1979年度における世界のカカオ豆生産量ランキングでは、コートジボワールが397,759トンで第1位を占め、続いてブラジル336,326トン、ガーナ280,800トンが上位3位に位置しています。上位国は主に西アフリカと南米に集中しており、これらの国々が世界全体のカカオ豆供給を支えていることが確認できます。一方、インドやフィリピンのようなアジア地域、および中米やカリブ海諸国の生産量は比較的少量にとどまっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 397,759 |
| 2 |
|
南アメリカ | 336,326 |
| 3 |
|
アフリカ | 280,800 |
| 4 |
|
アフリカ | 151,000 |
| 5 |
|
アフリカ | 123,179 |
| 6 |
|
南アメリカ | 77,407 |
| 7 |
|
南アメリカ | 37,754 |
| 8 |
|
南アメリカ | 35,916 |
| 9 |
|
南アメリカ | 32,300 |
| 10 |
|
アジア | 28,515 |
| 11 |
|
オセアニア | 27,000 |
| 12 |
|
南アメリカ | 17,590 |
| 13 |
|
アフリカ | 15,300 |
| 14 |
|
南アメリカ | 10,365 |
| 15 |
|
アフリカ | 9,111 |
| 16 |
|
アジア | 8,632 |
| 17 |
|
アフリカ | 7,500 |
| 18 |
|
アフリカ | 6,000 |
| 19 |
|
アフリカ | 5,700 |
| 20 |
|
アフリカ | 4,754 |
| 21 |
|
南アメリカ | 4,262 |
| 22 |
|
アフリカ | 4,000 |
| 23 |
|
南アメリカ | 4,000 |
| 24 |
|
アジア | 3,827 |
| 25 |
|
アフリカ | 3,446 |
| 26 |
|
アフリカ | 2,772 |
| 27 |
|
南アメリカ | 2,628 |
| 28 |
|
南アメリカ | 2,625 |
| 29 |
|
南アメリカ | 2,020 |
| 30 |
|
アジア | 2,000 |
| 31 |
|
アフリカ | 1,690 |
| 32 |
|
南アメリカ | 1,679 |
| 33 |
|
オセアニア | 1,632 |
| 34 |
|
南アメリカ | 1,614 |
| 35 |
|
南アメリカ | 1,450 |
| 36 |
|
南アメリカ | 1,366 |
| 37 |
|
アフリカ | 1,100 |
| 38 |
|
オセアニア | 1,000 |
| 39 |
|
アジア | 800 |
| 40 |
|
南アメリカ | 500 |
| 41 |
|
南アメリカ | 500 |
| 42 |
|
南アメリカ | 428 |
| 43 |
|
南アメリカ | 310 |
| 44 |
|
オセアニア | 309 |
| 45 |
|
アフリカ | 200 |
| 46 |
|
アフリカ | 200 |
| 47 |
|
オセアニア | 144 |
| 48 |
|
南アメリカ | 120 |
| 49 |
|
南アメリカ | 108 |
| 50 |
|
南アメリカ | 83 |
| 51 |
|
南アメリカ | 45 |
| 52 |
|
南アメリカ | 40 |
| 53 |
|
アジア | 20 |
| 54 |
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アフリカ | 18 |
| 55 |
|
アフリカ | 15 |
| 56 |
|
南アメリカ | 10 |
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国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1979年のデータに基づくと、世界全体のカカオ豆生産において、西アフリカのコートジボワール、ガーナ、ナイジェリアが重要な役割を担っていることが明らかになっています。特に、コートジボワールの生産量は突出しており、ブラジルやガーナを大きく上回っています。この地域の豊かな気候条件と肥沃な土地が、世界的なチョコレート産業を支える一方で、地政学的に重要な位置づけを持つ資源となっています。
一方、同じ1979年のデータを見ると南米ではブラジルが飛び抜けた生産量を誇り、エクアドル、コロンビアといった国も一定のシェアを占めていますが、西アフリカの国々と比べると依然として小規模な生産に留まっています。また、メキシコやドミニカ共和国といった中米・カリブ海諸国は気候条件上、カカオ栽培に適しているものの、労働力や技術の不足、生産性向上のための投資不足により、大規模な生産には至っていない状況がうかがえます。
アジアやオセアニア地域では、1979年度のデータからはインドネシア、マレーシア、フィリピンのような国々が徐々に生産活動を始めていますが、まだその生産規模は小さく、他地域に比べて発展途上であることが分かります。この当時、これらの国々では農業政策やインフラの整備が進んでおらず、生産効率および輸出能力は限定的でした。
このランキングを見ると、カカオ豆生産が特定の国々に大きく依存している状況が浮き彫りになります。依存構造がもたらすリスクとして、西アフリカの地政学的問題や気候リスクは見過ごせないものです。仮に天候不順や政治的安定性の低下が生じれば、主要生産国での供給が途絶し、世界中のカカオ市場に大きな影響を及ぼす可能性があります。
未来に向けた課題として、まず主要生産国では、農園で働く労働者が直面する社会的問題に取り組む必要があります。例えば、児童労働の問題や公平な報酬の確保が求められます。一方で、新興生産国においては、技術移転や農業インフラの改善を通じて生産効率を向上させることが重要です。
地政学的背景において、カカオ豆という資源が一部地域に集中している現状から、紛争のエスカレーションや資源争奪の火種になる可能性も捨てきれません。このようなリスクを軽減するためには、生産国と消費国が協力して持続可能な供給ネットワークを確立することが不可欠です。たとえば、生産国間で共同の調査や支援プロジェクトを行うこと、消費国側がカカオの原産地に関心を寄せて持続可能な取引を進めることが考えられます。
最終的には、各国や国際機関が連携し、生産の多様化と持続性確保を進めることがカカオ産業の安定を支える鍵となります。現在のランキングからは、個々の国々が果たしている役割の大きさとともに、今後国際的課題の解決が求められる分野であることが確認できます。可能性を活かしながらも、リスクを適切に管理することで、未来のカカオ供給はより安全で持続可能なものとなるはずです。