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コンゴ民主共和国の茶葉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、コンゴ民主共和国の茶葉生産量は、1960年代から安定的に推移していた時期から1970年代以降大きく減少しており、特に1980年代後半から深刻な縮小傾向が見られます。近年のデータでは2018年から2020年にかけて一時的に回復が見られるも、2021年以降に再び減少しています。この長期的な低迷は、地域の社会経済的課題や地政学的背景、農業技術の面にその要因があると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,907
-2.48% ↓
2022年 2,981
-26.94% ↓
2021年 4,080
-8.22% ↓
2020年 4,446
0.43% ↑
2019年 4,427
0.45% ↑
2018年 4,407
282.54% ↑
2017年 1,152
-9.44% ↓
2016年 1,272
-12.07% ↓
2015年 1,447
-12.64% ↓
2014年 1,656
-13.32% ↓
2013年 1,911
-33.87% ↓
2012年 2,889
-7.67% ↓
2011年 3,129
26.22% ↑
2010年 2,479
-0.4% ↓
2009年 2,489
12.12% ↑
2008年 2,220
26.14% ↑
2007年 1,760 -
2006年 1,760
12.1% ↑
2005年 1,570
0.64% ↑
2004年 1,560 -
2003年 1,560
12.31% ↑
2002年 1,389
-13.99% ↓
2001年 1,615
-14.05% ↓
2000年 1,879
-13.93% ↓
1999年 2,183
-34.41% ↓
1998年 3,328
-3.06% ↓
1997年 3,433
0.06% ↑
1996年 3,431
0.38% ↑
1995年 3,418
0.38% ↑
1994年 3,405
1.58% ↑
1993年 3,352
7.44% ↑
1992年 3,120
-4% ↓
1991年 3,250
4.37% ↑
1990年 3,114
0.45% ↑
1989年 3,100 -
1988年 3,100
52.71% ↑
1987年 2,030
-39.94% ↓
1986年 3,380
-30.17% ↓
1985年 4,840
-2.32% ↓
1984年 4,955
4.36% ↑
1983年 4,748
5.96% ↑
1982年 4,481
-6.84% ↓
1981年 4,810
-21.15% ↓
1980年 6,100
1.67% ↑
1979年 6,000
-10.45% ↓
1978年 6,700 -
1977年 6,700
-1.47% ↓
1976年 6,800
1.49% ↑
1975年 6,700 -
1974年 6,700
-5.63% ↓
1973年 7,100
-6.58% ↓
1972年 7,600
1.33% ↑
1971年 7,500
2.73% ↑
1970年 7,301
-7.1% ↓
1969年 7,859
-1.76% ↓
1968年 8,000
60% ↑
1967年 5,000
-50% ↓
1966年 10,000
17.65% ↑
1965年 8,500
21.43% ↑
1964年 7,000
-17.65% ↓
1963年 8,500
6.25% ↑
1962年 8,000
14.29% ↑
1961年 7,000 -

コンゴ民主共和国は、茶葉の生産という観点で過去には重要なポテンシャルを持っていました。1960年代には年間8,000~10,000トンまで生産量が拡大し一時のピークを迎えましたが、1970年代後半から減少傾向が始まり、特に1986年以降は大幅な低下が顕著になっています。この傾向には国内のインフラの不備、内戦や紛争の影響、さらには市場の競争力の低下が影響していると考えられます。

1980年代に見られる生産量の急激な落ち込みは、特に国の政治的不安定さが生産基盤に悪影響を与えたものと推測されます。この時期、国内の農業従事者が急減し、農業インフラの崩壊も影響を及ぼしました。また、交通網や物流の問題も生産効率に負の効果を与えたと考えられます。同じアフリカ大陸内で急成長しているケニアやウガンダと比較すると、これらの国では農業技術の導入や国際市場へのアクセス強化が進んでいる一方で、コンゴ民主共和国は持続的な戦略を欠いているのが現状です。

2018年から2020年にかけて生産量が一時的に4,400トン台まで回復していますが、この背後には一部地域での農業プロジェクトの成功や国際的な援助の効果が考えられます。しかし、それに続く2021年以降の再減少は、改善が限定的で一定の持続性に欠けていることを示します。この時期に新型コロナウイルス感染症の流行が社会経済に及ぼした影響も無視できません。生産活動が制限されたほか、グローバルなサプライチェーンの停滞が生産と流通に悪影響を与えました。

長期的な課題として、茶産業における人材育成や技術導入が進んでいない点が挙げられます。特に灌漑施設の不足や、持続可能な農業技術の導入が進められていないこと、高齢化や農業離れも問題です。また、茶葉生産の地政学的リスクとして、地方の土地所有権の不明確性や武装勢力による農地支配が一部地域で事業活動を制限しています。

将来的に茶葉生産の安定と発展を図るためには、いくつかの具体的な対策が必要です。第一に、国際的な技術援助を受けながら灌漑設備の整備と適切な農業教育を提供することが求められます。中国やインドでは、これらの施策が農業生産の向上に重要な役割を果たしてきました。第二に、地域間の協力体制を構築することで生産と輸出の効率化を図ることが考えられます。東アフリカの茶輸出協会のような組織の設置が理想的です。第三に、地政学的な安定化に向けて、国内外の調停努力を継続し、生産地の平和と安全性を確保することが不可欠です。

全体的に、コンゴ民主共和国の茶葉生産は課題が山積しているものの、地理的条件が豊かであるため、戦略的な投資と政策の実行次第では競争力を取り戻す可能性があります。国際機関や他国の協力を得ながら、持続可能な発展を目指して進むべきタイミングに来ているという試算ができます。