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ハイチのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が公表したデータによると、ハイチのパイナップル生産量は1961年の550トンから2023年の7,206トンへ増加しています。この期間において、生産量は大幅に改善しましたが、1980年代後半から1990年代初頭に停滞、また2000年代初期には減少を経験しました。その後は回復基調にあり、2010年以降は着実な成長を遂げています。しかし、近年は7,000トン前後で横ばいの傾向を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 7,206
0.2% ↑
2022年 7,192
-0.5% ↓
2021年 7,228
0.41% ↑
2020年 7,199
0.69% ↑
2019年 7,150
-2.53% ↓
2018年 7,336
3.15% ↑
2017年 7,111
1.56% ↑
2016年 7,002
-2.83% ↓
2015年 7,206
2.95% ↑
2014年 7,000
2.94% ↑
2013年 6,800
3.03% ↑
2012年 6,600
1.54% ↑
2011年 6,500
30% ↑
2010年 5,000
2.64% ↑
2009年 4,871
5% ↑
2008年 4,640
3.1% ↑
2007年 4,500
18.42% ↑
2006年 3,800 -
2005年 3,800
8.57% ↑
2004年 3,500
40% ↑
2003年 2,500
0.81% ↑
2002年 2,480
-11.43% ↓
2001年 2,800
-24.12% ↓
2000年 3,690
11.58% ↑
1999年 3,307
1.13% ↑
1998年 3,270
21.67% ↑
1997年 2,688
15.85% ↑
1996年 2,320
5.45% ↑
1995年 2,200
4.76% ↑
1994年 2,100
1.87% ↑
1993年 2,062
3.08% ↑
1992年 2,000
-4.76% ↓
1991年 2,100
-7.98% ↓
1990年 2,282
3.73% ↑
1989年 2,200
-4.35% ↓
1988年 2,300
-4.17% ↓
1987年 2,400 -
1986年 2,400 -
1985年 2,400 -
1984年 2,400
4.35% ↑
1983年 2,300
4.55% ↑
1982年 2,200
4.76% ↑
1981年 2,100
5% ↑
1980年 2,000
5.26% ↑
1979年 1,900
5.56% ↑
1978年 1,800
5.88% ↑
1977年 1,700
6.25% ↑
1976年 1,600
6.67% ↑
1975年 1,500
7.14% ↑
1974年 1,400
7.69% ↑
1973年 1,300
8.33% ↑
1972年 1,200
9.09% ↑
1971年 1,100
10% ↑
1970年 1,000
5.26% ↑
1969年 950
5.56% ↑
1968年 900
5.88% ↑
1967年 850
6.25% ↑
1966年 800
6.67% ↑
1965年 750
7.14% ↑
1964年 700
7.69% ↑
1963年 650
8.33% ↑
1962年 600
9.09% ↑
1961年 550 -

ハイチのパイナップル生産量は、この60年余りで顕著な増加を遂げており、1961年の550トンに比べ、2023年にはおよそ13倍以上の7,206トンに達しました。しかし、このような増加の背景には、一貫した成長だけではなく、地政学的リスクや自然災害の影響による一時的な停滞や縮小の時期も含まれています。

特に1985年から1995年の約10年間は生産量が伸び悩み、さらに一部の年には減少を記録しました。この期間は、ハイチ国内の政治的不安定や経済低迷、さらには国際的な援助削減が影響していると推測されます。また、この時期における農業分野への投資不足や気候変動の影響も要因として挙げられるでしょう。農業技術や灌漑システムの未整備も、生産量の限界を招いていた可能性があります。

2000年以降になると生産量は回復基調に入り、2007年に4,500トン、さらに2011年以降には年6,000トンを超える新たなレベルに到達しました。この成長は、国際機関や開発プログラムによる農業支援の成果であり、同時に農業従事者の技術向上や市場へのアクセス改善の成果とも言えるでしょう。しかし、近年では7,000トン台で横ばいの動きが続いており、成長が頭打ちとなる兆候も見受けられます。

ハイチのパイナップル生産量をさらに発展させるには、いくつかの課題と対策が必要です。まず、気候変動への適応能力を高めるため、より効率的な灌漑システムや耐久性のあるパイナップル品種の開発が重要です。また、農業者が先進技術を活用できるよう、教育プログラムの導入を進める必要もあります。さらに、生産品の市場への流通インフラを改善し、国内外での需要を確保することも課題です。現在、パイナップルの国際市場ではフィリピンやタイといった大規模生産国が優位に立っていますが、ハイチは持続可能な農業と有機パイナップルを武器に差別化を図る余地があります。

自然災害に対するリスクも依然として大きい課題です。ハイチは地震や台風などの災害に頻繁に見舞われる国であり、それらの災害が農業生産に甚大な影響を及ぼしています。災害時の復興支援体制を整備し、農地の保護を進めることが一層求められます。国際社会との連携による防災対策も必要であり、FAOやその他の国際援助機関との協力が鍵となります。

成長の持続性を確保するためには、政策的介入も欠かせません。ハイチ政府は国内農業の競争力を向上させるため、農業関連の補助金や輸出促進策を強化する必要があります。また、地域間協力の枠組みを活用し、カリブ諸国の農業市場と経済的つながりを深めることも重要です。これにより、地域の安定性と食糧安全保障を強化できるでしょう。

総じて、ハイチのパイナップル生産は顕著な進歩を遂げましたが、多面的な課題が依然として存在します。今後、生産量をさらに増やし、農業全体の持続可能性を高めるためには、適切な政策、技術革新、地域および国際的協力が求められます。この取り組みを成功させれば、ハイチの農業はより競争力を持ち、国民の生活の質向上や経済発展にも寄与する可能性があります。