国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2007年度のカカオ豆生産量ランキングによると、世界最大の生産国はコートジボワール(1,229,908トン)であり、2位はインドネシア(740,006トン)、3位はガーナ(614,500トン)となっています。これら上位3国で世界のカカオ豆生産の50%以上を占め、特に西アフリカ地域が圧倒的なシェアを有しています。一方で、アジアや南米、カリブ海地域にも中小規模で生産を行う国々が点在しています。このデータはカカオ豆の生産状況とそれに伴う地域経済、地政学的課題について深く考察する基盤となっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 1,229,908 |
| 2 |
|
アジア | 740,006 |
| 3 |
|
アフリカ | 614,500 |
| 4 |
|
アフリカ | 360,570 |
| 5 |
|
アフリカ | 212,619 |
| 6 |
|
南アメリカ | 201,651 |
| 7 |
|
南アメリカ | 85,891 |
| 8 |
|
アフリカ | 78,000 |
| 9 |
|
オセアニア | 49,300 |
| 10 |
|
南アメリカ | 42,154 |
| 11 |
|
南アメリカ | 40,000 |
| 12 |
|
南アメリカ | 39,904 |
| 13 |
|
アジア | 35,180 |
| 14 |
|
南アメリカ | 31,387 |
| 15 |
|
南アメリカ | 18,911 |
| 16 |
|
アフリカ | 14,000 |
| 17 |
|
アフリカ | 12,484 |
| 18 |
|
アジア | 10,180 |
| 19 |
|
南アメリカ | 10,129 |
| 20 |
|
アフリカ | 10,006 |
| 21 |
|
南アメリカ | 8,500 |
| 22 |
|
アフリカ | 7,000 |
| 23 |
|
アフリカ | 6,465 |
| 24 |
|
アフリカ | 5,590 |
| 25 |
|
アジア | 5,237 |
| 26 |
|
南アメリカ | 4,699 |
| 27 |
|
オセアニア | 4,342 |
| 28 |
|
アフリカ | 2,800 |
| 29 |
|
アフリカ | 2,500 |
| 30 |
|
南アメリカ | 1,915 |
| 31 |
|
アフリカ | 1,700 |
| 32 |
|
アジア | 1,440 |
| 33 |
|
南アメリカ | 1,379 |
| 34 |
|
オセアニア | 972 |
| 35 |
|
南アメリカ | 970 |
| 36 |
|
アジア | 932 |
| 37 |
|
南アメリカ | 800 |
| 38 |
|
アフリカ | 700 |
| 39 |
|
南アメリカ | 686 |
| 40 |
|
南アメリカ | 555 |
| 41 |
|
オセアニア | 530 |
| 42 |
|
南アメリカ | 361 |
| 43 |
|
南アメリカ | 322 |
| 44 |
|
アフリカ | 297 |
| 45 |
|
アフリカ | 250 |
| 46 |
|
南アメリカ | 226 |
| 47 |
|
南アメリカ | 190 |
| 48 |
|
南アメリカ | 180 |
| 49 |
|
アジア | 128 |
| 50 |
|
アフリカ | 100 |
| 51 |
|
アフリカ | 100 |
| 52 |
|
南アメリカ | 81 |
| 53 |
|
南アメリカ | 72 |
| 54 |
|
オセアニア | 35 |
| 55 |
|
アフリカ | 30 |
| 56 |
|
南アメリカ | 25 |
| 57 |
|
オセアニア | 14 |
| 58 |
|
南アメリカ | 7 |
| + すべての国を見る | |||
2007年度のカカオ豆生産量データによると、世界的に消費需要の高いチョコレート産業を支えるカカオ豆の供給源は主に西アフリカ地域に集中しています。トップ3の生産国であるコートジボワール、インドネシア、ガーナは全体の生産量の主要部分を占め、特にコートジボワール単独で世界全体の約40%を生産しています。このような地域集中型の生産構造は、供給の安定性に関するリスクを伴う一方で、これらの国々にとっては重要な外貨獲得源となっています。しかし、過去には政情不安や労働問題などが収益性を脅かす要因となっており、現在でも多数の課題が未解決のまま残っています。
インドネシアやマレーシアといった東南アジア諸国における生産量も増加基調にあります。この地域では気候条件に恵まれ、土地利用の効率向上と技術革新により収穫量が向上しています。しかし、アフリカ諸国と比較すると生産量はまだ低い水準にあります。一方で南米や中米の国々、たとえばブラジルやエクアドルでは、プレミアム市場向けの高品質カカオ豆の栽培が注目されています。これにより、これらの国々は所得向上と持続可能な農業の確立という課題に応えながら、差別化に成功しています。
課題としては、カカオ豆の生産は依然として労働集約的な産業であり、児童労働や労働者の権利保護問題が各地で報告されています。また、気候変動がカカオ生産に与える悪影響も徐々に顕在化しつつあります。高温化や降水量の減少により適地の縮小が見込まれており、特にアフリカの主要生産国における影響が懸念されています。これに対応するため、農業技術の向上や耐性の強い品種の開発が求められています。アグロフォレストリー(森林農業)といった生態系を保全しながら収益を上げる新しい栽培方法にも取り組む必要があります。
地政学的に見ると、コートジボワールやナイジェリアといった主要国での紛争や政情不安が頻発すると、カカオ豆の供給に深刻な影響を与える可能性があります。そのため、安定的な取引慣行を整備し、生産国間の協力体制を強化することが重要です。これを進めるために、生産国と消費国間の国際協定や支援策の強化が必要でしょう。特に、西アフリカ地域における教育やインフラ整備への国際的な投資が求められます。
結論として、カカオ豆生産は西アフリカを中心とした特定地域への偏りが顕著であり、これが供給リスクや社会的課題を引き起こしています。一方で、アジアや南米諸国の活躍が期待されるなか、政府や国際機関は供給の分散化、労働環境の改善、気候変動対策に注力すべきです。中長期的には、政策レベルでの協調や技術革新を通じて、生産と消費のバランスが取れた持続可能なカカオ産業の実現が求められます。