国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、ニューカレドニアの牛乳生産量は1960年代から2020年代までの長期にわたる変動を示しています。1960年代には年間約1,000トン台で推移していましたが、1990年代以降には大きく低下し、2009年には274トンという最低水準を記録しました。その後は再び回復傾向を見せ、2020年には501トンに達しましたが、その後やや減少しています。このデータは、ニューカレドニアの食全般や農牧業の動態、環境要因そして地域経済の影響を反映しています。
ニューカレドニアの牛乳生産量推移(1961年~2022年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2022年 | 446 |
-8.23% ↓
|
2021年 | 486 |
-2.99% ↓
|
2020年 | 501 |
12.69% ↑
|
2019年 | 445 |
-1.2% ↓
|
2018年 | 450 |
12.5% ↑
|
2017年 | 400 |
1.52% ↑
|
2016年 | 394 |
12.25% ↑
|
2015年 | 351 |
-2.77% ↓
|
2014年 | 361 |
12.46% ↑
|
2013年 | 321 |
1.26% ↑
|
2012年 | 317 |
24.8% ↑
|
2011年 | 254 |
-19.62% ↓
|
2010年 | 316 |
15.33% ↑
|
2009年 | 274 |
-47.81% ↓
|
2008年 | 525 |
-36.44% ↓
|
2007年 | 826 |
4.69% ↑
|
2006年 | 789 |
-1.87% ↓
|
2005年 | 804 |
-4.96% ↓
|
2004年 | 846 |
0.71% ↑
|
2003年 | 840 |
5.66% ↑
|
2002年 | 795 |
-5.81% ↓
|
2001年 | 844 |
-9.54% ↓
|
2000年 | 933 |
3.67% ↑
|
1999年 | 900 |
-18.99% ↓
|
1998年 | 1,111 |
14.3% ↑
|
1997年 | 972 |
-9.75% ↓
|
1996年 | 1,077 |
-11.58% ↓
|
1995年 | 1,218 |
-2.95% ↓
|
1994年 | 1,255 |
13.47% ↑
|
1993年 | 1,106 |
9.83% ↑
|
1992年 | 1,007 |
-1.56% ↓
|
1991年 | 1,023 |
-20.48% ↓
|
1990年 | 1,286 |
2.1% ↑
|
1989年 | 1,260 |
-8.7% ↓
|
1988年 | 1,380 |
4.55% ↑
|
1987年 | 1,320 | - |
1986年 | 1,320 |
4.76% ↑
|
1985年 | 1,260 | - |
1984年 | 1,260 | - |
1983年 | 1,260 |
23.53% ↑
|
1982年 | 1,020 |
-10.53% ↓
|
1981年 | 1,140 | - |
1980年 | 1,140 |
-9.52% ↓
|
1979年 | 1,260 |
-4.55% ↓
|
1978年 | 1,320 |
10% ↑
|
1977年 | 1,200 | - |
1976年 | 1,200 | - |
1975年 | 1,200 |
5.26% ↑
|
1974年 | 1,140 |
-9.52% ↓
|
1973年 | 1,260 | - |
1972年 | 1,260 | - |
1971年 | 1,260 | - |
1970年 | 1,260 | - |
1969年 | 1,260 |
5% ↑
|
1968年 | 1,200 | - |
1967年 | 1,200 |
5.26% ↑
|
1966年 | 1,140 |
5.56% ↑
|
1965年 | 1,080 |
12.5% ↑
|
1964年 | 960 |
-11.11% ↓
|
1963年 | 1,080 |
5.88% ↑
|
1962年 | 1,020 | - |
1961年 | 1,020 | - |
ニューカレドニアの牛乳生産量の推移を最初から詳しく見ると、1960年代から1970年代にかけては比較的安定した生産量を維持しており、年間約1,000~1,300トンの範囲で推移しました。この時期の農牧業は、ニューカレドニアにおいて地元需要を満たすことを主たる目標として展開されており、牛乳生産システムも適度に安定していたことが分かります。しかし、1980年代以降、徐々にこの生産基盤が揺らぎ始め、1990年代とそれ以降は明確な減少傾向が見られました。
特に際立ったのは2000年代の急激な減少です。2008年には生産量が525トンにまで低下し、2009年にはわずか274トン、過去最低の生産量を記録しました。この劇的な低下には複数の要因が考えられます。まず、地球温暖化の影響や降水量の変化が草地の品質や利用可能性に影響を及ぼした可能性があります。さらに、都市化の進展に伴い農地が縮小し、家畜飼育に投入されるリソースが減少したことも、背後にあると推測されます。また、ニューカレドニアの国内市場が小規模であるため、輸入乳製品に対する依存が高まったことも地元の生産量を抑制した一因でしょう。
その後、2000年代後半以降、生産量は微弱ながらも回復傾向を見せました。2018年から2020年にかけて、450トンから501トンへ増加したことは、この地域の努力がある程度実を結んでいることを示しています。しかし、2021年には再び486トン、2022年には446トンと減少を記録しました。これには新型コロナウイルス感染症による流通の混乱や、地域ロックダウンの影響も関連していると考えられます。
このような生産量の長期的な低下と変動は、ニューカレドニアの地政学的および気候的な課題を浮き彫りにしています。特に、気候変動による草地環境の悪化、農業従事者の減少、輸入乳製品の競争力の強化などが主な要因とされています。これらの要因に対抗するためには、長期的な視点を持つ政策が必要です。例えば、より効率的な水資源管理技術の導入や、気候変動に耐性のある牧草地の開発が求められます。また、小規模生産者の支援を強化し、地元の乳製品消費を促進するマーケティングキャンペーンを行うことで、需要面での支えを提供することも重要です。
もう一つの鍵となるのは、地域間協力の促進です。他国との技術協力やベストプラクティスの共有、特にニュージーランドやオーストラリアといった牧畜の発展が進んでいる国々との連携が考えられます。これらの協力関係により、ニューカレドニアが直面する農業問題の一部を解決できるでしょう。
結論として、このデータから見えるのは、ニューカレドニアの牛乳生産量が環境変動や市場競争など多岐にわたる要因の影響を受けて大きく変化してきたことです。将来の持続的な成長には、気候への適応、地域経済の強化、そして国際的な協力が不可欠です。国際機関や政府はこれらの方向性に基づいた政策の策定と実行に取り組むべきです。