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コンゴ民主共和国のアボカド生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、コンゴ民主共和国のアボカド生産量は1961年の14,000トンから、一時的な急増を経て、2023年には61,726トンを記録しました。特に1991年から1994年にかけて生産量が急上昇し、その後1995年以降は減少と安定期を交互に見せつつ、小幅な下降傾向も見受けられます。この動向は、地域経済や地政学的リスク、生産技術の発展、気候変動の影響などが絡み合う結果と考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 61,726
-0.5% ↓
2022年 62,035
-0.18% ↓
2021年 62,150
-0.26% ↓
2020年 62,310
-0.09% ↓
2019年 62,366
0.12% ↑
2018年 62,292
-0.26% ↓
2017年 62,454
-0.41% ↓
2016年 62,709
-0.89% ↓
2015年 63,275
-0.88% ↓
2014年 63,838
-2.24% ↓
2013年 65,303
-1.81% ↓
2012年 66,509
-2.1% ↓
2011年 67,933
1.37% ↑
2010年 67,016
1.37% ↑
2009年 66,112
1.37% ↑
2008年 65,220
1.37% ↑
2007年 64,340
1.35% ↑
2006年 63,480
1.36% ↑
2005年 62,630
1.36% ↑
2004年 61,790
1.36% ↑
2003年 60,960
1.36% ↑
2002年 60,143
-1.9% ↓
2001年 61,310
-1.9% ↓
2000年 62,500
-1.9% ↓
1999年 63,713
2.74% ↑
1998年 62,012
2.74% ↑
1997年 60,356
3.14% ↑
1996年 58,520
-3.66% ↓
1995年 60,743
-32.76% ↓
1994年 90,334
8.38% ↑
1993年 83,353
8.38% ↑
1992年 76,911
8.38% ↑
1991年 70,962
77.41% ↑
1990年 40,000
-10.91% ↓
1989年 44,900
2.05% ↑
1988年 44,000
1.85% ↑
1987年 43,200
3.1% ↑
1986年 41,900
2.95% ↑
1985年 40,700
2.01% ↑
1984年 39,900
1.79% ↑
1983年 39,200
3.7% ↑
1982年 37,800
1.89% ↑
1981年 37,100
3.92% ↑
1980年 35,700
2% ↑
1979年 35,000
61.29% ↑
1978年 21,700
-0.46% ↓
1977年 21,800
-4.39% ↓
1976年 22,800
2.24% ↑
1975年 22,300
2.76% ↑
1974年 21,700
2.84% ↑
1973年 21,100
7.65% ↑
1972年 19,600
4.26% ↑
1971年 18,800
-3.59% ↓
1970年 19,500
8.33% ↑
1969年 18,000 -
1968年 18,000
5.88% ↑
1967年 17,000
6.25% ↑
1966年 16,000 -
1965年 16,000
33.33% ↑
1964年 12,000 -
1963年 12,000
-14.29% ↓
1962年 14,000 -
1961年 14,000 -

コンゴ民主共和国のアボカド生産量は、1960年代から安定的な増加を見せてきましたが、1991年に大きな飛躍を遂げ、その後1995年以降は減少傾向に転じ、2020年代には安定した低い水準で推移しています。これらの変化は、地政学的な問題、内戦、農業インフラの整備状況、そして気候や農業政策の影響を強く受けた結果と考えられます。

1991年から1994年にかけての生産量の急増は非常に興味深い現象です。当時のデータを紐解くと、内戦が激化する以前に一部地域で農業生産の強化や輸出を目指した経済活性化施策が行われていたとの背景が浮かび上がります。しかし、1995年以降は内紛の激化や国全体の政治的不安定により、アボカド生産量は急激に下降し、その後は完全に回復することができていません。このような生産の減少は、農業労働力の喪失や流通網の崩壊、農地の荒廃など、複合的な課題に起因しています。

また、2000年以降に見られる安定的だが下降傾向を示す70,000トン未満の生産量は、気候変動の影響が重要な一因となっています。コンゴ民主共和国は熱帯気候に位置していますが、近年の異常気象や土壌の劣化が農業収量に与える負の影響が懸念されています。さらに、生産技術や管理の面でも課題が見受けられ、近代的な栽培方法や農薬、肥料の使用が進んでいないことが競争力の低下を招いていると言えます。

他国のアボカド生産国との比較を行うと、メキシコやペルー、ケニアといった主要生産国では、輸出の需要増加に応じて生産総量を大幅に伸ばしています。メキシコなどは近代的な農業手法を取り入れ、品種改良と流通網の整備を両立させ、世界トップレベルの生産能力を誇っています。一方で、コンゴ民主共和国のアボカドは主に国内消費向けであり、国際市場への進出が進んでいないことが課題として浮かび上がります。

アボカドの生産向上を図るためには、まず農業インフラの改善が不可欠です。具体的には、農薬や肥料の供給体制を整えること、土壌改良の研究に投資すること、そして小規模農家を支援するための経済的なインセンティブの導入が挙げられます。また、気候変動への適応として、耐乾燥性や病害虫への強さを備えた品種改良も重要です。さらに、輸出市場の拡大を目指し、サプライチェーンの整備と持続可能な生産認証(例:有機認証)を取得する取り組みを進めることも必要です。

内戦や地政学的リスクがコンゴ民主共和国の農業分野に与える影響は深刻ですが、地域間協力や国際的な支援を通じて安定を図ることは可能です。国連やアフリカ連合(AU)を中心とした多国間の協力体制を構築し、農業の回復基盤を整えることで、将来的に持続可能な経済成長への道を切り開くことが期待されます。

農業は、同国の経済や雇用において大きな割合を占めています。アボカド生産は、その一部として地域の雇用創出や栄養改善にも寄与する可能性が高い分野です。そして、持続可能な生産を目指し、緑化事業とも連動させた総合的な農業政策が求められています。このような取り組みにより、国際市場への参入を実現し、同国の農業の競争力を高めることが可能になるでしょう。