国際連合食糧農業機関による最新のデータによると、ニューカレドニアの牛乳生産量は1961年の1,020トンから2023年の478トンに減少しました。長期的には大きな下降傾向が見られる一方、近年では緩やかな回復傾向も見られる年があります。歴史的には1978年をピークに1,320トンに達しましたが、その後大幅に落ち込み、2000年代後半には最低水準の274トンまで減少しました。
ニューカレドニアの牛乳生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 478 |
7.1% ↑
|
2022年 | 446 |
-8.23% ↓
|
2021年 | 486 |
-2.99% ↓
|
2020年 | 501 |
12.69% ↑
|
2019年 | 445 |
-1.2% ↓
|
2018年 | 450 |
12.5% ↑
|
2017年 | 400 |
1.52% ↑
|
2016年 | 394 |
12.25% ↑
|
2015年 | 351 |
-2.77% ↓
|
2014年 | 361 |
12.46% ↑
|
2013年 | 321 |
1.26% ↑
|
2012年 | 317 |
24.8% ↑
|
2011年 | 254 |
-19.62% ↓
|
2010年 | 316 |
15.33% ↑
|
2009年 | 274 |
-47.81% ↓
|
2008年 | 525 |
-36.44% ↓
|
2007年 | 826 |
4.69% ↑
|
2006年 | 789 |
-1.87% ↓
|
2005年 | 804 |
-4.96% ↓
|
2004年 | 846 |
0.71% ↑
|
2003年 | 840 |
5.66% ↑
|
2002年 | 795 |
-5.81% ↓
|
2001年 | 844 |
-9.54% ↓
|
2000年 | 933 |
3.67% ↑
|
1999年 | 900 |
-18.99% ↓
|
1998年 | 1,111 |
14.3% ↑
|
1997年 | 972 |
-9.75% ↓
|
1996年 | 1,077 |
-11.58% ↓
|
1995年 | 1,218 |
-2.95% ↓
|
1994年 | 1,255 |
13.47% ↑
|
1993年 | 1,106 |
9.83% ↑
|
1992年 | 1,007 |
-1.56% ↓
|
1991年 | 1,023 |
-20.48% ↓
|
1990年 | 1,286 |
2.1% ↑
|
1989年 | 1,260 |
-8.7% ↓
|
1988年 | 1,380 |
4.55% ↑
|
1987年 | 1,320 | - |
1986年 | 1,320 |
4.76% ↑
|
1985年 | 1,260 | - |
1984年 | 1,260 | - |
1983年 | 1,260 |
23.53% ↑
|
1982年 | 1,020 |
-10.53% ↓
|
1981年 | 1,140 | - |
1980年 | 1,140 |
-9.52% ↓
|
1979年 | 1,260 |
-4.55% ↓
|
1978年 | 1,320 |
10% ↑
|
1977年 | 1,200 | - |
1976年 | 1,200 | - |
1975年 | 1,200 |
5.26% ↑
|
1974年 | 1,140 |
-9.52% ↓
|
1973年 | 1,260 | - |
1972年 | 1,260 | - |
1971年 | 1,260 | - |
1970年 | 1,260 | - |
1969年 | 1,260 |
5% ↑
|
1968年 | 1,200 | - |
1967年 | 1,200 |
5.26% ↑
|
1966年 | 1,140 |
5.56% ↑
|
1965年 | 1,080 |
12.5% ↑
|
1964年 | 960 |
-11.11% ↓
|
1963年 | 1,080 |
5.88% ↑
|
1962年 | 1,020 | - |
1961年 | 1,020 | - |
ニューカレドニアの牛乳生産量推移を分析すると、この地域の農業における構造的課題や外的要因が生産量の変動に影響を与えていることがわかります。まず、1960年代から1970年代にかけて、牛乳生産量は安定した増加傾向を示しており、特に1978年には1,320トンとピークを迎えました。この時期の安定と成長は、おそらく牧草地の整備や農業従事者の増加、さらに安定した社会経済環境に基づくものと考えられます。しかしながら、1980年代以降、徐々に減少が始まり、特に2008年から2012年にかけて圧倒的な低下が記録されています。この間、2009年の274トンという最低水準は、気候変動による干ばつや農業従事者の高齢化、さらにはインフラの老朽化によるものとされています。
さらに、ニューカレドニアの地政学的背景を考慮すると、この地域の孤立した地理的位置が輸送コストの上昇や資材供給の遅延を引き起こしており、これが酪農業の効率性を低下させた可能性があります。また、深刻な気候変動の影響で牧草地が干ばつや洪水に見舞われたことで、放牧や飼料の確保が難しくなったことが、牛乳生産量の低迷に関連していると推測されます。これらの影響の長期化が、930トンを超える生産量を下回る兆候に直結しています。
一方で、近年のデータを見ると、2018年から2020年にかけて小幅ながら回復基調も見られました。例えば、2020年には501トンと2010年代の中では最も高い値を記録しました。この回復の背景には、技術革新、牧草管理の向上、および補助金などの支援施策の効果が考えられます。しかしながら、2023年の478トンの段階ではまだ1970年代と比較すると低水準にとどまっており、完全な回復には至っていません。
ニューカレドニアの課題は、単なる生産量の回復にとどまりません。今後、より持続可能な酪農体制を構築するためには、以下のような具体的な対策が必要です。まず、牧草地や水資源の保全に向けた気候適応型の農業技術を導入することが挙げられます。これには、効率的な灌漑技術や耐乾燥性の高い牧草の導入が含まれます。次に、農業従事者を増やし、若者を酪農業に巻き込むための教育キャンペーンやインセンティブ政策も必要です。フランス本国などの国際支援を利用して、インフラの改善や現地生産の収益性向上を目指すべきです。
こうした課題を解決することで、ニューカレドニアは牛乳生産の安定化と同時に、地域経済の持続的発展に貢献することが期待されます。また、気候変動の影響に対して脆弱な島嶼地域として、ニューカレドニアは国際的な気候適応策のモデルケースとして役割を果たす可能性もあります。今後、地域間協力や国際機関の支援を活用しながら、牛乳生産の持続的な回復を目指すべきです。