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コンゴ民主共和国のヤギ肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、コンゴ民主共和国のヤギ肉生産量は1961年に7,300トンから始まり、1980年代後半にかけて一貫して大幅に増加し、1995年には20,000トンを達成しました。しかし、その後の生産量は波を描くように変動し、近年は18,000トン台で推移しています。2023年時点では18,277トンとなり、過去10年間でわずかながら安定した供給が見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 18,277
0.85% ↑
2022年 18,122
-2.91% ↓
2021年 18,664
0.16% ↑
2020年 18,634
12.24% ↑
2019年 16,602
-10.6% ↓
2018年 18,571
0.1% ↑
2017年 18,553
2.03% ↑
2016年 18,184
-0.14% ↓
2015年 18,209
1.13% ↑
2014年 18,006
-0.06% ↓
2013年 18,018
-2.84% ↓
2012年 18,545
-0.72% ↓
2011年 18,680
0.16% ↑
2010年 18,650
0.16% ↑
2009年 18,620
4.88% ↑
2008年 17,753
0.3% ↑
2007年 17,700
0.3% ↑
2006年 17,647
-4.61% ↓
2005年 18,499
0.15% ↑
2004年 18,471
0.15% ↑
2003年 18,443
0.15% ↑
2002年 18,415
-1.55% ↓
2001年 18,705
-1.55% ↓
2000年 19,000
-1.55% ↓
1999年 19,300
-10.24% ↓
1998年 21,502
3.04% ↑
1997年 20,868
6.85% ↑
1996年 19,530
-2.35% ↓
1995年 20,000
0.19% ↑
1994年 19,963
5.94% ↑
1993年 18,844
3.38% ↑
1992年 18,228
5.01% ↑
1991年 17,358
1.53% ↑
1990年 17,097
12.48% ↑
1989年 15,200
9.35% ↑
1988年 13,900
17.8% ↑
1987年 11,800
18% ↑
1986年 10,000
14.94% ↑
1985年 8,700
1.16% ↑
1984年 8,600
7.5% ↑
1983年 8,000
3.9% ↑
1982年 7,700
2.67% ↑
1981年 7,500
2.74% ↑
1980年 7,300
2.82% ↑
1979年 7,100
4.41% ↑
1978年 6,800 -
1977年 6,800 -
1976年 6,800
3.03% ↑
1975年 6,600
1.54% ↑
1974年 6,500 -
1973年 6,500
1.56% ↑
1972年 6,400
3.23% ↑
1971年 6,200 -
1970年 6,200
13.35% ↑
1969年 5,470
1.67% ↑
1968年 5,380
9.8% ↑
1967年 4,900
6.29% ↑
1966年 4,610
-15.57% ↓
1965年 5,460
-7.14% ↓
1964年 5,880
-6.52% ↓
1963年 6,290
-7.5% ↓
1962年 6,800
-6.85% ↓
1961年 7,300 -

コンゴ民主共和国におけるヤギ肉生産の長期的な推移を振り返ると、1960年代から1990年代にかけて、特筆すべき大幅な増加が見られました。例えば、1961年の7,300トンから1990年の17,097トンへと、30年間で2倍以上の成長を遂げています。これは、農業技術の向上、新たな品種改良による生産効率化、そして国内需要の拡大が要因として挙げられると考えられます。特に、1986年から1989年にかけては急速な増加が顕著で、この時期には年平均で約10%の成長が観察され、経済の成長とともに産業化が進んだ背景があると推察されます。

1990年代以降、20,000トン付近に達した後、生産量は変化を繰り返しながら徐々に停滞が見られるようになります。2000年代のデータから見ると、生産量は19,000トン台に落ち込み、2006年には17,647トンまで減少しました。その後も、回復の兆しを見せながらも19,000トンを超えることは一部の年のみで、全体として生産水準の限界が示唆される形となっています。これには、農村地域のインフラ整備の遅れ、気候変動の影響、そして農業従事者の高齢化といった課題が関係している可能性があります。

2020年以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な影響を考慮すると、他の多くの国と同様、コンゴ民主共和国でもパンデミックがサプライチェーンの脆弱性を露呈した一方で、地域内の需要は比較的安定していたと見受けられます。2020年以降の生産量は18,600トン前後を維持しており、国内の食料供給の安定性という面で改善が見られますが、大幅な成長には至っていません。この背景には、輸送インフラの不足や経済的制約が影を落としていると考えられます。

さらに、地政学的背景にも注目する必要があります。コンゴ民主共和国は天然資源が豊富な一方で、2010年代後半にかけて伐採や鉱山開発を巡る紛争が頻発し、農業従事者が生産活動に集中できない状況が続いていました。紛争がヤギの飼育環境にも影響を及ぼし、生産効率の低下に繋がっている可能性も排除できません。安定した農業環境を築くことは、食料安全保障の観点からも喫緊の課題です。

今後の課題としては、ヤギ飼育に関する技術支援の充実や農村インフラ整備の強化が挙げられます。特に、飼料の供給網構築、水資源管理の改善、そして地元農業従事者に対する教育プログラムの提供が重要です。また、国際社会との協調の下、紛争地域における安全な作業環境を整備することも必要です。これによって、より効率的なヤギの飼育と生産量の向上が期待されます。

さらに、隣国やアフリカ大陸の他地域との協力関係を強化し、輸出プラットフォームを構築することで、国内市場にとどまらない新たな需要を開拓する可能性も出てきます。他国と比較すると、中国やインドなどの急速に拡大する市場では、ヤギ肉は健康志向食品として注目を浴びつつあります。こうした需要の波に乗るためには、持続可能で競争力のある生産システムを整える必要があります。

全体として、データは過去数十年間にわたる長期的な増加傾向が頭打ちになりつつある現状を示していますが、その背景には多様な課題が絡んでいます。具体的な対策を早急に実行することが、今後の持続可能な発展に向けた鍵となるでしょう。