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世界のカカオ豆生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2009年度の世界のカカオ豆生産量ランキングによると、世界最大のカカオ豆生産国はコートジボワールで生産量が1,223,153トンでした。2位はインドネシア(809,583トン)、3位はガーナ(710,638トン)で、これら3カ国が生産量の大部分を占めています。アフリカ地域が世界のカカオ豆産業をリードしている反面、他地域の生産量は相対的に低く、分布の偏りが見られます。このランキングから、世界のチョコレートおよびカカオ製品産業における供給構造と地政学的リスクの影響を考慮した課題を明確にすることができます。

順位 国名 地域 生産量(トン)
1 コートジボワール国旗 コートジボワール アフリカ 1,223,153
2 インドネシア国旗 インドネシア アジア 809,583
3 ガーナ国旗 ガーナ アフリカ 710,638
4 ナイジェリア国旗 ナイジェリア アフリカ 363,510
5 カメルーン国旗 カメルーン アフリカ 235,500
6 ブラジル国旗 ブラジル 南アメリカ 218,487
7 エクアドル国旗 エクアドル 南アメリカ 120,581
8 トーゴ国旗 トーゴ アフリカ 105,000
9 メキシコ国旗 メキシコ 南アメリカ 60,000
10 パプアニューギニア国旗 パプアニューギニア オセアニア 59,400
11 ドミニカ共和国国旗 ドミニカ共和国 南アメリカ 54,994
12 コロンビア国旗 コロンビア 南アメリカ 44,740
13 ペルー国旗 ペルー 南アメリカ 36,803
14 ベネズエラ (ボリバル共和国)国旗 ベネズエラ (ボリバル共和国) 南アメリカ 20,920
15 マレーシア国旗 マレーシア アジア 18,152
16 ウガンダ国旗 ウガンダ アフリカ 15,000
17 ギニア国旗 ギニア アフリカ 14,577
18 インド国旗 インド アジア 11,820
19 グアテマラ国旗 グアテマラ 南アメリカ 10,591
20 シエラレオネ国旗 シエラレオネ アフリカ 10,000
21 ハイチ国旗 ハイチ 南アメリカ 8,536
22 タンザニア連合共和国国旗 タンザニア連合共和国 アフリカ 8,500
23 マダガスカル国旗 マダガスカル アフリカ 8,000
24 コンゴ民主共和国国旗 コンゴ民主共和国 アフリカ 5,470
25 フィリピン国旗 フィリピン アジア 5,134
26 リベリア国旗 リベリア アフリカ 4,600
27 ソロモン諸島国旗 ソロモン諸島 オセアニア 4,553
28 ボリビア (多民族国家)国旗 ボリビア (多民族国家) 南アメリカ 4,510
29 サントメ・プリンシペ国旗 サントメ・プリンシペ アフリカ 2,500
30 スリランカ国旗 スリランカ アジア 1,750
31 ニカラグア国旗 ニカラグア 南アメリカ 1,550
32 バヌアツ国旗 バヌアツ オセアニア 1,500
33 キューバ国旗 キューバ 南アメリカ 1,387
34 ホンジュラス国旗 ホンジュラス 南アメリカ 1,350
35 赤道ギニア国旗 赤道ギニア アフリカ 1,200
36 ジャマイカ国旗 ジャマイカ 南アメリカ 1,108
37 コンゴ国旗 コンゴ アフリカ 800
38 タイ国旗 タイ アジア 781
39 コスタリカ国旗 コスタリカ 南アメリカ 650
40 トリニダード・トバゴ国旗 トリニダード・トバゴ 南アメリカ 600
41 パナマ国旗 パナマ 南アメリカ 561
42 グレナダ国旗 グレナダ 南アメリカ 500
43 サモア国旗 サモア オセアニア 480
44 ガイアナ国旗 ガイアナ 南アメリカ 365
45 アンゴラ国旗 アンゴラ アフリカ 336
46 セントビンセントおよびグレナディーン諸島国旗 セントビンセントおよびグレナディーン諸島 南アメリカ 210
47 ガボン国旗 ガボン アフリカ 200
48 エルサルバドル国旗 エルサルバドル 南アメリカ 180
49 東ティモール国旗 東ティモール アジア 137
50 ドミニカ国旗 ドミニカ 南アメリカ 132
51 セントルシア国旗 セントルシア 南アメリカ 110
52 中央アフリカ共和国国旗 中央アフリカ共和国 アフリカ 100
53 ベナン国旗 ベナン アフリカ 100
54 ベリーズ国旗 ベリーズ 南アメリカ 39
55 コモロ国旗 コモロ アフリカ 34
56 ミクロネシア連邦国旗 ミクロネシア連邦 オセアニア 33
57 スリナム国旗 スリナム 南アメリカ 6
58 フィジー国旗 フィジー オセアニア 5
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2009年度のカカオ豆生産量ランキングを通じて、世界のカカオ豆供給構造の現状を理解することができます。生産量トップのコートジボワールは、世界全体のカカオ豆供給量の約37%を占め、アフリカ西部のガーナ(710,638トン、全体の約22%)やナイジェリア(363,510トン、約11%)とともに、アフリカ地域がこの産業の中心地であることが分かります。特にコートジボワールは、生産量でも明らかな世界のカカオ市場を牽引する国となっています。

これに対し、インドネシア(809,583トン、全体の約25%)のようなアジアの主要生産国もカカオ豆市場における存在感を高めています。一方、アメリカ大陸ではブラジル(218,487トン)やエクアドル(120,581トン)のような国がランクインしていますが、その生産量はアフリカやアジアに比べて低めです。

本ランキングからは、いくつかの重要な課題が浮かび上がります。まず、アフリカ西部地域に生産が集中していることから、地政学的なリスクがカカオ市場に大きな影響を及ぼす可能性があります。この地域は紛争や不安定な政情の影響を受けやすいため、供給の安定性に懸念が残ります。また、カカオ豆の大部分が発展途上国で生産され、収穫後の商品価値を高める加工などは先進国に依存している点も注目に値します。この構造は、カカオの生産国に十分な経済的利益が還元されにくい原因となり、農民の生活の質向上や貧困削減の妨げにもなっています。

さらに、気候変動や気象の不安定化がカカオ農業に深刻な影響を与える可能性もあります。たとえば、カカオの栽培には一定の温度や湿度が必要ですが、温暖化により適した栽培地域が狭まり、生産量の減少につながる恐れがあります。この影響は特にアフリカの生産国にとって喫緊の課題です。

これらの課題に対処するためには、まず生産国での加工産業の発展が求められます。例えば、生産国でのチョコレート加工施設の増設により、高付加価値製品を輸出することで経済効果を引き上げることができます。また、カカオ生産に依存する農業経済を補完する形での多角化も必要です。さらに、国際協力を進め、持続可能な農業技術の導入や気候変動に対応した品種改良の取り組みが重要です。

地政学的リスクへの対応としては、多国間の安全保障および経済協力体制を強化し、地域の安定化を図るべきです。具体的には、西アフリカ諸国内での経済共同体(例えばECOWAS)などの枠組みを活用し、農業分野における支援や投資を拡大することが効果的です。また、消費国である欧米諸国や日本、中国などの協力も欠かせません。

結論として、2009年度のカカオ豆生産量データは、この産業の地理的、経済的な偏りを明確に示しています。生産地における農業技術や加工産業の発展が進まなければ、供給の不安定性や農家の貧困問題が今後も続く可能性があります。国際社会が積極的に連携し、カカオ産業を持続可能な形で発展させるための取り組みが一層重要になると考えられます。

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