国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2004年のデータによると、世界で最も多くのカカオ豆を生産した国はコートジボワールで、生産量は1,407,213トンでした。2位はガーナ(737,000トン)、3位はインドネシア(691,704トン)で、この3カ国が全世界の生産量の大部分を占めています。一方、生産量が少ない国々には、フィジー(12トン)やスリナム(9トン)といった国が含まれています。ランキングからは、カカオ豆の生産が主に熱帯地域に集中していることが分かります。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 1,407,213 |
| 2 |
|
アフリカ | 737,000 |
| 3 |
|
アジア | 691,704 |
| 4 |
|
アフリカ | 412,000 |
| 5 |
|
南アメリカ | 196,005 |
| 6 |
|
アフリカ | 166,754 |
| 7 |
|
南アメリカ | 89,680 |
| 8 |
|
南アメリカ | 47,318 |
| 9 |
|
南アメリカ | 43,975 |
| 10 |
|
オセアニア | 38,900 |
| 11 |
|
南アメリカ | 38,753 |
| 12 |
|
アジア | 33,423 |
| 13 |
|
南アメリカ | 25,921 |
| 14 |
|
アフリカ | 21,700 |
| 15 |
|
南アメリカ | 17,515 |
| 16 |
|
アフリカ | 13,500 |
| 17 |
|
アフリカ | 9,800 |
| 18 |
|
アジア | 9,230 |
| 19 |
|
南アメリカ | 8,215 |
| 20 |
|
アフリカ | 5,670 |
| 21 |
|
アジア | 5,648 |
| 22 |
|
南アメリカ | 4,800 |
| 23 |
|
アフリカ | 4,500 |
| 24 |
|
アフリカ | 4,409 |
| 25 |
|
南アメリカ | 4,268 |
| 26 |
|
オセアニア | 4,181 |
| 27 |
|
アフリカ | 3,500 |
| 28 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 29 |
|
アフリカ | 2,500 |
| 30 |
|
アフリカ | 2,500 |
| 31 |
|
南アメリカ | 2,000 |
| 32 |
|
アジア | 1,970 |
| 33 |
|
南アメリカ | 1,846 |
| 34 |
|
南アメリカ | 1,321 |
| 35 |
|
アジア | 1,167 |
| 36 |
|
南アメリカ | 1,106 |
| 37 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 38 |
|
オセアニア | 865 |
| 39 |
|
南アメリカ | 800 |
| 40 |
|
南アメリカ | 763 |
| 41 |
|
南アメリカ | 708 |
| 42 |
|
オセアニア | 499 |
| 43 |
|
南アメリカ | 431 |
| 44 |
|
南アメリカ | 271 |
| 45 |
|
アフリカ | 222 |
| 46 |
|
アフリカ | 200 |
| 47 |
|
南アメリカ | 190 |
| 48 |
|
南アメリカ | 190 |
| 49 |
|
南アメリカ | 162 |
| 50 |
|
アジア | 113 |
| 51 |
|
アフリカ | 100 |
| 52 |
|
アフリカ | 75 |
| 53 |
|
南アメリカ | 51 |
| 54 |
|
南アメリカ | 40 |
| 55 |
|
オセアニア | 33 |
| 56 |
|
アフリカ | 27 |
| 57 |
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オセアニア | 12 |
| 58 |
|
南アメリカ | 9 |
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2004年、世界のカカオ豆の生産は、経済的にも地理的にも明確な偏りを示しました。最大の生産国であるコートジボワールでは、他国を大きく引き離して1,407,213トンの生産量を記録しました。同国は西アフリカのカカオベルトと呼ばれる主要な生産地域に位置し、豊富な資源や安価な労働力により、世界のカカオ市場で優位な地位を築いています。ガーナ(737,000トン)とナイジェリア(412,000トン)も同地域にあり、西アフリカが全体のカカオ供給の大半を支えているといえます。この地域の安定した供給体制は、グローバルなチョコレート産業に大きな影響を与えています。
一方、アジアではインドネシアが691,704トンを生産し、世界第3位にランクインしています。インドネシアがアジア唯一の上位国であることは、この地域でカカオ生産が限られた規模で行われている現状を象徴しています。生産量においては大きく劣りますが、エクアドル(89,680トン)やカメルーン(166,754トン)などの中堅国家も国際市場での重要性を増しています。
ただし、カカオ豆の生産地域にはいくつかの課題があります。例えば、コートジボワールやガーナなどの主要生産国は、労働環境の問題や児童労働の利用が国際的に批判されています。また、大規模な単一栽培による土地の劣化や気候変動の影響を受けやすいという環境的なリスクも無視できません。これらの課題は、生産の持続可能性に直接的に影響を及ぼすため、早期対応が急務です。
さらに、地政学的リスクも存在します。これらの国々では、内戦や政治的な不安定さがカカオの供給に影響を与える場合があります。例えば、コートジボワールは長らく政治的混乱を抱えており、この影響で輸出の停滞や価格の変動が生じるリスクが示唆されています。このような背景を考慮すると、国際市場において供給の安定を確保するためには、生産国同士の協力と国際機関の介入が不可欠です。
将来的には、これらの問題への対策として、いくつかの具体的な提案が挙げられます。例えば、生産国と消費国の間でフェアトレード協定を強化し、持続可能な農業技術への投資を行うことが必要です。また、中小規模の農家を支援し、土地の多角的な利用を促進する政策も効果的です。さらに、農民の教育プログラムを通じて気候変動への適応手法を提供することで、環境への影響を最小限に抑えることが可能となります。
結論として、カカオ豆の生産は、地域や経済の特性だけでなく、社会的・環境的な課題とも密接につながっています。世界的な消費需要の増加に対応するためには、持続可能かつ公正な生産体制を構築することが求められます。この過程では、地域ごとの特性に応じた適切な政策を適用し、国際的な協力を深めることが重要です。カカオ産業の持続的な発展は、地元経済のみならず、世界全体の消費財産業にも大きく寄与するでしょう。