Food and Agriculture Organization (FAO)の2002年度データに基づくカカオ豆生産量ランキングでは、1位はコートジボワール(1,264,708トン)、2位はインドネシア(619,192トン)、3位はナイジェリア(362,000トン)です。上位4カ国で世界のカカオ豆生産量の大多数を占め、その中でも特に西アフリカの国々が主要な生産地となっています。一方で、アジア、中南米、太平洋諸島諸国も一定の生産量を持つことが確認されますが、規模には大きな差があります。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 1,264,708 |
| 2 |
|
アジア | 619,192 |
| 3 |
|
アフリカ | 362,000 |
| 4 |
|
アフリカ | 340,562 |
| 5 |
|
南アメリカ | 174,796 |
| 6 |
|
アフリカ | 125,000 |
| 7 |
|
南アメリカ | 60,268 |
| 8 |
|
アジア | 47,661 |
| 9 |
|
南アメリカ | 46,194 |
| 10 |
|
南アメリカ | 45,468 |
| 11 |
|
オセアニア | 42,400 |
| 12 |
|
南アメリカ | 34,002 |
| 13 |
|
南アメリカ | 24,219 |
| 14 |
|
南アメリカ | 16,164 |
| 15 |
|
アフリカ | 11,500 |
| 16 |
|
アフリカ | 7,500 |
| 17 |
|
南アメリカ | 7,498 |
| 18 |
|
アジア | 6,780 |
| 19 |
|
アジア | 5,803 |
| 20 |
|
アフリカ | 5,750 |
| 21 |
|
南アメリカ | 4,950 |
| 22 |
|
アフリカ | 4,410 |
| 23 |
|
南アメリカ | 4,325 |
| 24 |
|
アフリカ | 4,000 |
| 25 |
|
アフリカ | 3,500 |
| 26 |
|
アフリカ | 3,462 |
| 27 |
|
アジア | 2,920 |
| 28 |
|
オセアニア | 2,907 |
| 29 |
|
アフリカ | 2,500 |
| 30 |
|
アフリカ | 2,013 |
| 31 |
|
南アメリカ | 2,000 |
| 32 |
|
南アメリカ | 1,643 |
| 33 |
|
アフリカ | 1,500 |
| 34 |
|
南アメリカ | 1,301 |
| 35 |
|
アフリカ | 1,253 |
| 36 |
|
オセアニア | 1,147 |
| 37 |
|
アジア | 1,026 |
| 38 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 39 |
|
南アメリカ | 876 |
| 40 |
|
南アメリカ | 708 |
| 41 |
|
南アメリカ | 515 |
| 42 |
|
アフリカ | 500 |
| 43 |
|
オセアニア | 499 |
| 44 |
|
南アメリカ | 354 |
| 45 |
|
南アメリカ | 260 |
| 46 |
|
南アメリカ | 190 |
| 47 |
|
アフリカ | 190 |
| 48 |
|
南アメリカ | 180 |
| 49 |
|
南アメリカ | 170 |
| 50 |
|
アジア | 102 |
| 51 |
|
アフリカ | 100 |
| 52 |
|
アフリカ | 70 |
| 53 |
|
オセアニア | 33 |
| 54 |
|
南アメリカ | 32 |
| 55 |
|
アフリカ | 27 |
| 56 |
|
南アメリカ | 25 |
| 57 |
|
オセアニア | 16 |
| 58 |
|
南アメリカ | 9 |
| + すべての国を見る | |||
カカオ豆はチョコレート産業に欠かせない主要原料であり、世界の農業経済と食文化において重要な役割を果たしています。FAOによる2002年度の統計によれば、世界最大のカカオ生産国はコートジボワールで、合計1,264,708トンの生産量が記録されています。これは、2位のインドネシア(619,192トン)の約2倍に相当し、カカオ豆の世界生産をリードする重要な地位にあることがわかります。西アフリカ地域の国々、特にコートジボワール、ガーナ、ナイジェリアの3カ国は、全体の生産量の過半数を占め、この地域がカカオ産業の中心的な存在であることを明確に示しています。
一方で、上位4カ国を除くと生産規模が大きく減少する傾向が見られ、世界のカカオ生産が特定エリアに集中している様子が浮き彫りになっています。例えば5位のブラジルでは174,796トン、6位のカメルーンは125,000トンと、上位に対して大きな差があります。また、中南米や東南アジアではエクアドルやマレーシアが一定の生産量を維持しているものの、その数値は西アフリカ諸国に比べてかなり控えめです。
こうした地域的な差が生まれる要因として、まず挙げられるのは適切な気候条件と地理的条件です。カカオ豆の栽培には高温多湿の環境が必要とされ、これは赤道付近の国々で特に好まれます。また、カカオは労働集約型の作物であり、経済的要因も大きく影響します。西アフリカでは安価な労働力や小規模農家による伝統的な生産方法が広く採用されていることが、この地域での生産性を高める要因となっています。しかし、この要因は一方で、労働環境や児童労働といった社会的課題を引き起こしている側面も見過ごせません。
また、カカオ豆生産量の地域的集中は、地政学的リスクを伴います。このような重要作物の生産が特定の地域に集中している場合、大規模な自然災害や政治的混乱、疾病の流行などの影響を受けやすく、世界のチョコレート産業全体に影響を与える可能性があります。例えば、コートジボワールやガーナでは、これまで政治的不安定や内戦が断続的に続いてきたため、カカオ生産への潜在的なリスクは無視できません。
こうした課題を解決するため、いくつかの対策が考えられます。まず、カカオ豆生産の多角化が求められます。中南米や東南アジアなどの新興産地への技術移転や支援を強化することで、特定地域への依存度を軽減し、全体的な供給の安定性を向上させることができます。また、生産者の労働環境を改善するため、フェアトレードの普及促進や児童労働防止の国際的な枠組みづくりが不可欠です。さらに、気候変動に対応する農業技術の開発や研究を進めることで、長期的な持続可能性を確保することも重要です。
結論として、2002年度のデータは、カカオ豆生産が特定地域に大きく集中しているという現状を浮き彫りにすると同時に、課題も明確に示しています。カカオ産業が直面するこれらの問題をクリアしていくためには、国際的な協力が欠かせません。特に、主要国や国際機関がリーダーシップを発揮し、生産国の社会的、経済的成長に寄与する取り組みを行うことが、全体の持続可能な成長につながるでしょう。