世界のカカオ豆生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関の最新データに基づく1984年度のカカオ豆生産量ランキングでは、コートジボワールが565,042トンで首位に立ち、次いでブラジルが329,903トン、ガーナが166,700トンと続きます。上位3国が全体の生産量の約7割に達する一方で、50位以下の国々では生産量が極めて低く、1トン未満の国も複数見られることから、生産量の偏在性が際立っています。カカオ豆は主に熱帯地域で栽培され、サプライチェーンや経済において大きな役割を果たしています。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	コートジボワール	アフリカ	565,042
2	ブラジル	南アメリカ	329,903
3	ガーナ	アフリカ	166,700
4	ナイジェリア	アフリカ	160,800
5	カメルーン	アフリカ	120,894
6	マレーシア	アジア	90,000
7	エクアドル	南アメリカ	77,000
8	ドミニカ共和国	南アメリカ	42,596
9	コロンビア	南アメリカ	40,700
10	メキシコ	南アメリカ	36,141
11	パプアニューギニア	オセアニア	32,701
12	インドネシア	アジア	26,502
13	シエラレオネ	アフリカ	16,600
14	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	10,584
15	トーゴ	アフリカ	9,795
16	赤道ギニア	アフリカ	7,000
17	ペルー	南アメリカ	6,501
18	リベリア	アフリカ	6,150
19	インド	アジア	6,000
20	フィリピン	アジア	4,834
21	ハイチ	南アメリカ	4,710
22	コンゴ民主共和国	アフリカ	4,388
23	コスタリカ	南アメリカ	4,139
24	ギニア	アフリカ	4,000
25	サントメ・プリンシペ	アフリカ	3,378
26	マダガスカル	アフリカ	3,000
27	ジャマイカ	南アメリカ	2,812
28	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	2,747
29	スリランカ	アジア	2,500
30	グレナダ	南アメリカ	2,500
31	パナマ	南アメリカ	1,987
32	キューバ	南アメリカ	1,923
33	コンゴ	アフリカ	1,864
34	ソロモン諸島	オセアニア	1,709
35	グアテマラ	南アメリカ	1,679
36	ホンジュラス	南アメリカ	1,600
37	ガボン	アフリカ	1,595
38	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	1,560
39	サモア	オセアニア	1,500
40	タンザニア連合共和国	アフリカ	1,445
41	バヌアツ	オセアニア	782
42	エルサルバドル	南アメリカ	400
43	タイ	アジア	300
44	ニカラグア	南アメリカ	300
45	ウガンダ	アフリカ	271
46	ドミニカ	南アメリカ	240
47	フィジー	オセアニア	235
48	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	145
49	アンゴラ	アフリカ	100
50	セントルシア	南アメリカ	65
51	ベリーズ	南アメリカ	55
52	中央アフリカ共和国	アフリカ	42
53	ガイアナ	南アメリカ	40
54	スリナム	南アメリカ	40
55	東ティモール	アジア	20
56	ベナン	アフリカ	20
57	トンガ	オセアニア	20
58	コモロ	アフリカ	20
59	グアドループ	南アメリカ	5
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カカオ豆の生産は、世界の主要熱帯地域を中心に展開されています。このランキングでは、コートジボワールが大規模な収穫量で1位となり、全体のカカオ供給における主要な役割を果たしていることが分かります。コートジボワールは気候条件がカカオ栽培に適しており、さらに多くの農家が生計をカカオに依存しているため、生産量が突出しています。2位のブラジルと3位のガーナも、高い生産量を持ちながらもコートジボワールには及ばず、特にガーナはアフリカ西部でコートジボワールに次ぐ生産地主として重要です。

カカオの生産は、経済的に意義が大きいだけでなく、現地の農村地域にとって主要な収入源となっています。一方で、農家の生活水準の向上が課題となるケースが多く、生産物の価格変動や気候変動の影響を受けやすい点が見過ごせません。ナイジェリアやカメルーンも、アフリカの他の国々と同様に生産量が高い国として、世界市場への影響力を持っていますが、多くの生産地では地域的な紛争や賃金問題といった課題も根強く存在します。

地域的な見解として、アフリカは上位10位のうち4つの国がランクインしていることから、世界のカカオ供給に圧倒的な役割を果たしている一方で、マレーシアやインドネシアなどのアジア諸国も生産量を増加させています。特にマレーシアは90,000トンと比較的高い生産量で世界の食糧市場に参画しており、今後も東南アジアにおけるカカオ生産の重要性が注目されています。

経済的側面だけでなく、地政学的な背景にも目を向ける必要があります。例えば、一部アフリカ諸国では地域衝突がカカオ生産地や輸送インフラに対するリスクを高めています。これらが世界的なカカオ供給チェーンに直接的な影響を与え、大手チョコレートメーカーや関連商品市場の価格変動を招きかねません。このような状況において、持続可能な開発政策の導入や国際協力の強化が求められています。

また、気候変動も今後のカカオ生産に深刻な影響を与える可能性があります。コートジボワールを含む多くの生産地では、気温や降水量の変動が品質および収穫量に悪影響を与えることが懸念されています。この課題に対応するためには、耐気候性を持つ品種の育成や、生産インフラの近代化が喫緊の課題です。

結論として、世界のカカオ豆生産は特定地域に集中しており、その安定性が多くの社会的および地政学的要因に左右されています。国際社会は、カカオ豆生産者を支援し、サプライチェーン全体の透明性を確保するための取り組みを進めるべきです。具体的には、生産者への適正価格の保証や、地元の産業発展を支援するポリシーを導入することで、生産量の増加と安定した供給を両立させることができるでしょう。また、気候変動に対応した農業技術の普及も、この先不可欠な対応となるでしょう。