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コンゴ民主共和国の牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新の2024年7月更新データによると、コンゴ民主共和国の牛乳生産量は、1961年の5,600トンから、2023年には9,936トンまで増加しました。この約60年間における全体的な増加傾向の中で、地域の内戦や経済状況の変動により、生産量が減少する時期も見られましたが、直近では持続的な回復と向上が見られます。2023年の生産量は過去最高値を記録しており、緩やかではあるものの堅実な成長が続いています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 9,936
7.84% ↑
2022年 9,213
3.37% ↑
2021年 8,913
5.8% ↑
2020年 8,425
5.8% ↑
2019年 7,963
3.19% ↑
2018年 7,717
3.26% ↑
2017年 7,473
1.78% ↑
2016年 7,343
2.22% ↑
2015年 7,184
-26.7% ↓
2014年 9,800
3.16% ↑
2013年 9,500
5.56% ↑
2012年 9,000
12.5% ↑
2011年 8,000
6.67% ↑
2010年 7,500
23.11% ↑
2009年 6,092
-0.04% ↓
2008年 6,095
-0.04% ↓
2007年 6,097
-0.04% ↓
2006年 6,100
-0.04% ↓
2005年 6,103
-0.04% ↓
2004年 6,105
-0.04% ↓
2003年 6,108
22.16% ↑
2002年 5,000
-19.95% ↓
2001年 6,246
-1.93% ↓
2000年 6,369
22.49% ↑
1999年 5,200
-1.89% ↓
1998年 5,300
-8.62% ↓
1997年 5,800
-6.45% ↓
1996年 6,200
-8.82% ↓
1995年 6,800
1.49% ↑
1994年 6,700
-8.22% ↓
1993年 7,300
-8.75% ↓
1992年 8,000
-1.23% ↓
1991年 8,100
3.85% ↑
1990年 7,800
2.63% ↑
1989年 7,600
4.11% ↑
1988年 7,300
2.82% ↑
1987年 7,100
3.65% ↑
1986年 6,850
3.01% ↑
1985年 6,650
0.76% ↑
1984年 6,600
1.62% ↑
1983年 6,495
1.96% ↑
1982年 6,370
2.08% ↑
1981年 6,240
0.65% ↑
1980年 6,200
3.33% ↑
1979年 6,000
15.38% ↑
1978年 5,200
-11.86% ↓
1977年 5,900
1.72% ↑
1976年 5,800
3.57% ↑
1975年 5,600
1.82% ↑
1974年 5,500
3.77% ↑
1973年 5,300
1.92% ↑
1972年 5,200
4% ↑
1971年 5,000
2.04% ↑
1970年 4,900
2.08% ↑
1969年 4,800
2.13% ↑
1968年 4,700
2.17% ↑
1967年 4,600
2.22% ↑
1966年 4,500
4.65% ↑
1965年 4,300
-14% ↓
1964年 5,000
-3.85% ↓
1963年 5,200
-3.7% ↓
1962年 5,400
-3.57% ↓
1961年 5,600 -

コンゴ民主共和国の牛乳生産量は、1960年代初頭において5,000トン台で推移していましたが、この時期には農畜産業の基盤が大きく発展していなかったため、低い水準に留まっていました。その後、1970年代から1980年代半ばにかけて緩やかな増加が見られました。この増加は、主に農業技術の緩やかな改善と需要の増加が要因と考えられています。しかし、1990年代には内戦や政情不安、経済の停滞が牛乳生産量に悪影響を及ぼし、一時的に前年に比べて20%以上も減少するなど、生産量が低迷しました。

注目すべきは、2000年代以降の牛乳生産量の不安定な推移です。2002年を境に5,000トン前後まで減少したのち、一般的に6,000トンレベルで横ばいの状態が続きました。この時期は、内戦後の復興期にあたり、農畜産業のインフラの回復や農家への支援が十分に行き届かなかったことが一因と考えられます。また、生産効率を向上させるための技術革新や非効率な流通網の改善が進まず、農民たちが十分な経済的利益を享受できなかった点も重要な課題として挙げられます。

一方で、2010年代からは生産量が顕著に増加し始めています。2010年の7,500トンを皮切りに、2023年には9,936トンにまで上昇しました。この成長の背景には、農業と畜産業の近代化を進める国際的な支援策や、国内経済の一部回復が寄与していると考えられます。さらに、農畜産分野への投資や中小規模の農家への教育プログラム拡大が、生産効率を底上げする原動力となりました。また、地域の人口増加や都市化に伴う牛乳の需要拡大もその後押しとなっています。

しかしながら、課題も残ります。特に牛乳の流通におけるインフラの整備不足や冷蔵技術の普及遅れが、品質の低下や収益性の阻害要因とされています。また、農畜産業が依然として気候変動や政情不安の影響を強く受けやすい脆弱な状況にあるため、持続的発展のためにさらなる投資が必要とされています。例えば、気候変動に適応できる耐性を持った家畜の導入や、効率的な牧草生産技術の導入が重要です。

他国との比較では、コンゴ民主共和国は未だに低い生産量を維持しています。例えば、インドは世界一の牛乳生産国であり、年間約2億トン以上の生産量を誇ります。同じくアフリカ大陸のケニアやエチオピアも各々数千万トンの生産量があります。これらの国々と比較すると、コンゴ民主共和国の牛乳生産の技術基盤や市場規模が小規模であることが明らかです。この格差を埋めるためには、国際的な協力の枠組みを活用しつつ、技術面での支援と政策の一貫性が求められます。

今後の対策としては、国際的な農業支援や技術提供だけでなく、国内での長期的なインフラ開発と教育プログラムの充実が必要です。多くの農民が自給的生産から商業的生産への移行を図れるよう、特に金融面や技術面での地域支援を強化する必要があります。加えて、乳製品の輸出も視野に入れた生産体制の整備や、生産過程での効率的なエネルギー利用が、将来的な課題として浮かび上がります。また、消費者が安定的に牛乳にアクセスできるよう、公平な価格政策を進めるなど、市場拡大を後押しする努力も重要です。

結論として、コンゴ民主共和国の牛乳生産量は過去60年間で持続的に増加しており、将来的にも成長が期待されます。しかし、根本的な改善を進めるためには、まだ多くの課題が存在します。国際社会および国内での協調した取り組みによって、その潜在能力を最大限に引き出すことが欠かせません。これにより、同国の食料安全保障の向上や経済基盤の安定にも寄与することができるでしょう。