1980年の世界におけるカカオ豆生産量ランキングでは、コートジボワールが417,222トンでトップを占め、ブラジル(319,141トン)とガーナ(277,200トン)がそれに続いています。生産量の上位は主に西アフリカ諸国が占めており、世界のカカオ産業がこの地域に大きく依存している現状が見て取れます。一方で、アジアや中南米も一定の生産を担っており、地域間のバランスや課題が浮き彫りとなっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 417,222 |
| 2 |
|
南アメリカ | 319,141 |
| 3 |
|
アフリカ | 277,200 |
| 4 |
|
アフリカ | 153,000 |
| 5 |
|
アフリカ | 117,053 |
| 6 |
|
南アメリカ | 91,215 |
| 7 |
|
南アメリカ | 36,360 |
| 8 |
|
南アメリカ | 35,700 |
| 9 |
|
アジア | 35,372 |
| 10 |
|
オセアニア | 31,200 |
| 11 |
|
南アメリカ | 28,481 |
| 12 |
|
アフリカ | 16,300 |
| 13 |
|
南アメリカ | 14,953 |
| 14 |
|
アジア | 10,284 |
| 15 |
|
アフリカ | 8,497 |
| 16 |
|
アフリカ | 8,000 |
| 17 |
|
アジア | 6,000 |
| 18 |
|
アフリカ | 5,900 |
| 19 |
|
アフリカ | 5,700 |
| 20 |
|
南アメリカ | 5,266 |
| 21 |
|
南アメリカ | 4,420 |
| 22 |
|
アジア | 4,141 |
| 23 |
|
アフリカ | 4,000 |
| 24 |
|
アフリカ | 3,814 |
| 25 |
|
アフリカ | 3,709 |
| 26 |
|
南アメリカ | 2,500 |
| 27 |
|
アジア | 2,400 |
| 28 |
|
南アメリカ | 2,381 |
| 29 |
|
アフリカ | 2,334 |
| 30 |
|
南アメリカ | 2,260 |
| 31 |
|
南アメリカ | 2,131 |
| 32 |
|
南アメリカ | 1,752 |
| 33 |
|
アフリカ | 1,690 |
| 34 |
|
南アメリカ | 1,640 |
| 35 |
|
南アメリカ | 1,242 |
| 36 |
|
オセアニア | 1,216 |
| 37 |
|
南アメリカ | 1,132 |
| 38 |
|
アフリカ | 1,051 |
| 39 |
|
オセアニア | 723 |
| 40 |
|
南アメリカ | 500 |
| 41 |
|
南アメリカ | 500 |
| 42 |
|
南アメリカ | 428 |
| 43 |
|
オセアニア | 346 |
| 44 |
|
南アメリカ | 320 |
| 45 |
|
アジア | 300 |
| 46 |
|
アフリカ | 200 |
| 47 |
|
オセアニア | 137 |
| 48 |
|
南アメリカ | 130 |
| 49 |
|
アフリカ | 100 |
| 50 |
|
南アメリカ | 72 |
| 51 |
|
南アメリカ | 65 |
| 52 |
|
南アメリカ | 44 |
| 53 |
|
南アメリカ | 40 |
| 54 |
|
アジア | 20 |
| 55 |
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アフリカ | 20 |
| 56 |
|
南アメリカ | 20 |
| 57 |
|
アフリカ | 15 |
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国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1980年のカカオ豆生産量データによれば、コートジボワールがトップのシェアを持ち、特に西アフリカ地域が世界のカカオ生産を主導していることが明らかです。西アフリカのコートジボワール、ガーナ、ナイジェリア、カメルーンが全生産量の半数以上を担っており、温暖な気候や肥沃な土壌がカカオの栽培に適している点がその要因と考えられます。一方で、アジアや中南米でも一定のシェアを持つ国々が見られるものの、生産量は比較的少なく、特に南アメリカではトリニダード・トバゴのような小国の挙げる成果も含めて地域全体の生産に寄与しています。
このデータから見える問題点は、世界のカカオ供給が特定地域、特に西アフリカに集中していることです。この地域では、カカオ生産が経済の基盤であり、雇用の大部分を担っています。しかし、生産の集中化は地政学的リスクを高め、例えば政治的不安定、災害、または疫病が発生した場合の供給不足につながる可能性があります。1980年代以降、ガーナやコートジボワールでのカカオ栽培に関連し、持続可能性や労働環境、特に児童労働の問題が深刻化しています。これらの問題は今日でも続いていますが、当時はまだ解決のための体系的な枠組みが整っていませんでした。
また、この当時、アジアからの生産量は相対的に低い状態にありました。例えば、マレーシア(35,372トン)やインドネシア(10,284トン)はまだ小規模ながら、後に急速な成長を遂げることになる地域です。その背景には、輸出需要の伸長や、カカオを新たな収益作物として選択する国々の戦略がありました。ただし、新規参入国における農地開発には森林伐採などの環境問題が伴うことも懸念されています。
未来に向けた課題として、まずは生産の多国間分散化が挙げられます。カカオ豆供給の一極集中は価格の不安定化を招きやすく、農家収入の変動や消費者価格への影響が懸念されます。そのため、新興生産国における技術支援やインフラの整備、経済的な援助を提供するなど、国際機関やNGOが多国間で協力することが重要です。また、持続可能な生産への移行も欠かせません。フェアトレードの推進や環境負荷の低減など、需要国側の責任ある消費と生産国の取り組みが求められます。
さらに、西アフリカ諸国ではカカオ栽培における労働環境の見直しが喫緊の課題です。最適な政策対応として、雇用の促進や児童労働の削減に重点を置いた教育への投資や、農家自身への支援体系の構築が考えられます。
1980年のデータを振り返ると、カカオ産業は経済発展や国際貿易の重要な柱であり続けていることが分かります。ただし、その裏側には地政学的リスクや環境課題、社会問題などが複雑に絡み合っています。これらを包括的に解決するには、個別の国や地域を越えた国際的な協調が不可欠です。持続的なカカオ生産と公平な消費によるグローバルな貿易の安定を目指し、各国が積極的に取り組むべきです。