国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、1997年度のカカオ豆生産量ランキングにおいて、世界最大の生産国はコートジボワール(1,119,110トン)で、全体の生産量の約4割を占める重要な供給国でした。2位インドネシア(329,700トン)と3位ガーナ(322,490トン)は圧倒的な差をつけられており、これら3カ国で世界生産の大部分を占める状況でした。その他、ナイジェリア(318,000トン)やブラジル(277,966トン)を含む上位5カ国が特に高い生産量を記録しています。これには、西アフリカ、東南アジア、南米といった気候条件の適した地域が高い生産量を誇っていることが背景にあります。このランキングはカカオ産業全体の供給チェーンを理解し、今後の課題を考えるうえで重要な指標です。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 1,119,110 |
| 2 |
|
アジア | 329,700 |
| 3 |
|
アフリカ | 322,490 |
| 4 |
|
アフリカ | 318,000 |
| 5 |
|
南アメリカ | 277,966 |
| 6 |
|
アフリカ | 126,807 |
| 7 |
|
アジア | 106,027 |
| 8 |
|
南アメリカ | 90,870 |
| 9 |
|
南アメリカ | 52,456 |
| 10 |
|
南アメリカ | 50,317 |
| 11 |
|
南アメリカ | 45,917 |
| 12 |
|
オセアニア | 40,000 |
| 13 |
|
南アメリカ | 19,504 |
| 14 |
|
南アメリカ | 18,529 |
| 15 |
|
アフリカ | 13,000 |
| 16 |
|
アジア | 7,844 |
| 17 |
|
アフリカ | 7,207 |
| 18 |
|
アフリカ | 6,300 |
| 19 |
|
アフリカ | 5,800 |
| 20 |
|
アジア | 5,697 |
| 21 |
|
アフリカ | 5,018 |
| 22 |
|
アフリカ | 4,300 |
| 23 |
|
南アメリカ | 4,217 |
| 24 |
|
南アメリカ | 4,000 |
| 25 |
|
オセアニア | 3,907 |
| 26 |
|
アジア | 3,700 |
| 27 |
|
アフリカ | 3,200 |
| 28 |
|
アフリカ | 3,138 |
| 29 |
|
アフリカ | 2,700 |
| 30 |
|
南アメリカ | 2,364 |
| 31 |
|
アフリカ | 1,875 |
| 32 |
|
オセアニア | 1,757 |
| 33 |
|
南アメリカ | 1,740 |
| 34 |
|
南アメリカ | 1,700 |
| 35 |
|
南アメリカ | 1,653 |
| 36 |
|
南アメリカ | 1,609 |
| 37 |
|
南アメリカ | 1,400 |
| 38 |
|
南アメリカ | 800 |
| 39 |
|
南アメリカ | 736 |
| 40 |
|
アフリカ | 686 |
| 41 |
|
アフリカ | 600 |
| 42 |
|
オセアニア | 486 |
| 43 |
|
アジア | 400 |
| 44 |
|
南アメリカ | 260 |
| 45 |
|
南アメリカ | 230 |
| 46 |
|
南アメリカ | 200 |
| 47 |
|
南アメリカ | 190 |
| 48 |
|
アフリカ | 167 |
| 49 |
|
南アメリカ | 133 |
| 50 |
|
南アメリカ | 84 |
| 51 |
|
オセアニア | 72 |
| 52 |
|
アフリカ | 62 |
| 53 |
|
アジア | 57 |
| 54 |
|
オセアニア | 33 |
| 55 |
|
南アメリカ | 30 |
| 56 |
|
アフリカ | 24 |
| 57 |
|
南アメリカ | 14 |
| + すべての国を見る | |||
1997年時点の世界のカカオ豆生産量データを見てみると、コートジボワールが圧倒的に1位であることがわかります。同国は高温多湿な気候と豊かな土壌を有しており、カカオ栽培に非常に適した環境です。加えて、多くの労働者がカカオ農業に従事しており、長年にわたる技術的蓄積が生産の効率化に貢献しています。一方で、2位のインドネシアと3位のガーナの生産量は1位と大きく引き離されていますが、それでもカカオ豆の世界供給において重要な役割を果たしています。
カカオ生産のほとんどが熱帯地域に集中していることから、地政学的リスクや気候変動の影響が生産量に及ぼす懸念は非常に大きいといえます。特に、西アフリカ諸国では政治的不安定や地域衝突が散発的に発生しており、安定した生産量を維持するためには、このようなリスクへの対応が必要不可欠です。また、児童労働などの社会問題も長年議論されています。これらの問題に対する国際的な注目が高まるなか、生産国には持続可能な農業を推進する努力が求められています。
東南アジアに目を向けると、2位のインドネシアや、7位のマレーシアが存在します。これらの国々では、生産者の収入確保と生産性向上を目的とした政策が進められています。しかし、農場拡大のための森林伐採が自然環境へ与える影響や、生態系保全とのバランスが課題となっています。
さらに、南米地域では、ブラジルやエクアドルが存在感を示していますが、特にブラジルでは、カカオ農業が土地利用の競合や病害虫の被害を受けやすい状況にあります。このため、生産者は環境保護と収益性の両立を模索しています。
全体として、生産開始から消費者に届くまでには複雑な流通ネットワークがあります。特に、欧州やアメリカ合衆国のようなチョコレート製品大国が輸入に大きく依存している背景を踏まえると、生産地における安定供給の確保は世界全体に影響を及ぼす重要な課題です。
未来への提言としては、まず生産地におけるインフラの整備を進め、生産量の安定化を図ることが挙げられます。さらに、気候変動の影響に対応するため、耐候性の高いカカオ品種の導入や、持続可能な農法の導入を推進する必要があります。また、労働環境の改善やフェアトレード認証の普及を通じて、生産者の生活水準向上を目指す取り組みも欠かせません。最後に、消費地での需要動向の変化に柔軟に対応するための生産地と消費地間の強化された協力体制が求められます。
カカオ産業は、地球温暖化や地政学的リスク、労働環境問題といった多くの課題に直面しています。これらに対処するためには、持続可能なアプローチを通じた国際協力が重要であり、これが求められる現代において、私たち一人ひとりの認識がその鍵を握っています。生産から消費に至るすべてのステークホルダーが協力し合うことで、カカオ産業はその恩恵をより広く、長期的に享受することが可能となるでしょう。