国際市場の競争激化が影響して、農業従事者やインフラ整備にまで悪影響を及ぼしたと考えられます。また、1992年で22,000トン、1995年では21,000トンと減少が続き、2000年には一旦25,000トンに回復するも、大幅な増減が起こり続ける不安定な状況が見られます。

特筆すべきは、2010年代における急激な生産量の変動です。2012年から2014年にかけては44,208トンから48,953トンと大きな成長を遂げており、これにはレモン・ライムに対する国際的な需要の高まりが一因と考えられます。しかし、2015年以降、特に2016年には10,016トン、2017年には5,237トン、2018年には3,718トンと、生産量は急激に減少しており、2023年には1,868トンと過去最低となっています。この劇的な減少の背景には、台風や干ばつといった気候変動による影響、ハリケーン・マシュー(2016年)など自然災害の頻発、そして農地劣化や農業従事者の減少が大きく関与していると考えられます。また経済の低迷や国内の政治情勢の不安定も、農業分野への投資や農業従事者への支援を弱める要因となりました。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大やその影響も生産減少に拍車をかけた可能性があります。物流網の遮断や労働力不足、国際市場へのアクセスの阻害が影響し、農家が継続的な収益を得ることが困難になった状況が伺えます。このような背景は、ハイチが農業依存型経済であることから国全体の経済状況へも影響を与えています。

ハイチの農業回復にはいくつかの具体的な施策が必要です。第一に、気候変動に対応するための持続可能な農業技術の導入が重要です。たとえば、災害に強いレモン・ライム種の開発や、効率的な灌漑技術の普及を行うべきです。第二に、国際援助やNGOを通じた農業支援体制の強化が急務です。特に、インフラの整備や市場アクセス拡大を目的とした支援は、生産量の回復において有効だと考えられます。第三に、農業従事者の教育やトレーニングを充実させ、農家が適切な技術を習得できる環境を整備する必要があります。さらに、政府は農業セクターへの投資を増やし、安定的かつ公平な支援制度を確立すべきです。

ハイチのレモン・ライム生産が増加傾向にある他国、たとえばメキシコやブラジルといった主要生産国の事例に倣い、地域内外での経済協力の強化も検討すべきです。これらの国々は、体系的な灌漑管理や効率的な輸出戦略により、世界市場での競争力を維持しています。ハイチも同様の取り組みを進め、新しい市場機会の探索を図ることで輸出主導の成長を目指すことが可能です。

結論として、ハイチのレモン・ライム生産量の回復と持続可能な発展には複数の課題が存在していますが、これらを克服するためには国内外を問わず広範な連携が必要です。農業分野への投資と技術開発、ならびに災害対応能力の向上が優先されるべきです。これにより、農家の収入を安定させるとともに、国全体の経済安定化と環境保全へと大きく寄与することが期待されます。