Skip to main content

コンゴ民主共和国のオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization)の最新データによると、コンゴ民主共和国のオレンジ生産量は1960年代から1990年にかけて増加傾向を示していましたが、その後、1990年代半ばを境に減少に転じています。1961年には約10万5,000トンの生産量でしたが、1994年に約29万6,000トンのピークを迎えました。その後は生産量が減少し、直近の2022年には約16万5,000トンまで低下しました。この変動には政治的不安定さや農業インフラの劣化といったさまざまな要因が影響を与えたと考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 163,740
-0.88% ↓
2022年 165,191
-0.51% ↓
2021年 166,036
-0.51% ↓
2020年 166,882
0.53% ↑
2019年 166,003
-0.22% ↓
2018年 166,367
-1.3% ↓
2017年 168,564
-0.99% ↓
2016年 170,256
-0.59% ↓
2015年 171,269
1.49% ↑
2014年 168,759
-2.31% ↓
2013年 172,741
-3.07% ↓
2012年 178,206
-1.86% ↓
2011年 181,581
0.12% ↑
2010年 181,360
0.12% ↑
2009年 181,140
0.12% ↑
2008年 180,920
0.12% ↑
2007年 180,700
0.12% ↑
2006年 180,480
0.12% ↑
2005年 180,260
0.12% ↑
2004年 180,040
0.12% ↑
2003年 179,820
0.12% ↑
2002年 179,600
0.75% ↑
2001年 178,255
-3.65% ↓
2000年 185,000
-3.65% ↓
1999年 192,000
-3.64% ↓
1998年 199,257
0.72% ↑
1997年 197,833
3.15% ↑
1996年 191,797
-3.66% ↓
1995年 199,090
-32.76% ↓
1994年 296,078
8.38% ↑
1993年 273,193
8.38% ↑
1992年 252,068
8.38% ↑
1991年 232,578
16.29% ↑
1990年 200,000
5.26% ↑
1989年 190,000
5.56% ↑
1988年 180,000
5.88% ↑
1987年 170,000
6.25% ↑
1986年 160,000
6.67% ↑
1985年 150,000
1.35% ↑
1984年 148,000
1.37% ↑
1983年 146,000
1.39% ↑
1982年 144,000
1.41% ↑
1981年 142,000
1.43% ↑
1980年 140,000
-0.71% ↓
1979年 141,000
-1.05% ↓
1978年 142,500
-0.49% ↓
1977年 143,200
-2.65% ↓
1976年 147,100
1.8% ↑
1975年 144,500
1.05% ↑
1974年 143,000
1.85% ↑
1973年 140,400
3.16% ↑
1972年 136,100
8.45% ↑
1971年 125,500
-2.56% ↓
1970年 128,800
3.04% ↑
1969年 125,000
4.17% ↑
1968年 120,000
2.56% ↑
1967年 117,000
1.74% ↑
1966年 115,000
1.77% ↑
1965年 113,000
1.8% ↑
1964年 111,000
1.83% ↑
1963年 109,000
1.87% ↑
1962年 107,000
1.9% ↑
1961年 105,000 -

コンゴ民主共和国のオレンジ生産の推移を見ると、農業分野が国全体の不安定な要素に大きく左右されてきたことが分かります。1961年から1990年にかけて生産量はほぼ一貫して増加し、最高値を記録した1994年には約29万6,000トンに達しました。当時は市場での需要増加、国内農地の拡大、および豊富な労働力がこの成長を支えていました。しかし、1995年を境に生産量は急激に減少し始め、2022年には約16万5,000トンまで低落しています。

この減少傾向の背景には、国全体の地政学的リスクが大きく関係しています。コンゴ民主共和国では内戦や政治的不安定が長期間続いており、農村インフラの維持が困難になりました。また、農地の十分な管理が行き届かず、効率的な生産体制が弱体化しています。さらに、農作物市場における不平等な価格設定や投資の不足も、農業セクターの停滞を引き起こしました。

地政学的背景を考慮すると、隣国との地域衝突や資源争奪の影響が農業生産にも波及していることが指摘できます。例えば、農村部における生産者が不安定な環境下で継続的な生産活動を行うことが難しくなり、貨物輸送などサプライチェーンの機能不全も生じやすくなっています。さらに、近年では気候変動の影響による降水量の変動も農業生産に悪影響を与えている可能性が高いです。

現在の減少傾向を逆転させるためには、以下の具体的な対策が必要です。まず、インフラ整備への投資拡大が急務です。例えば、農地の灌漑設備の整備や道路、輸送インフラの改善は、生産効率の向上と国内市場への供給安定化に寄与します。また、地元の農家が国際市場で競争力を持てるよう、持続可能な農業技術の導入支援を行うべきです。さらに、政治的安定を促進するため、国内の平和維持活動を国際機関と協力して推進し、長期的な農業計画の策定を実現することが重要です。これは、農業生産の予測可能性と市場の安定化を可能にします。

結論として、1961年から1994年にかけてのオレンジ生産の増加傾向に反し、その後の急激な減少は、国内の政治経済的課題や気候問題が大きく影響を与えていることを示しています。この状況を改善するには、地元の農業従事者への支援を優先し、広範で持続可能な農業インフラの構築が求められます。また、国際機関や地域パートナーシップを活用し、資金面および技術面での支援を拡大することが、今後の生産量回復の鍵となるでしょう。