2015年度のカカオ豆生産量ランキングによると、1位はコートジボワール(1,796,000トン)、2位はガーナ(858,720トン)、3位はインドネシア(593,331トン)で、西アフリカが世界の主産地であることが強調されています。上位10ヶ国が世界の生産量の大部分を占めており、特にコートジボワールは2位のガーナを大きく引き離して他を圧倒しています。一方で、中南米やアジア太平洋地域の国々もそれぞれ特有の規模で生産を行っており、地域ごとの特色が伺えます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 1,796,000 |
| 2 |
|
アフリカ | 858,720 |
| 3 |
|
アジア | 593,331 |
| 4 |
|
アフリカ | 310,000 |
| 5 |
|
アフリカ | 302,066 |
| 6 |
|
南アメリカ | 278,299 |
| 7 |
|
南アメリカ | 180,192 |
| 8 |
|
南アメリカ | 92,592 |
| 9 |
|
南アメリカ | 75,500 |
| 10 |
|
南アメリカ | 54,798 |
| 11 |
|
オセアニア | 36,100 |
| 12 |
|
アフリカ | 32,000 |
| 13 |
|
南アメリカ | 28,007 |
| 14 |
|
南アメリカ | 24,156 |
| 15 |
|
アフリカ | 16,000 |
| 16 |
|
アジア | 16,000 |
| 17 |
|
南アメリカ | 15,837 |
| 18 |
|
アフリカ | 12,000 |
| 19 |
|
アフリカ | 11,535 |
| 20 |
|
南アメリカ | 11,331 |
| 21 |
|
アフリカ | 10,000 |
| 22 |
|
アフリカ | 7,500 |
| 23 |
|
アフリカ | 7,000 |
| 24 |
|
南アメリカ | 6,065 |
| 25 |
|
アジア | 6,023 |
| 26 |
|
アフリカ | 6,000 |
| 27 |
|
南アメリカ | 4,807 |
| 28 |
|
オセアニア | 4,680 |
| 29 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 30 |
|
アフリカ | 2,500 |
| 31 |
|
アジア | 1,729 |
| 32 |
|
アジア | 1,667 |
| 33 |
|
オセアニア | 1,500 |
| 34 |
|
南アメリカ | 1,500 |
| 35 |
|
南アメリカ | 1,500 |
| 36 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 37 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 38 |
|
南アメリカ | 637 |
| 39 |
|
南アメリカ | 600 |
| 40 |
|
南アメリカ | 600 |
| 41 |
|
南アメリカ | 572 |
| 42 |
|
南アメリカ | 494 |
| 43 |
|
オセアニア | 479 |
| 44 |
|
アフリカ | 429 |
| 45 |
|
南アメリカ | 401 |
| 46 |
|
南アメリカ | 363 |
| 47 |
|
南アメリカ | 218 |
| 48 |
|
アジア | 170 |
| 49 |
|
アフリカ | 143 |
| 50 |
|
アジア | 128 |
| 51 |
|
アフリカ | 100 |
| 52 |
|
南アメリカ | 72 |
| 53 |
|
アフリカ | 44 |
| 54 |
|
オセアニア | 32 |
| 55 |
|
南アメリカ | 32 |
| 56 |
|
オセアニア | 7 |
| 57 |
|
南アメリカ | 4 |
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カカオ豆はチョコレートやその他食品加工の原料として、国際的な重要性を持つ農作物です。Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の2015年度データによれば、カカオ生産の中心地は西アフリカであることが明確です。特にコートジボワールは、約180万トンという圧倒的な生産量で世界の約40%を占めており、カカオ生産のリーダー的存在です。続くガーナとインドネシアを合わせると、世界の主要生産地としての役割がさらに顕著になります。
これらの国々のカカオ生産量の集中は、地域の気候条件や地理的特質が深く関係しています。カカオ豆は高温多湿な環境で栽培されることが求められるため、アフリカの赤道近くや熱帯地域が適地となります。一方で、ブラジル、エクアドル、ペルーなどの中南米諸国も独自の品質で評価されるカカオを生産しています。この多様性は、消費者が味や品種の違いを楽しむうえで重要な要素でもあります。
しかしながら、カカオ生産地は多くの課題を抱えています。西アフリカ諸国では、土地の過剰使用や肥沃さの低下が問題視されており、持続可能な農地管理が求められています。また、貧困問題や児童労働といった社会的課題も、カカオ産業と密接に関連しています。たとえば、ガーナやコートジボワールでは、農家の生活水準が低く、これが生産効率の低下や生産者離れを招く懸念があります。これらの課題を解決するためには、公平な価格設定や農業技術の導入が鍵となります。
さらに、カカオ生産を巡る地政学的なリスクも無視できません。特にアフリカ地域では、政治的な不安定さや内戦が生産と輸出に影響を与える場合があります。例えば、コートジボワールは長年の政治的不安定を経験してきたため、輸出入の円滑な管理や物流インフラの整備が今後の課題となります。また、気候変動による気温上昇や降水パターンの変化は、この地域の生産量に大きな影響を与える可能性があります。
これらを受けて、カカオ生産の持続可能性を確保するためには、いくつかの具体的対策が必要です。第一に、持続可能な農業政策を実施し、農地の回復と管理を支援することが重要です。たとえばアグロフォレストリー(森林農業)の導入により、土地の再生を促進しながらカカオを生産する方法が提案されています。第二に、国際的な監視と協力を強化し、公平な取引を保証するシステム作りが求められます。フェアトレード認証製品を支える仕組みは、農民の生活向上に貢献するでしょう。
また、アジア諸国ではカカオ生産が増加している一方で、特にマレーシアやインドが少量の生産にとどまっていることを考えると、品質向上と輸出拡大によって新たな市場を開拓するチャンスがあると考えられます。日本のような消費国とも密接な連携を図ることで、新興生産地域との協力関係を築くことが期待されます。
今後、国際市場の需要拡大とともに持続可能な方法で生産を支えることが、地域経済を発展させるうえで重要です。カカオ産業を単なる原料供給分野と捉えるのではなく、社会的課題を克服しながら発展を目指す一つのモデルとして位置づけることが必要です。