国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2017年度のカカオ豆生産量ランキングによると、1位はコートジボワールで生産量は2,034,000トンと圧倒的な規模を誇り、2位のガーナ(969,300トン)を大きく引き離しています。続いてインドネシアが3位(590,684トン)にランクインしており、西アフリカ諸国がカカオ生産の中心地として世界市場を支えています。トップ10にはブラジルやエクアドルなど南米からも複数の国がランクインしており、アジアや中南米も重要な生産地として認識されます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アフリカ | 2,034,000 |
| 2 |
|
アフリカ | 969,300 |
| 3 |
|
アジア | 590,684 |
| 4 |
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アフリカ | 322,248 |
| 5 |
|
アフリカ | 250,000 |
| 6 |
|
南アメリカ | 235,809 |
| 7 |
|
南アメリカ | 205,955 |
| 8 |
|
南アメリカ | 121,814 |
| 9 |
|
南アメリカ | 89,282 |
| 10 |
|
南アメリカ | 86,599 |
| 11 |
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アフリカ | 48,903 |
| 12 |
|
オセアニア | 36,900 |
| 13 |
|
アフリカ | 35,000 |
| 14 |
|
南アメリカ | 27,466 |
| 15 |
|
南アメリカ | 27,287 |
| 16 |
|
アフリカ | 19,900 |
| 17 |
|
アジア | 19,000 |
| 18 |
|
アフリカ | 13,500 |
| 19 |
|
アフリカ | 13,000 |
| 20 |
|
アフリカ | 12,000 |
| 21 |
|
南アメリカ | 11,830 |
| 22 |
|
アフリカ | 10,834 |
| 23 |
|
アフリカ | 8,500 |
| 24 |
|
アジア | 7,009 |
| 25 |
|
南アメリカ | 6,600 |
| 26 |
|
南アメリカ | 5,518 |
| 27 |
|
オセアニア | 4,600 |
| 28 |
|
アフリカ | 3,501 |
| 29 |
|
アフリカ | 3,500 |
| 30 |
|
南アメリカ | 2,500 |
| 31 |
|
アジア | 1,485 |
| 32 |
|
南アメリカ | 1,100 |
| 33 |
|
アジア | 1,012 |
| 34 |
|
アフリカ | 1,000 |
| 35 |
|
南アメリカ | 1,000 |
| 36 |
|
オセアニア | 913 |
| 37 |
|
南アメリカ | 700 |
| 38 |
|
南アメリカ | 660 |
| 39 |
|
南アメリカ | 545 |
| 40 |
|
南アメリカ | 500 |
| 41 |
|
南アメリカ | 480 |
| 42 |
|
オセアニア | 480 |
| 43 |
|
アフリカ | 448 |
| 44 |
|
南アメリカ | 350 |
| 45 |
|
南アメリカ | 305 |
| 46 |
|
南アメリカ | 245 |
| 47 |
|
南アメリカ | 244 |
| 48 |
|
南アメリカ | 221 |
| 49 |
|
アジア | 178 |
| 50 |
|
アフリカ | 131 |
| 51 |
|
アジア | 125 |
| 52 |
|
アフリカ | 100 |
| 53 |
|
アフリカ | 43 |
| 54 |
|
オセアニア | 32 |
| 55 |
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南アメリカ | 21 |
| 56 |
|
オセアニア | 12 |
| 57 |
|
南アメリカ | 4 |
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カカオは世界中で消費されるチョコレートの原料となる非常に重要な農産物です。2017年度のデータを見ると、全体の生産量で圧倒的な差をつけているのがコートジボワールで、2,034,000トンを生産しています。同国は世界のカカオ生産量の約43%を担っており、1国でほぼ半分を供給していることになります。次いでガーナが969,300トン、インドネシアが590,684トンとなり、この3カ国だけで世界全体のカカオ生産の大部分を占めています。これらの国々では、カカオは経済の主要な輸出品であり、農業従事者の生活基盤にもなっています。
さらにランキングを細かく見ると、4位のカメルーン(322,248トン)と5位のナイジェリア(250,000トン)も西アフリカ地域の国々であり、このエリアが世界的な生産の中心地であることが明確です。一方で、6位のブラジル(235,809トン)や7位のエクアドル(205,955トン)など、南米諸国も一定の生産量を保持しており、地域的な特徴が垣間見えます。
これらのデータが示す一方で、カカオ生産が抱える課題も浮き彫りになっています。西アフリカを中心とするカカオ生産国では、気候変動や過剰な農地利用による環境劣化、小規模農家の低賃金など、深刻な問題が報告されています。例えば、気温の上昇や雨量の変動がカカオの生産地帯に影響を及ぼし、収穫量の減少や品質の低下が懸念されています。また、児童労働の問題や、収入の不安定さが農家の経済的苦境を深めているとも指摘されています。
一方、アジア地域ではカカオ生産の拡大が見られますが、こちらは主に国内市場や地域市場の需要に応じた小規模な生産が多く、国際市場への影響は西アフリカや南米ほど大きくありません。しかし、中国やインドなどの新興経済国ではチョコレート消費量が増加しており、将来的にはアジアのカカオ生産がさらに注目を集める可能性があります。
地域格差を解消し、生産の安定性を高めるためには、いくつかの具体的な取り組みが必要です。例えば、気候変動に柔軟に対応できる品種改良の研究開発を進めること、その結果として環境影響の少ない栽培手法を普及させることが挙げられます。また、途上国の小規模農家に対しては、フェアトレード制度をより広く普及させることで、収入の安定化や生活環境の向上を促進すべきです。加えて、地域間協力の枠組みを強化し、技術移転や金融支援を通じて競争力を向上させることが求められます。
国際市場における地政学的リスクも無視できません。カカオ生産に依存する国々では、内戦や政情不安が輸出入の停滞を引き起こし、国際価格の変動を招くリスクがあります。このような状況を回避するためには、国際機関が仲介的な役割を果たし、紛争予防と平和構築に積極的に関与することが重要です。
2017年度のデータは、市場や生産国が抱える課題を浮き彫りにする一方で、持続可能な方法に向けた可能性も提示しています。これらの課題に対処することで、カカオ生産は持続可能性を高めるとともに、消費者側のニーズに応える産業として成長することが期待されます。国際的な協力と技術革新が今後の重要な鍵となるでしょう。