2024年7月に更新された国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、ニューカレドニアのレモン・ライムの生産量は、過去数十年にわたり変動しながら増加傾向を示してきました。1980年代から1990年代にかけて低い生産量が続いた一方で、2006年以降には徐々に生産量が増え、2015年に急激な伸びを記録しました。その後も安定的に高い水準を維持し、直近の2023年には847トンという実績が確認されています。ニューカレドニアのレモン・ライム生産は、地域経済の重要な一部となりつつあります。
ニューカレドニアのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 847 |
0.33% ↑
|
2022年 | 845 |
-8.4% ↓
|
2021年 | 922 |
-3.47% ↓
|
2020年 | 955 |
3.35% ↑
|
2019年 | 924 |
-1.6% ↓
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2018年 | 939 |
13.41% ↑
|
2017年 | 828 |
-31.91% ↓
|
2016年 | 1,216 |
54.71% ↑
|
2015年 | 786 |
305.15% ↑
|
2014年 | 194 |
8.38% ↑
|
2013年 | 179 |
-26.64% ↓
|
2012年 | 244 |
2.65% ↑
|
2011年 | 238 |
14.72% ↑
|
2010年 | 207 |
17.86% ↑
|
2009年 | 176 |
-32.85% ↓
|
2008年 | 262 |
2.27% ↑
|
2007年 | 256 |
15.32% ↑
|
2006年 | 222 |
23.33% ↑
|
2005年 | 180 |
47.54% ↑
|
2004年 | 122 |
37.08% ↑
|
2003年 | 89 |
-28.23% ↓
|
2002年 | 124 |
22.77% ↑
|
2001年 | 101 |
-15.09% ↓
|
2000年 | 119 |
-22.25% ↓
|
1999年 | 153 |
-6.54% ↓
|
1998年 | 164 |
39.91% ↑
|
1997年 | 117 |
-13.01% ↓
|
1996年 | 135 |
-28.07% ↓
|
1995年 | 187 |
64.77% ↑
|
1994年 | 113 |
31.97% ↑
|
1993年 | 86 |
-14.85% ↓
|
1992年 | 101 |
71.19% ↑
|
1991年 | 59 |
90.32% ↑
|
1990年 | 31 |
3.33% ↑
|
1989年 | 30 | - |
1988年 | 30 | - |
1987年 | 30 | - |
1986年 | 30 | - |
1985年 | 30 | - |
1984年 | 30 |
-80% ↓
|
1983年 | 150 |
87.5% ↑
|
1982年 | 80 |
166.67% ↑
|
1981年 | 30 | - |
1980年 | 30 | - |
ニューカレドニアのレモン・ライム生産推移をみると、1980年代から2000年代前半にかけて非常に低い水準で推移していたことがわかります。1980年に30トンだった生産量は、1983年に150トンに急増したものの、それ以降1992年までほとんど30トン程度で横ばいでした。しかし1990年代中盤から徐々に上昇をはじめ、2006年には初めて200トンを超え、2007年以降はさらに右肩上がりの傾向を示しています。この時期の増加は、農業技術の導入や農産物市場の改善、果樹栽培における地域支援の影響とされます。
2015年になると、786トンという飛躍的な増加が記録されており、その後2016年には1,216トンという過去最高を達成しました。その背景には、世界的な柑橘類需要の高まりや、国内市場での安定供給があったと推測されます。しかし2017年には再び828トンへ減少するなど、年間ごとの変動が大きく見られる時期もありました。
直近の2023年においては847トンと、2016年のピーク時の生産量には及ばないものの、持続的に高い生産を維持しています。一方で2022年の845トンからわずかに増加しただけで、近年の生産量は横ばいに近い傾向が見えています。この停滞の要因として、新型コロナウイルス感染症の大流行や、気候変動による台風や干ばつなどの自然災害の影響が考えられます。また、これらの外的要因が輸送や供給チェーンに与えた課題も一因と言えるでしょう。
地域特有の課題として、ニューカレドニアは地理的に限られた耕作地しか持たず、輸送コストの高さや労働力不足といった要因が農業生産全体に影響を与えています。特に、輸出可能な品質のレモン・ライムを継続的に育成するためには、土壌の質を保つ技術的対策や、災害対応能力の強化が求められます。
今後の対策として、農業技術のさらなる最適化が必要です。具体的には、灌漑設備の整備や耐気候変動性の高い品種の開発・導入が挙げられます。また、地域内外のマーケットへの輸送路を改善し、輸入競争力の向上を図ることが重要です。さらに、労働人口の確保のためには農業支援策や教育プログラムの充実が課題となるでしょう。
地政学的な観点で言えば、ニューカレドニアは太平洋地域における戦略的重要性が高い場所に位置しています。このため、安定的な農業収入の確保は地域の政治的安定にもつながります。気候変動の影響が深刻化する中、国際的な農業支援機関との連携を通じて、持続可能な農業モデルを構築することが、この地域にとって不可欠といえるでしょう。
ニューカレドニアのレモン・ライム生産は、過去の変動を考慮しても、現在安定的な基盤の上にあります。しかし、この基盤を将来的に強固にするためには、国家的および地域的な支援政策と、農業技術革新の継続が鍵となってくるでしょう。食糧安全保障や経済安定に寄与するためにも、外部パートナーとの連携がさらに求められる時代に突入しています。