1990年度のカカオ豆生産量において、コートジボワールが圧倒的な生産量807,501トンで1位を占めました。次いでガーナ(293,355トン)とブラジル(256,246トン)が続きます。上位5位までを占めるその他の国々には、マレーシア、ナイジェリアが含まれます。これら上位国が世界のカカオ豆生産をリードしており、特にアフリカ地域の存在感が際立っています。一方で、下位に位置する国々では1,000トン未満の生産であり、生産量の格差が顕著に見られます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 807,501 |
| 2 |
|
アフリカ | 293,355 |
| 3 |
|
南アメリカ | 256,246 |
| 4 |
|
アジア | 247,000 |
| 5 |
|
アフリカ | 244,000 |
| 6 |
|
アジア | 142,347 |
| 7 |
|
アフリカ | 115,000 |
| 8 |
|
南アメリカ | 96,722 |
| 9 |
|
南アメリカ | 56,153 |
| 10 |
|
南アメリカ | 44,045 |
| 11 |
|
南アメリカ | 43,157 |
| 12 |
|
オセアニア | 38,343 |
| 13 |
|
アフリカ | 24,000 |
| 14 |
|
南アメリカ | 15,527 |
| 15 |
|
南アメリカ | 14,796 |
| 16 |
|
アジア | 9,848 |
| 17 |
|
アフリカ | 7,180 |
| 18 |
|
アフリカ | 6,814 |
| 19 |
|
アフリカ | 6,793 |
| 20 |
|
アジア | 6,000 |
| 21 |
|
南アメリカ | 5,100 |
| 22 |
|
アジア | 4,178 |
| 23 |
|
オセアニア | 3,895 |
| 24 |
|
アフリカ | 3,600 |
| 25 |
|
南アメリカ | 3,591 |
| 26 |
|
南アメリカ | 3,500 |
| 27 |
|
南アメリカ | 3,000 |
| 28 |
|
アフリカ | 2,799 |
| 29 |
|
南アメリカ | 2,700 |
| 30 |
|
南アメリカ | 2,428 |
| 31 |
|
オセアニア | 2,173 |
| 32 |
|
アフリカ | 2,124 |
| 33 |
|
アフリカ | 2,115 |
| 34 |
|
南アメリカ | 2,110 |
| 35 |
|
南アメリカ | 2,104 |
| 36 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 37 |
|
南アメリカ | 1,950 |
| 38 |
|
アフリカ | 1,800 |
| 39 |
|
アフリカ | 1,502 |
| 40 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 41 |
|
南アメリカ | 629 |
| 42 |
|
南アメリカ | 483 |
| 43 |
|
オセアニア | 406 |
| 44 |
|
アジア | 400 |
| 45 |
|
南アメリカ | 400 |
| 46 |
|
オセアニア | 300 |
| 47 |
|
南アメリカ | 260 |
| 48 |
|
南アメリカ | 167 |
| 49 |
|
南アメリカ | 165 |
| 50 |
|
南アメリカ | 139 |
| 51 |
|
アフリカ | 92 |
| 52 |
|
アフリカ | 48 |
| 53 |
|
南アメリカ | 48 |
| 54 |
|
アジア | 31 |
| 55 |
|
アフリカ | 22 |
| 56 |
|
南アメリカ | 17 |
| 57 |
|
アフリカ | 15 |
| 58 |
|
南アメリカ | 4 |
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国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによれば、1990年のカカオ豆生産は、コートジボワールが圧倒的な生産量を誇り、単独で2位以下のガーナやブラジルの合計値をも上回る結果を示しました。この結果から、コートジボワールが1990年当時からカカオ生産において強い競争力を備えていることが明らかです。また、ガーナやナイジェリアといった他の西アフリカ諸国も上位にランクインしており、アフリカ地域全体が世界的なカカオ供給の要であることが分かります。
興味深いのは、同じ上位ランク国でも地域による生産体制の違いです。アフリカ諸国が主に小規模農家による生産が中心であるのに対し、ブラジルやマレーシアといった国々は比較的規模の大きなプランテーション経営の割合が高いとされています。この違いは経済規模や収益配分にも影響を及ぼしており、長期的には貿易政策や地場経済への影響も考慮する必要があります。
一方で、下位国であるウガンダ、パナマ、セントルシアなどは生産量が極めて少なく、数百トン規模にとどまっています。このような小規模生産国では、自国消費が中心で国際市場での競争力は限定的です。また、生産技術やインフラの不足、気候変動の影響などの課題に直面している可能性があります。
カカオ豆の生産地分布を見てみると、気候帯が重要な役割を果たしていることが分かります。この作物は温暖湿潤な熱帯地域でしか育たない特性を持つため、アフリカ、中南米、東南アジアに集中しています。しかし、この地理的条件は地政学的リスクを伴います。特に西アフリカでは、生産地域が紛争や政治的不安定の影響を受けやすいため、これが生産量や価格に直接的な影響を与える可能性があります。
将来的な課題としては、気候変動の影響が挙げられます。特定地域の降雨パターンの変化や気温上昇がカカオ栽培に深刻な影響を及ぼすことが懸念されており、適応策が求められます。また、生産地では従来型の製法に頼っており効率が低いとされる小規模農家が多いため、技術革新や農業インフラの整備が必要です。さらには、フェアトレード推進や生産者への適正な利益分配を進めることで、持続可能性を高める取り組みが不可欠です。
具体的には、各国が共同でカカオ栽培における技術移転プログラムを設けることが考えられます。また、国際機関や企業が地域衝突の予防や気候変動への適応力を高めるための資金援助を行うことも効果的です。さらに、生産国での品質向上を目指した教育プログラムや、収穫後の加工能力を高めるための支援は、中長期的に見ると安定したカカオ供給と農家の収入向上に寄与するでしょう。
このように、1990年データは当時のカカオ豆生産地図を明らかにしていますが、同時に現代および将来に向けた多くの課題も浮き彫りにしました。カカオ豆という重要な農産物の安定供給には、環境、経済、政治の観点から多方面での協力が欠かせません。これらの施策を通じて、消費国も生産国もメリットを享受できる公平な取引環境が構築されることを期待します。