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ハイチのサツマイモ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ハイチのサツマイモ生産量は1961年には18万トンであり、その後一貫して増加傾向を見せ、1977年には34万6,225トンとピークを迎えました。しかし、1990年代中盤以降から長期的な減少傾向が続き、2017年には8万7,055トンまで減少しました。近年ではやや回復の兆しが見られるものの、2022年時点で11万1,662トンに留まっています。この変動には複数の政治的、経済的、環境的要因が関与していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 14,368
-87.13% ↓
2022年 111,662
34.87% ↑
2021年 82,790
-18.02% ↓
2020年 100,982
-13.94% ↓
2019年 117,345
0.59% ↑
2018年 116,659
34.01% ↑
2017年 87,055
-24.12% ↓
2016年 114,732
-61.83% ↓
2015年 300,606
-41.06% ↓
2014年 510,000
-14.96% ↓
2013年 599,683
10.4% ↑
2012年 543,169
14.6% ↑
2011年 473,962
14.34% ↑
2010年 414,518
40.91% ↑
2009年 294,172
27.9% ↑
2008年 230,000
4.55% ↑
2007年 220,000
10% ↑
2006年 200,000 -
2005年 200,000
14.29% ↑
2004年 175,000
-2.78% ↓
2003年 180,000
2.86% ↑
2002年 175,000
0.57% ↑
2001年 174,000
-3.33% ↓
2000年 180,000
4.65% ↑
1999年 172,000
1.03% ↑
1998年 170,250
6.41% ↑
1997年 160,000
-12.71% ↓
1996年 183,300
-1.61% ↓
1995年 186,294
0.7% ↑
1994年 185,000
-2.63% ↓
1993年 190,000
-2.97% ↓
1992年 195,822
-2.09% ↓
1991年 200,000
-9.09% ↓
1990年 220,000
-8.33% ↓
1989年 240,000
-7.69% ↓
1988年 260,000
-7.14% ↓
1987年 280,000
-6.67% ↓
1986年 300,000
-6.25% ↓
1985年 320,000
-8.57% ↓
1984年 350,000
1.16% ↑
1983年 346,000
10.54% ↑
1982年 313,000
10.99% ↑
1981年 282,000
0.11% ↑
1980年 281,700
6.39% ↑
1979年 264,788
-13.33% ↓
1978年 305,528
-11.75% ↓
1977年 346,225
8.2% ↑
1976年 320,000
4.92% ↑
1975年 305,000
5.17% ↑
1974年 290,000
7.41% ↑
1973年 270,000
8% ↑
1972年 250,000
-7.41% ↓
1971年 270,000
3.85% ↑
1970年 260,000
4% ↑
1969年 250,000
-3.85% ↓
1968年 260,000
8.33% ↑
1967年 240,000
4.35% ↑
1966年 230,000
4.55% ↑
1965年 220,000
4.76% ↑
1964年 210,000
5% ↑
1963年 200,000
5.26% ↑
1962年 190,000
5.56% ↑
1961年 180,000 -

ハイチは長い間、サツマイモの生産が重要な農業活動の一つとなってきた国です。サツマイモは、カロリーと栄養価が高く、現地の食糧安全保障に寄与してきました。データは1961年から2022年までの生産量の推移を示していますが、これには経済情勢や自然災害、地政学的リスクが大きく影響を与えています。特に注目すべき点は、1960年代半ばから1970年代後半にかけて顕著な増加を見せた時期で、このピークを迎えることで、農業の成長がハイチの主食確保に大きく貢献していたと考えられます。

一方、1990年代以降、生産量は減少傾向を示しています。この減少の背景には、政治的不安定や土地の劣化、災害の増加が挙げられます。1990年以降、土地所有に関する不均一性や農業インフラの不足により農地が利用されなくなり、さらにサイクロンや暴風雨が農作物に深刻なダメージを与えました。また、ハイチにおける経済政策の不透明さも、農業従事者に適切な支援が行き渡らなかった一因となっています。

特に2010年の大地震とその後の後遺症は、農業全般に壊滅的な影響を及ぼしました。この年、サツマイモ生産量は一時的に41万4,518トンまで急増しましたが、それは被災地の緊急支援や植え付け活動によって一時的に生産が刺激されたに過ぎないと分析することが可能です。その後、生産量は徐々に減少し、2017年には8万7,055トンまで急落しました。このまま回復を続けない場合、ハイチ国民の食糧安全保障に重大な影響を及ぼすことが懸念されます。

この問題に対処するには、まず持続可能な農業政策が必要です。具体的には、幹線道路や市場へのアクセスを向上させるための農業インフラ整備、若い世代への農業教育の充実、そして小農を対象とした金融サービスや補助金制度の展開が挙げられます。また、環境面では土壌改良や災害対策のための技術導入が求められます。他国の成功事例として、中国は農業改革で土地制度を整え、生産効率を向上させています。ハイチも同様に、土地利用の効率化を図ることで、食糧自給率の向上につなげられる可能性があります。

さらに、地域間協力を基盤とした枠組み作りも重要です。近隣諸国との協力を通じて農業技術や資金の共有を促進し、国際的な食品市場における競争力強化に繋げるべきです。また、地政学的な観点からも、政治的不安定を解消し国内での紛争を終結させることが、サツマイモ生産を含む農業分野全体の安定的な成長にとって不可欠です。

ハイチのサツマイモ生産量の長期的な回復が達成されれば、食糧安全保障の改善や貧困層の支援にもつながります。そのため、国際機関や政府、地域社会が協力して具体的な行動を起こす必要があります。短期的な目標としては、小規模農家の支援と農業環境の改善を進めるべきであり、中長期的には農業の機械化や気候変動への対応能力の向上が鍵となります。