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コンゴ民主共和国のパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、コンゴ民主共和国のパイナップル生産量は、1960年代から1970年代にかけて増加傾向を示し、1990年代にピークに達しました。その後、急激な減少を経て2000年代に横ばいとなり、現在に至るまでおおむね安定しています。特に2023年は188,998トンで、過去数年間と比較して微増した状態です。一方で、全体的には伸び悩んでおり、持続可能な農業発展の視点からいくつかの課題が浮かび上がっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 188,998
0.2% ↑
2022年 188,620
-0.29% ↓
2021年 189,170
-0.29% ↓
2020年 189,720
0.33% ↑
2019年 189,102
0.94% ↑
2018年 187,340
-0.74% ↓
2017年 188,741
-1.12% ↓
2016年 190,882
-2.26% ↓
2015年 195,296
-2.35% ↓
2014年 200,000
-1.48% ↓
2013年 203,000
-0.98% ↓
2012年 205,000
1.67% ↑
2011年 201,636
0.54% ↑
2010年 200,548
0.54% ↑
2009年 199,466
0.54% ↑
2008年 198,390
0.54% ↑
2007年 197,320
0.54% ↑
2006年 196,260
0.54% ↑
2005年 195,210 -
2004年 195,210
0.54% ↑
2003年 194,160
0.54% ↑
2002年 193,120
0.54% ↑
2001年 192,080
-2% ↓
2000年 196,000
-2% ↓
1999年 200,000
-2.14% ↓
1998年 204,364
0.72% ↑
1997年 202,903
3.15% ↑
1996年 196,713
-3.66% ↓
1995年 204,193
-32.76% ↓
1994年 303,667
8.38% ↑
1993年 280,196
8.38% ↑
1992年 258,530
8.38% ↑
1991年 238,541
32.52% ↑
1990年 180,000
26.67% ↑
1989年 142,100
4.56% ↑
1988年 135,900
4.54% ↑
1987年 130,000
-0.08% ↓
1986年 130,100
-10.65% ↓
1985年 145,600
2.18% ↑
1984年 142,500
1.79% ↑
1983年 140,000
3.7% ↑
1982年 135,000
1.89% ↑
1981年 132,500
3.92% ↑
1980年 127,500
2% ↑
1979年 125,000
-15.2% ↓
1978年 147,400
-7.88% ↓
1977年 160,000
-4.42% ↓
1976年 167,400
-5.9% ↓
1975年 177,900
4.28% ↑
1974年 170,600
7.16% ↑
1973年 159,200
-1.12% ↓
1972年 161,000
4.61% ↑
1971年 153,900
6.51% ↑
1970年 144,500
-4.18% ↓
1969年 150,800
4% ↑
1968年 145,000
28.32% ↑
1967年 113,000
2.73% ↑
1966年 110,000
4.76% ↑
1965年 105,000
10.53% ↑
1964年 95,000
-12.84% ↓
1963年 109,000
1.87% ↑
1962年 107,000
-2.73% ↓
1961年 110,000 -

コンゴ民主共和国におけるパイナップル生産量のデータは、同国の農業の変遷や経済的状況を映し出す重要な指標です。この50年以上にわたるデータを見ると、1960年代から1970年代にかけて生産量は一貫して増加しており、特に1975年の177,900トンや1994年の303,667トンに達した際には、世界的にも重要なパイナップル生産国の一つと言えました。しかし、それ以降の生産量推移は著しい変動を伴いながらも全体的には減少しています。

特筆すべきは、1990年代前半の生産量の急上昇です。この動向の背景には、国内の農業政策改善や地域市場向けの供給増加があった可能性があります。しかし1995年以降、生産量が急低下していることから、この時期のコンゴ民主共和国を取り巻く政治的、経済的要因が影響を及ぼしていると考えられます。具体的には、この期間に発生した国内の紛争や政情不安が農業基盤を脆弱化させ、輸送インフラや労働力の供給確保が困難になったことが、主な原因と推測されます。

2000年代以降のデータは、生産量が190,000トン前後で安定している傾向を示しています。しかし、この安定は生産の停滞とも捉えることができ、技術革新や市場拡大といった主要な成長要因が十分に取り入れられていない現状を反映していると言えるでしょう。パイナップルの生産は主に小規模農家によるものが主体であるため、農業技術やインフラ整備への投資不足は、生産性向上を妨げる重要な課題となっている状況です。

気候変動の影響も無視できません。コンゴ民主共和国は熱帯気候に位置しており、パイナップル栽培に適した環境を持っていますが、気候の不安定化は収穫量の変化に直接的な影響を及ぼします。また、2020年以降の新型コロナウイルスパンデミックにより、世界的な物流停滞や資材不足がさらに問題を深刻化させました。

このような背景を鑑みると、まず解決が求められるのは農業インフラの再建と技術支援の強化です。他国、例えばフィリピンやタイなど世界的なパイナップル輸出大国を参考に、効率的な農業機械化や灌漑システムを導入することで生産性を高める戦略が有効です。また、小規模な農業協同組合の形成を促進し、農民が知識や資源を共有できる環境構築が必要です。

さらに、国内市場だけでなく、国際市場へのアクセスを拡大する施策も重要です。適切な品質管理と認証基準を設けることで、国外市場での需要に応えることが可能になります。特に、近隣諸国だけでなくアジアやヨーロッパ市場へ輸出展開することで、経済的な収益向上が期待できます。

地政学的に見ると、コンゴ民主共和国は豊富な天然資源を持つ一方で、地域紛争がしばしば経済や産業に負の影響を与えます。このため、国内の安定化とともに地域協力の枠組みを強化し、食糧安全保障や輸出振興につなげる取り組みが必要です。

結論として、コンゴ民主共和国のパイナップル生産量推移データは、過去の栄光と現状の課題を明確に示しています。持続可能な生産を確立するためには、技術投資、インフラ整備、国内外市場の拡大といった包括的な対策が必要です。政府が国際機関や隣国との連携を強化し、政策を実施することで、長期的な農業発展を実現する土台が整うことが期待されます。