国際連合食糧農業機関(FAO)の発表によると、2016年における世界のカカオ豆生産量ランキングでは、1位はコートジボワール(1,634,000トン)、2位はガーナ(858,720トン)、3位はインドネシア(656,817トン)という結果でした。これら3か国で世界総生産量の過半数を占めています。アフリカ地域が生産の中心であることが際立っており、特に西アフリカ地域が全体のカカオ供給を大きく支えています。一方で、アジアや南米からも一定の生産量が見られます。日本などカカオ豆を消費する国々にとっては、この生産分布と供給リスクのバランスが重要な課題となっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 1,634,000 |
| 2 |
|
アフリカ | 858,720 |
| 3 |
|
アジア | 656,817 |
| 4 |
|
アフリカ | 344,752 |
| 5 |
|
アフリカ | 298,029 |
| 6 |
|
南アメリカ | 213,871 |
| 7 |
|
南アメリカ | 177,551 |
| 8 |
|
南アメリカ | 107,922 |
| 9 |
|
南アメリカ | 81,246 |
| 10 |
|
南アメリカ | 56,785 |
| 11 |
|
アフリカ | 47,705 |
| 12 |
|
オセアニア | 38,000 |
| 13 |
|
アフリカ | 35,000 |
| 14 |
|
アフリカ | 34,000 |
| 15 |
|
南アメリカ | 26,863 |
| 16 |
|
南アメリカ | 24,860 |
| 17 |
|
アジア | 17,000 |
| 18 |
|
南アメリカ | 14,398 |
| 19 |
|
アフリカ | 13,000 |
| 20 |
|
南アメリカ | 11,567 |
| 21 |
|
アフリカ | 11,179 |
| 22 |
|
アフリカ | 10,200 |
| 23 |
|
アフリカ | 10,000 |
| 24 |
|
アフリカ | 8,200 |
| 25 |
|
アジア | 6,263 |
| 26 |
|
南アメリカ | 6,143 |
| 27 |
|
南アメリカ | 5,185 |
| 28 |
|
オセアニア | 4,500 |
| 29 |
|
アフリカ | 3,800 |
| 30 |
|
アフリカ | 3,001 |
| 31 |
|
南アメリカ | 2,058 |
| 32 |
|
オセアニア | 2,000 |
| 33 |
|
アジア | 1,723 |
| 34 |
|
アジア | 1,723 |
| 35 |
|
南アメリカ | 1,700 |
| 36 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 37 |
|
南アメリカ | 965 |
| 38 |
|
南アメリカ | 800 |
| 39 |
|
南アメリカ | 726 |
| 40 |
|
南アメリカ | 668 |
| 41 |
|
南アメリカ | 650 |
| 42 |
|
南アメリカ | 500 |
| 43 |
|
オセアニア | 479 |
| 44 |
|
南アメリカ | 471 |
| 45 |
|
アフリカ | 438 |
| 46 |
|
南アメリカ | 364 |
| 47 |
|
南アメリカ | 219 |
| 48 |
|
アジア | 173 |
| 49 |
|
アフリカ | 127 |
| 50 |
|
アジア | 120 |
| 51 |
|
アフリカ | 100 |
| 52 |
|
南アメリカ | 85 |
| 53 |
|
アフリカ | 42 |
| 54 |
|
オセアニア | 32 |
| 55 |
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南アメリカ | 23 |
| 56 |
|
南アメリカ | 5 |
| 57 |
|
オセアニア | 3 |
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FAOが発表した2016年のカカオ豆生産量に関するデータでは、カカオ生産が特定の地域に集中していることが明らかになりました。コートジボワールが圧倒的な生産量を記録しており、全世界の生産量において最も重要な役割を果たしています。次いでガーナとインドネシアがランクインしており、これら3か国が世界のカカオ生産の中心的な存在であることを示しています。特にコートジボワールとガーナは、伝統的にカカオ生産を基盤とした農業経済を築いてきました。このデータは、カカオ豆が特定の地政学的エリアに集中している点を示しており、その供給が気候や地域内紛争の影響を受ける脆弱性を内包しているともいえます。
例えば、カカオ豆生産量の上位5カ国(コートジボワール、ガーナ、インドネシア、カメルーン、ナイジェリア)だけで、世界全体の生産量の約75%を占めます。この極端な集中度は、供給面でのリスクを伴います。万が一これらの国々で自然災害や疫病、あるいは政治的不安定が発生した場合、世界市場でのカカオ豆の価格が急騰するだけでなく、無数の関連産業に波及する可能性があります。将来的には、カカオ豆の需要が増加する中で、供給元の多様化が求められるでしょう。
一方で、ブラジルやエクアドルなどの南米諸国やパプアニューギニアなどのアジア太平洋地域も一定の生産量を示しており、これらの国々が補完的な役割を果たすことが期待されています。特にエクアドルの生産量は小規模ながら、品質の高い特産品種が評価されており、市場において独自の位置を占めています。また、日本を含むカカオ豆輸入国は、サプライチェーンの安定性を確保するためにも、生産国との協力体制の強化が求められます。
課題としては、生産地が直面している持続可能性の問題が挙げられます。例えば、多くの生産国で伝統的な農法による生産が中心であるため、森林伐採や土壌劣化などの環境問題が生じています。また、カカオ農家の生計向上のためには、インフラ整備や教育、フェアトレードの促進が必要とされています。さらに、気候変動の影響による生産地の適性低下も深刻化しており、生産地域の移行や農業技術の向上が急務です。
将来的に重要となる対策としては、以下のような具体的な手法が挙げられます。一つ目は、気候変動に強いカカオ品種の育成に関する研究開発の推進です。二つ目は、生産国間での技術共有を目的とした国際協力の強化です。例えば、農業技術や品質管理方法の共有により、より効率的かつ環境負荷の少ない生産方法を広めることができます。そして三つ目には、消費国側での需要予測の向上や消費者啓発が含まれます。特にカカオ製品の消費量が増加している国々、例えば中国やインドにおける需給バランスの管理が重要です。
結論として、2016年のカカオ豆生産量ランキングは、現在の世界カカオ市場の集中度の高さ、供給リスク、環境的懸念を浮き彫りにしています。生産国と消費国が連携することで、持続可能な生産体制を確立し、安定的な供給を維持することが鍵となります。